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眠りの美術館  作者: わか3
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彼女の思い出


「ここは……」

 

 目が覚めたら知らないところにいた。体を起こしてあたりを見回す。どうやら私は廊下の様な場所で眠っていたみたい。廊下は長くて片方は奥が見えない暗闇。もう片方は明るい光に包まれてる。そして壁には何も飾られてない空の額縁。どうして私こんなところで寝てるんだっけ?そもそも私、今まで何してたんだっけ?


「取り敢えず明るい方に行こう。暗い方は怖いし」


 明るい方に歩いて行く。歩けば歩くほど光が強くなっていく。そのまま光の方に歩いて行く。


「痛っ!?」


 ある程度歩いてたら急に壁にぶつかった。透明な壁だったから見えなかった…。でもここに壁があったらこれ以上前に進めない。


「どうしよう。取り敢えず反対の方に行くしかないかな」


 後ろを振り返ればこことは反対に暗い廊下。暗い方に戻るのは怖いけど、これ以上先に行けないから戻るしかないよね。


「ハァ〜…絶対ここの廊下長いよ…。やだなぁ」


 ため息をつきながら暗い方へ歩いて行く。明日筋肉痛かなぁ。でもここ本当にどこなんだろう。私以外にはまだ人にも会ってないし。もしかして誘拐されたりして。いや、だとしてもこんなところに連れて来ないよね。


「この空の額縁、前はなにか絵を飾ってたのかな?」


 私が寝てたところに飾ってた額縁。金色に装飾も細かくて豪華な額縁だ。こんな豪華な額縁なのに何も絵を飾ってないなんて勿体ないな。この額縁自体が気に入ってたりするのかな。て、いけない。こんなところで立ち止まってる場合じゃなかった。こんな得体の知れない場所ささっと出たいし。

 また暗がりの方に歩いて行く。進めば進むほど暗くなっていってすごく不気味。怖いの得意じゃないんだけどなぁ。あっちの方に出口があればいいんだけどな。


「あれ。この絵切り取られてる」


 少し歩いてるとまた額縁があった。さっきの額縁と違って今回の額縁にはちゃんと絵が飾られてる。でも絵の一部分が切り取られてる。


「なんで切り取られてるんだろう」


 切り取られてるところ以外はすごく綺麗に描かれてるのに勿体ない。私もいつかこんな綺麗な絵が描けたらいいな。


『いつかなんてないよ』


「誰!?」


 急に誰かの声がしたからあたりを見たけど誰もいない。なんなの?ついに怪奇現象まで起こり始めたの?それにさっきの声直接頭の中に響いてきたような……。まさかそんな訳ないよね。


「やばい。本格的に怖くなってきた。あ〜ひなたがいたらまだマシなのになぁ」


 ひなた?そうだひなた!!私ここにくる前にひなたと一緒に学校から帰ってたんだ。じゃあひなたももしかしてここのどこかにいるの?


「あれ?私、ひなたと何か大事な話をしようとしてたんだ。でもなんだっけ」


 思い返して見れば私ひなたと一緒に帰った時の記憶しか無い。それより前の記憶が思い出せない。あれ?あれ?私、私ってなんだっけ?頭が混乱してきた。そうだ。私はあんず。今日高校を卒業してその帰りをひなたと一緒に帰って、それから、それから……。ああ、ダメだ。やっぱりひなたと一緒に帰った時の記憶しか無い。それより前の記憶も後の記憶も思い出せない。私、私は……。


