098 今後の戦術
【辺境宙域 辺境軍司令部ドック内 旗艦『あまつかぜ』艦橋】
ロアは困っていた。 せっかく手に入れた力を思うように使えないのだ。 彼には貴族として、軍人としての顔がある為そちらに時間を取られてしまうのだ。
全てを投げ出し、全力で『ゲーマー』の力を振るえば敵を滅ぼす事さえできるだろうが、そうなれば周りからどの様に見られ、何を失う事になるか・・・
今の日常を壊せない、壊す勇気を持てないロアにとってもどかしい想いにばかり時間が取られ、ますます何も出来ない事態に・・・
そしてロアは一つの結論へと・・・
『ゲーマー』を動かせないなら、動かせる辺境軍を強くすればいい。
今の辺境軍の技術レベルは5、ロア伯爵領軍の技術レベルは10、そして遺跡戦艦の技術レベルは25。 これらの技術で造られた軍艦を『ゲーマー』の技術レベル99で作り直せばどうなるか。
特殊燃料や特殊弾頭を使わない通常艦艇でもそれなりの化け物が出来上がるはずである。 そしてこれらの新型艦が出来上がれば、常に特殊燃料や特殊弾頭の原料不足に悩む『ゲーマー』艦より使いやすい物となるだろう。
ロアは早速とばかりに空いた時間を見つけては新型艦の設計と増産を行っていたが、1つの問題が浮かび上がった。
辺境軍第1~第5艦隊は汎用コアを使用する旧タイプ艦艇で編成されており、かなりの人数が所属している。
そして今度の新型艦は無人艦の為、人を必要としないので、このままでは多くの人が行き場を失う事になりかねない・・・
しかし、この問題はあっさりと解決した。 先の戦いでそれなりの損害を出した王国宇宙軍が損害の穴埋めのために引き取って行ったのだ。
これにより、一時的に辺境軍の所属艦艇が大幅に減ったが、『ゲーマー』の強大な造船力により、早々に数を戻していった。
【ダケタ王国 王宮 国王執務室】
今回の議題は次回の敵艦隊来襲に備えるというもので、参加者は国王陛下、ルコール殿下、宰相、軍本部長、そして辺境軍司令のロア伯爵の5名となっていた。
「正直、前回は敵にしてやられた・・・」
「はい。 分散侵攻のお陰で各個撃破出来たものの、思わぬ被害が出ました。」
「そうですね。 今回は20ヵ所からの侵攻でしたが・・・ 『ゲーマー艦隊』の力を借りなければ後、どれだけ被害が増えたか・・・」
「そこでだ・・・ 次の侵攻が100や200だった場合、どうなると考える?」
「そうですね・・・ おそらく撃退は可能かと、しかし被害も相当なものに・・・ 」
「このまま守りの姿勢でいては、いずれ対処が出来なくなると思われます。」
そこでロア伯爵が口を開く。
「こちらから攻め込みましょう。 そうなれば敵は対処に追われて侵攻する余裕を失うはずてす。 攻撃は最大の防御と言いますが、今回はまさにそれかと・・・」
「確かにそうできれば一ヶ所で相手をするだけで済みますが・・・ 敵は恐らく1千万隻を越えて・・・ おそらく5千万隻をも越えてきますよ。 それに対し我々は100万隻が限界です。 分散した敵を各個撃破するならばなんとかなっても、正面対決では勝てる見込みは・・・」
「そこで以前、私がやった囮戦法です。 150隻に満たない艦隊で何十万隻もの敵を引き付けられたのです。 今度は辺境軍約5万隻をもって敵を引きづり回せば何とかなりそうとは思いませんか?」
「しかしながらそれは・・・ 」
「うむ、我々は三神公爵から、量産の効かない特別な高性能艦と聞いている。 数が少ないともな・・・」
「はい、その通りです。 あれらは太古の遺跡から見つけた先史文明時代の遺物、我々には解明も量産も出来ませんでした。 ですので、量産については出来る所に依頼しました。」
「そんなことが?・・・ 」
「はい。 今の辺境軍5万隻は『ゲーマー』の協力も有り、更なる高性能艦の集まりです。」
「成程、希望の光が見えて来たな・・・ 以後、ロア伯爵の囮戦術を基本とする。 各自持ち帰り次回の会合までに詳細な案を纏めておくように。 今回はこれまでとする。」
「「はっ」」
こうして基本方針が決まった。
新作「皆は何処に・・・」を書き始めました。 宇宙を彷徨う艦隊ものです。
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