099 全艦出港せよ、我に続け。
【辺境宙域 辺境軍司令部周辺宙域 旗艦『あまつかぜ』艦橋】
ロアは艦橋から見える艦隊を眺めながら、これからの戦闘について考えていた。
以前、国王執務室で行われた話し合いから既に半年、遂に敵領有宙域への本格的な侵攻が開始される。 以前行われた時間稼ぎ的なものではなく、行けるとこまで行く終わりのない戦いだ。
今回の戦いは辺境軍の新型艦5万隻がメインとなって行われるが、これらは全て無人艦であり『あまつかぜ』が制御するとは言ってもロア一人だけでは荷が重い事から、辺境軍司令部も最低限の人員を残しほぼ全員で同行する事になっている。 その為、『ゲーマー』から超大型艦09A1を貸し出してもらい、その一部を臨時辺境軍司令部として使用していた。 更に補給、整備、修理等の能力も高い事から、後方支援の中核基地としての期待も大きかった。
そして長期間ロアと離れることを嫌がったアリスティア王女が供回りと共に乗り込んでいる事から、近衛艦隊の一部も超大型艦09A1の格納庫に収容されていた。
今回の作戦実行にあたり、『ゲーマー』がゲートを使わない単独ワープが出来る事が情報開示された。(辺境宙域までなら高加速の通常航行で来たと言い張れるがこれから先、艦隊は敵のゲートを潜っての進撃になる。 ゲートよりも遥かに大きい為ゲートを潜れない09A1が辺境軍に付いて行くには、単独ワープ能力を秘密にはできなかった。)
「よし、全艦出港せよ、我に続け。 作戦計画に基づき 第1艦隊から順次敵ゲートに突入する。」
こうして侵攻作戦は始まった。 当初、無人艦隊を先行させる予定であったが、時期的に敵の侵略艦隊が集結している可能性がある為、臨機応変の艦隊運用の必要性を考慮し『あまつかぜ』が第1艦隊と共に突入した。
本来ならこんな危険行為は認められないのだが、今の『あまつかぜ』は『ゲーマー』の先進技術をふんだんに使った魔改造艦、何の心配も無くゲートに入っていった。
そして、ゲートを出た先では予想通り敵の大艦隊が・・・
「よし、全艦攻撃開始。 今の高性能なシールドなら敵に抜かれる事は無いはずだが念の為、三位一体でシールドを重ねろ。 射撃については各個に撃て、レーザー砲の威力も上がっている。 統制射撃をしなくても敵艦のシールドは簡単に撃ち抜ける。」
「了解。 各艦、順調に敵艦を駆逐しています。 損害ゼロ、撃破率3%」
「『あまつかぜ』敵艦は何隻いた?」
「はい。 当初敵艦は約35万隻確認出来ました。」
「ふむ、そこから基地の防衛戦力を引くと30万ぐらいか・・・ 前回の艦隊編成から考えても1個艦隊の上限が30万隻と考えていいな。 後は前回の20個艦隊からどれだけ艦隊の数を増やしているかだが・・・ 頑張ってこちらに引き付ける事にしよう。」
「はい。 敵の侵攻が始まる前に戦闘が開始されているので、分散配置してある各艦隊はこちらを目指して集まって来る物と思われます。 偵察部隊を増やし、敵艦隊の動きを掴む事で各個撃破に持ち込めると考えます。」
「後々後方攪乱でもされたら厄介だから、ここで敵艦隊を全て潰しておかないとな。」
「はい。 進撃を続けるために必要な事と考えます。」
「で、敵艦隊は?」
「はい。 辺境軍第2、第3艦隊の到着も有り、敵艦隊は残り半分です。」
「よし、早々に蹴散らして、周囲に偵察部隊を出すぞ。」
ロアの一言で辺境軍の攻撃は熾烈さを増した。




