7.クリスティーナ、鍛練を希望する
「かっこいいニコラウス先輩、お願いがあります」
「なんだい、後輩の可愛いクリスティーナ」
だんだんと悪のりが悪化し始めている私は、同じく悪のりに乗っかってくれる補佐官改めニコラウス様にひとつ依頼をした。
「騎士団本部の鍛練への参加を認めて下さい」
「鍛練?」
実は王城勤務になって以降、私は剣や体術の日々の鍛練をする場所がなく、困っていたのだ。
「東部事務所では、朝練に参加してましたし、定期的に総合訓練にも行ってたんです。家では、兄達に少し付き合ってはもらってますが、このままだと腕が鈍ります」
少し困ったようにこちらをら見つめたニコラウス様は、くるりと司令官に向き直る。
「だそうですが。いかがしますか?」
ここ最近は睨むことなくわりかし穏やかな雰囲気の司令官も少し困ったように眉尻を下げた。
「君は、その······」
「クリスティーナです。」
「ク······クリスティーナは、元々内勤だろう?なぜ鍛練が必要なんだ?」
3ヶ月以上かけて、やっと人並みに女性と会話することが出来るようになったアイレンベルク司令官は、私の鍛練参加が疑問なようだ。
「私は、当初から前線希望なんです。一族はみんな武官ですし、小さい頃から鍛練は行ってます。ずーっと異動希望だしていたのに、アーウィン所長が全然外に出してくれなかったんです。でもいつでも敵を倒せるように、ずっと東部事務所で稽古は続けてました。」
司令官は顎に手をかけ、少し考えてから答えた。
「君が望むなら、まあ、許可は出すけど・・・危なくないか?」
「?何がですか?」
「ほら、······その······」
「私、剣も体術もそれなりに強いですよ?」
「そ······そうじゃくて····」
「?」
いい淀む司令官に、私はすこしイラついた。きっと女だから、本当はたいして強くもないくせにと思われてるんだ、と。
「許可、頂けますか?」
真っ直ぐに司令官を見つめると、間をおいて答えた。
「······わかった」