 足の力が抜けて床にへたり込む。目線より高くなった絵が怖くなってきた。一部分が抜けた絵がまるで私を現してる様で。


「ねえ教えて。私って一体なんなの」


 思わず絵に手を触れる。なんでもよかった。なんでもいいから何かに縋りたかった。そうでもしないと私がおかしくなりそうで。






「これって※※※が描いたの?」

「うん、そうだけど」

「※※※ってほんとに絵が上手いんだね」

「その言い方だと私が絵が描けないと思ってたみたいじゃん」

「うん」

「そりゃなくない!」

「でもこの絵ほんとにすごいよ。僕あんまり絵は詳しくないけどそれでもすごいって思うよ」

「ふふっ!ありがと」


 顔が塗りつぶされてる女子が目の前にいる。いや、これは私だ。そうだ、これは文化祭の時だ。ひなたと一緒に私の絵が飾られてるところを見に行ったんだ。でもなんで私の顔が塗りつぶされてるんだろう。それにひなたの声がするのに肝心のひなたの姿が見えない。……もしかしてこれってひなたの記憶?だとしてもなんで?






「………はっ!さっきのはなんなの?」


 いきなり頭の中に映像が流れてきた。でもなんで急に…。


「そういえばこの絵…」


 絵に触れていた右手を話す。目の前にある絵はさっきの映像と似てる。切り取られてる部分はわからないけどそれ以外、背景のところは本当に似てる。もしかすると絵に触れたのがきっかけでさっきの映像が流れてきた?でもそのおかげで少しだけど記憶を取り戻せた。

 でもまだわからないことがある。なんでこの絵は一部分だけ切り取られてるのか。さっきの映像で私の顔が塗りつぶされてたのか。これが1番わからないことはなんでひなたの記憶なのか。いやひなたの記憶と確定した訳じゃないけどそう考えざるを得ない。それにひなたがどこにいるのかもわからない状況だから誰でもいいから人を探したい。


「でもこの絵に触ったお陰で少しだけど記憶を取り戻せたしこの先にも絵があったら触ってみよう」


 また廊下の奥を目指して歩き出す。早くここから出たい。こんなところにずっと1人でいるとおかしくなりそう。絵は等間隔に飾られていてその度に絵に触れていく。やっぱり絵に触るたびに頭の中に映像が流れてくる。その映像はやっぱり絵とリンクしているし、ひなたの声は聞こえるのにそのひなたの姿がまるで見えない。やっぱりこれはひなたの記憶?


「私、夢でも見てるのかな……」


 そこそこ歩いて私自身のことも大分思い出してきた。それでやっぱりここがおかしいって結論に至った。だって普通に考えて絵に触ったら頭の中に映像が流れてくるなんておかしい。なんで今までおかしいって思わなかったんだろう。記憶もどこか歯抜けだし、全部夢ってなった方が都合がいい。もし夢なら早く目が覚めてほしい。


 取り敢えず状況を整理しよう。私はあんず。今日高校を卒業して学校の帰りのはずだった。目が覚めたらこんなところにいた。一緒に帰ってたひなたはどこにも見当たらない。私の記憶も学校から帰ってる時の記憶しかなかったけど、絵に触ることで私自身の記憶を大分取り戻せた。その絵は仮説としてひなたの記憶を元にしてる可能性が高い。そもそもここはどこなのか。絵しか飾られてないからもしかして美術館?ここにいるのは私1人だけ。出口らしきものは見当たらない。明るい方には壁があるから行けないし今はただこの廊下の1番奥を探すしかない。


「こう考えると大分絶望的だな。映像も時間を遡ってきてこの絵が高校の入学式の時だったから、私の情報はここまでかな。私のこと大分思い出せけど大事なところが抜けてる気がする」


 もし本当にこの絵がひなたの記憶を元にしてるならこれ以上は私は出て来ないはず。私とひなたが初めて会ったのは高校に入ってから。中学校はいっしょじゃなかったからこれで私の情報は終わりのはず。1番重要な私がここにくる直前の記憶が抜けてる。……待って。絵を見た感じ私は時系列を逆に見てきてる。最初の絵…私が最初に起きたところは額縁だけが飾られてて絵はなかった。もしかしたらあそこにまだ何かあるの?


