093 迎撃艦隊の戦い
先週は家族旅行(母の一周忌の墓参りを兼ねた。)を優先して話が短かったですが、今回はその分少し長めに書いてあります。 よろしくお願いします。
【C-62宙域 辺境艦隊旗艦『あまつかぜ』及び三神領軍艦隊旗艦『玄武』】
当初計画していた迎撃作戦による優先順位の決定に難航していた王宮と軍統合本部であったが、三神からの意見具申を取りいれ、2方面作戦とする事で順位決定の難易度を下げていた。
但し、元々1方面分の戦力しかなかったからの作戦計画であった為、もう1方面は『ゲーマー』の艦隊頼りという事となったが、全てを領有域に受け入れる事には反発も多く『ゲーマー』艦隊の艦艇数の上限を1000隻に制限し、辺境軍約5万隻と三神領軍約2万隻が同道する事で作戦地域及び周辺領主の理解を得るに至っていた。(辺境領の守りには、王国海軍第2特務艦隊と『ゲーマー』艦約1000隻が残っている。)
それにより、C-62宙域では王国軍艦隊より一足早く『ゲーマー』による迎撃戦闘が開始されていた。
「辺境軍第1から第5艦隊は後退し、三神領軍艦隊旗艦『玄武』に合流、指揮下に入れ。 私は辺境軍特務艦隊と共に『ゲーマー』派遣艦隊と合流、艦隊突撃を実行する。」ロアの指示で艦隊が動き出す。
ロイド公爵は旗艦『玄武』の戦闘指揮所から作戦の推移を見守っていた。
「よし、辺境艦隊が合流したらただちに円柱陣形を形成、『ゲーマー』艦隊に追随する。 我々の任務は『ゲーマー』艦隊が敵艦隊に包囲されないよう背後を守る事だ。 敵艦が回り込むのを阻止せよ。」
これにより辺境軍特務艦隊と『ゲーマー』派遣艦隊合わせて2500隻が円錐陣形で先行し、『玄武』率いる70000隻が円柱陣形でそれを追う形となった。
そして敵艦隊に減速することなく接近、射撃を開始しつつ突撃を行った。 前回の『ゲーマー』艦隊の戦いでは敵艦を破壊しすぎてほとんど残骸を回収できなかったので、今回は『ゲーマー』の攻撃は前方進路上の敵艦のみとし、横方向の攻撃は辺境軍特務艦隊が行い、敵艦のコアをピンポイントで破壊していた。
更に『玄武』率いる70000隻が戦果を拡大、30万隻の敵艦隊を約1時間という短時間で殲滅した。
この戦闘において敵艦の攻撃は先陣の、中でも『ゲーマー』艦に集中しており、圧倒的防御力の前に損害皆無であった。 さらに『ゲーマー』艦隊は攻撃範囲をしぼる事で特殊弾頭の使用量を少なくできたため、弾薬の残量にも余裕が有った。 これは即、次の戦闘が可能な状態であるという事で、予想よりも早く残りの敵艦隊を排除出来る事を示していた。
【別宙域 ダケタ王国軍迎撃艦隊】
三神・『ゲーマー』合同艦隊に遅れること半日、王国艦隊も敵艦隊の一つと戦闘を開始していた。
こちらは、敵艦隊30万隻対王国艦隊45万隻というものであり、ダケタ王国の戦力増強政策の成果が表れていた。
ただし、全体的に若干の技術力向上はあるものの突出した高性能艦は無く、近衛艦隊の一部が三神の技術協力により多少高性能であったが旗艦の守りに専念したため、それなりの損害が・・・
戦闘開始当初、王国側はシールドを重ねることで防御力をアップし敵艦隊の攻撃を凌いでいたが、数が数なので場所により攻撃のむらが多く、運悪く敵の攻撃が集中すると通常艦艇のシールドでは重ねていても撃ち抜かれていた。
攻撃についても複数隻の射撃タイミングを合わせ敵艦1隻ずつ狙う事で敵のシールドを貫通して破壊していたが、三神みたいな完璧にタイミングを合わせるシステムがない為に時間とともに精度が落ちていった。(時間とともに操作するオペレーターに疲労が溜まり集中力が落ちた。)
結果として、敵の半数の15万隻を破壊し撤退に追いやることに成功したものの、約3万隻の艦艇を失い20万隻近い数の艦艇が損傷を受ける事となった。 敵の1.5倍の戦力で戦った割に被害が大きいものになった。
そのため損傷艦の修理、損失艦の補充により多くの時間が必要となり、未だ多く残る敵艦隊による被害がさらに拡大すると予想された。
【ダケタ王国 王国軍統合本部 作戦室】
今回の戦闘の結果、王国艦隊は次の戦いまでかなりの時間を必要とし、『ゲーマー』艦隊は即次の戦闘可能との判断がなされた事により、『ゲーマー』艦隊の敵迎撃割り当てが増える事となった。
そして作戦室では未だ議論が続いていた。
「本部長、ロア辺境軍司令から残り17ヵ所の敵艦隊にそれぞれ1000隻ずつの『ゲーマー』艦隊を一斉に派遣し、殲滅する案が出されています。 先の戦闘の結果『ゲーマー』艦隊1000隻のみでも敵30万隻を十分撃破可能と言っています。 又、案が採用されなくても三神に関係ある4宙域については三神の責任で『ゲーマー』艦隊を派遣すると言ってきていますが・・・」
「「・・・」」
「たった1000隻で30万隻を蹂躙するような相手を懐に入れるのは・・・」
「しかし、王国艦隊だけでは手が足りないのも事実だ。 だからこそ『ゲーマー』の割り当てを増やす事を検討していたのではないか。」
「それは十分な艦艇を同道させることが前提の話だ。 『ゲーマー』単独で我が宙域内をうろつかせるなど・・・ 許可出来るわけなかろう!」
「そもそもなぜ三神が口をはさんでくる。 姫と婚約したからと言って調子に乗ってないか?」
「お前こそ何を言っている。 今、各戦線で時間稼ぎをしているのは三神の部隊だぞ。 少しでも早く敵艦隊を撃退しようとするのは当然の事だ。 前線で流される三神の血があればこそ、我々はこんな所で会議をしていられるのだ! 」
「「・・・」」
話し合いの中で取り敢えずは、三神から申告のあった4ヵ所と重要度の低い宙域5ヵ所の計9ヵ所の敵艦隊に対し『ゲーマー』単独での艦隊派遣が認められた。
だが、残り8ヵ所については従来通りの方針とし、担当の振り分けが話し合われていた。
そして『ゲーマー』単独派遣が認められた9ヵ所では、早速とばかりに『ゲーマー』艦隊が敵艦隊に襲い掛かっていた。




