プロローグ
何故だ…どうしてこうなった……。
「つづきまして勇者の動向ですが…」
執事の格好をした眼光の鋭い初老の男が淡々と話を続けていく、少し違うのは初老の男と言ったが、明らかに人ではない所だが。
「やだ、魔王様が濡れた瞳で私を見てるわ♡うふふ、仕方ないわね、このダイナマイトバディからは誰も逃れられないわ♡罪なワ・タ・シ」
クネクネと、熊以上にデカい食中植物がボディビルディングでムキムキになったような得体のしれない生物が、紫の吐息を吐きながら此方を見ている、いや、目が何処か分からないから見ている気がするだけなのだが…。
「おい、臭い息を漏らすな!第一、魔王様が貴様に色目など向けるわけがなかろう。魔王様が見ているのはワタシだ。」
そう言っているのは横にいる棺桶だ、ちょっと浮いてて不気味以外の何者でもない。ちなみに中身は包帯ぐるぐる巻のミイラ?マミー?よくわからんがそんなんだ。お前も視覚はどうなってるんだ?
「あらやだ、嫉妬?見苦しいわよ?そもそも、カビ臭いミイラのあなたに臭いとか、冗談は顔だけにしてほしいわ♡」
「ほう、貴様、死にたいらしいな?」
なんなんだこいつら、ジジイの話が長いから目を逸らしたら、たまたま目に入っただけなのに、2人?2匹?よくわからんがお互い冗談は顔だけにしてほしい。バカなの?頭湧いてるの?
「貴様ら、いい加減にせんか、魔王様の御前であるぞ!」
初老の男より一喝入ると一色触発寸前の2匹は大人しくなった、ちなみにこの初老の男、先代の魔王である。当たり前だが俺より強い、と言うかほぼ最強である。
なのに、何故……、何故俺が魔王に…。
異世界ものと言えば、異能で無双で美少女ハーレムむふふじゃないの?ミイラとかパックンフ〇ワーの魔物ハーレムじゃないのよ、魔物でもサキュバスとか、ダークエルフとかじゃないの?
俺が、俺が望んだ転職先は、こんなんじゃない!!
これは転職活動の末、何故が魔王になってしまった男の悲運の物語である。