「確かめる価値はあるかも…」


 踵を返して最初にいたところに戻る。今まで見てきた絵は一部分がないことはあったけど絵自体がないってことはなかった。もしかしたらあそこには絵があるのかも知れない。そしたら時系列的に1番新しい絵になる。もしかしたらその絵が私がここに来る直前、ひなたと一緒にいた時の絵かも知れない。


「これだ……」


 私が最初にいたところ。ここで目が覚めた。やっぱり壁にかけられてる額縁には絵が飾られてない。取り敢えず額縁の中を触ってみたり、天井や近くの床を探してみるけど絵らしきものは何もない。


「うーん…やっぱりないなぁ。やっぱりここだけ特別なのかなぁ」


 だとしたら手がかりはなし…。また振り出しかなぁ。


「仕方ない、戻るかぁ。ハァ…あの距離戻るのやだなぁ」


『自分自身に聞いてみな』


「!またこの声…。それにこの声もしかして、私?」


 さっきも語りかけてきた声。その声は私の声に似ている。自分自身に聞いてみる?私がここの絵の場所を知ってるってこと?


「私自身……」


 私は目を閉じて自分の胸に手を当ててみる。すると突然頭の中に映像が流れてくる。この感覚絵に触れた時と同じだ。






「ひなた?どうしたの?」

「え!あ、いや。なんでもないよ」

「ふーん…じゃ一緒に帰ろ」


 これってここに来る前の、ひなたと一緒に帰った時の記憶。


「それで私に何を隠してたの?」私たちの間に隠し事はなしだよ」

「え?」


 信号が青になるのを待ってる。そうだひなたが何か隠してるみたいだったんだ。


「え?じゃないよ。ひなた私に隠し事してるでしょ」

「別に隠し事なんて…」

「嘘だ。ひなた嘘つく時右耳触る癖あるの知ってる?」

「え、あ!」

「どうしたの?顔、真っ赤だけど」

「あんず!」

「あ、はい」

「僕はずっと、あんずのことが…」

「!!」

「す、す」

「ひなた危ない!!!」


 バァァァアアン!!!


 あぁそうだった。こっちに突っ込んでくる車が見えたからひなたを庇ったんだった。そうだ、それで私……。


「きゃああ!!誰か救急車!学生2人が轢かれてる!!」


 ごめんねひなた。私、君を1人にしちゃったんだ。ああ、ひなたあんなに血を流してる。ごめんね私がもっとしっかりしてたら。


「あん、ず……い、た…………」


 ひなた動いちゃダメだよ。傷が開いちゃう。


「あんず……あんず。返事してよ。ねえ……」


 ひなた。ひなた。先にいっちゃった私を許してね。私ひなたが好きだった。ひなたが私のことを好きなのもなんとなく知ってた。でも私は男の子から告白されたいって思っちゃうくらい夢見る乙女だからずっと待ってた。でも結局聞けなかったな。こんなことになるなら私からもっとはやく言えばよかった。


 いや、これは私の思いじゃないだって私は人間じゃないから。この思いだってきっと作り物。私は絵だから。絵のない額縁。あそこは私が帰る場所。なんの因果か知らないけど神様が私を動かした。だから私にはひなたと一緒に帰ってた時の記憶しかない。その記憶から生まれたのが私、あんずの様なナニカ。私はあんずにはなれない。






「戻ってきた……」


 映像が終わり目の前が見慣れた壁になる。絵のない額縁。私の本来あるべき場所。私はここに帰らなきゃ行けない。でもまだ帰る時じゃない。


「そうでしょ。あんず」

「………」

 


 振り返ればもう1人の私。いや、本物のあんず。死んだはずの彼女がなぜここにいるのか分からない。きっと私に話しかけてきたのは彼女、あんず。


「私をここから出したのはあなた?」

「違う」

「じゃあ誰が」

「説明すると長くなるけど、あなたをここから出したのはひなた」

「ひなたが?もしかしてひなたは今ここにいるの?」

「うん」


 ひなたここにいたんだ。だとしたらひなたがいるのは結構奥?私も奥の方は探したけどひなたはいなかったから。


「今ひなたは生死を彷徨ってる。人は生死を彷徨う時に今までの人生を遡るっていうでしょ」

「うん。走馬灯ってやつでしょ」

「そう。ここにはひなたの今までのは記憶がある」

「それは知ってる。色々見てきたから。じゃあひなたは…」

「このままだと死んじゃう」

「そんな!!」

「だからあなたが出てきた」

「私?」

「そう。ひなたの無意識が生きたいって思ってあなたがこの額縁から出てきた」


 そう言って空の額縁を触る。私がするべきこと。なんとなく分かった。


「私はひなたを元の世界に帰してあげればいいんだよね」

「そう。でも今ひなたはあなたのこと、あんずを忘れちゃってる」

「どうして…」

「ひなたは意識を失う前に私が死ぬところを見ちゃった。ひなたの防衛本能が働いてあんずという存在を記憶の中から消した。このままだとひなたの心が壊れてしまうと思ったんだろうね」


 じゃああの映像のあんずの顔が塗りつぶされてたのはひなたがあんずを忘れてしまったから?そうか、だから絵に本来描いてあったあんずのところが切り取られてたのか。


「お願いひなたを助けて」

「あなたじゃダメなの?偽物のあんずより本物のあんずの方が…」

「あなたは偽物じゃない。あなたはもう1人の私、あんずだから。それに死者は生者に会っちゃダメだからね。だからあなたにお願いしてるの」

「……。分かった。私がひなたを元の世界に絶対に返してあげる」

「ありがとう。出口はあっち」


 光に溢れている方を指差す。私はあっちにはいけなかった。あっちは元の世界だからここの世界で生まれた私はいけなかったんだ。


「これで私も安心していける」

「行くってってどこに…」

「私は死者だからね。あるべき場所、天国にいかなきゃ。ひなたはあなたが助けてくれるし、私の未練はもうないや」


 彼女には行くべき場所がある。私もひなたを元の世界に帰したら額縁に戻らなきゃいけない。私にはそれしかないから。でも彼女は、あんずは違う。


「ひなたのそばにいてあげて」

「え?」

「ひなたは人見知りだし、ひなた1人じゃ心配。私はひなたのそばにはずっとはいれないけどあなたは違うでしょ」

「でも……」

「天国に行くのは別にいつでもいいでしょ。本当はひなたのそばにいたいの分かってるんだから。私はあなただから」

「………。私は死者でもうひなたと話すことも、一緒にご飯を食べるのも、学校から帰ることもできない。でも、それでも、ひなたと、一緒にいたい…」


 言葉を紡ぎながら涙を流す。そんな彼女を私はそっと抱きしめる。自分を抱きしめるなんて変な感じ。

 

 私はあんずであんずは私だから考えてることはわかる。私だって本当はひなたのそばにずっといたい。でもここにずっといることはひなたの死を表すから私はひなたと別れなきゃいけない。でもあんずは違う。あんずはひなたのそばにいれるから。


「うん」

「私は死者だから生きてるひなたとは、いれない………」

「そんなこと関係ない。一緒にいたいなら一緒にいればいい。たとえ死んでても」

「でも、でも……」

「一緒にいたいんでしょ」

「……うん………」

「なら一緒にいてあげて。きっとひなたも喜ぶ」

「…うん……」


 あんずから体を離す。そろそろひなたを迎えにいかなきゃ。


「私、そろそろ行くね」

「…うん。私も元の世界に帰ってひなたの様子を見てくる」

「それじゃあバイバイ私」

「うん。バイバイ私」


 そう言って彼女は消えてしまった。いや帰ったんだ。元の世界で待つあんずのために私もはやくひなたを返してあげないと。


 そう思うよりはやく私は走り出す。きっとひなたは暗いところで1人だから私が迎えにいってあげないと。








 大分奥まで走ってひなたをようやく見つけた。でも様子がおかしい。床に突っ伏していかにも今から寝るって雰囲気。もしや寝たらまずい?いや絶対にそう!起こさないと!


「おーい!!起きてーー!!!」










 やっとひなたを出口の近くまで連れて行くことができた。どうやらひなたはあんずのことを思い出そうとすると頭が痛くなるみたいだから無理思い出させるのはよくないと思ってあんずのことは話さなかった。途中絵に触っちゃってどうしようと思ったけど、案外どうにかなった。でも問題は今。ひなたの足が止まってしまった。どうやらもうひなたが限界らしい。このままだとひなたが死んでしまう。あんずに頼まれたんだ。ひなたは絶対に助けないと。でもひなたはもう歩けそうにない。

 

 出来るだけしたくなかった。ひなたには辛い記憶を思い出させてしまうから。でもこのままだとひなたは死んでしまうから。


「…仕方ないな。君はいっつもそうなんだから」


 ひなたの手をとって出口の方へ歩き出す。きっとひなたは今事故の記憶を思い出してるんだろう。ごめんね。辛い記憶を思い出させちゃって。でもこうするしかなかった。本当はあっちの世界に帰ってからゆっくりあんずのことを思い出して欲しかったけどそれはできなかった。どうかあんずのことを悔やまないで。あんずはひなたのことを見守ってるから。どうかひなたは幸せになって。それが私とあんずの願い。


 光の中を歩いて行く。ひなたは相変わらずボーっとしたまま私の手を握ったまま歩いてる。


「そろそろだっけ」


 手を前に出すと見えない壁に当たる。今回は壁に激突せずに済んだ。さて、私はこれ以上先には行けない。後ろに着いてきてるひなたはまだ記憶を見ているみたいで心ここに在らずって感じだ。どうやってひなたをこの先に連れて行こうか。


「ひなた?おーい!」

「…………」

「ダメだなこりゃ。流石にこれ以上ここに置いて置けない」


 これ以上ひなたがここにいたら命の危険がある。はやくひなたをここから出さないと。かくなる上は…


「ごめん!ひなた!!」


 ひなたの背中に手を当てて突き飛ばす。ひなたは壁に当たらずに下に落ちて行く。きっと落ちた先は元の世界だろう。これでもう大丈夫だ。元の世界ではあんずがひなたを見守っているだろう。


「元気でねひなた。もうここにきちゃダメだよ」


 これで私の役目は終わり。ひなたを元の世界に帰すことができた。私も元の場所に帰ろう。本来の私、絵の私に戻るんだ。

 後ろを振り返って空の額縁があった場所まで戻る。


「あれ?」


 目から涙が流れてくる。拭っても拭っても涙が止まらない。どうして?なんで泣いてるの?もしかして私寂しいの?もうひなたには会えない。そう考えるとさらに涙が溢れ出てきた。ああ、やっぱり私寂しいんだ。


「ハハッ…私こんなに寂しがりだったんだ。知らなかったな」


 ああ、もう額縁に着いてしまった。さあ戻ろう。きっと絵に戻ったらこの寂しさもなくなるだろう。


「ひなた…幸せになってね」


 額縁の中に指を触れる。指先が飲み込まれる様に絵に戻っていく。指から腕、そして体が絵に戻っていく。それが少し寂しくもある。私はひなたの記憶。ひなたが忘れない限り私は存在し続ける。私はひなたの中で生き続けるんだ。



 全2話の短編の様な構成になりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。他にも作品があるので良ければそちらも読んでみてください。

 ひなたは元の世界で生きていきあんずはそれを見守っています。記憶のあんずは絵に戻ってしまいましたが、ひなたの中で生き続けます。これがハッピーエンドとは言いずらいですが、彼女たちにとって自分がどうなってもひなたが幸せになるのがハッピーエンドなので彼女たちはこれでよかったと思います。

 長くなってしまいましたがこれにて「眠りの美術館」は完結です。

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