090 敵が600万隻・・・
【とある宙域 とある観測所】
正体不明の艦隊を探知してから観測所内は慌ただしくなりだした。
「もしこれが奴らだとしたら何故ここに・・・ くそ! 偵察機の発進まだか、遅いぞ!!」
「申し訳ありません。 緊急発進用に1機は燃料を搭載していましたが、他の機体は燃料の劣化を防ぐため燃料タンクを空にしていました。
司令部から最低6機以上で確実な偵察を行えとの指示が出ており、急ぎ他の機体への燃料補給を実施していますが・・・」
整備隊長(偵察機の整備補給を行う部隊の長)の言葉に更に観測所長(観測所と名前が付いているが、実際は偵察基地であり所長は基地司令の事を指している。)が激昂するが、副所長が割って入る。
「所長、落ち着いて下さい。 前線の部隊に予算を取られ、このような辺鄙な部隊は年々予算が削られています。 しかも回されて来る機体も前線で使わなくなったオンボロの旧式機ばかり・・・ 故障が頻発し修理にも費用が掛かります。
劣化した燃料を破棄する事前提での機体運用はしたくても出来ないのです。」
「「・・・」」
「 ・・・ふ~・・・ すまなかった。 冷静にならなければいけないな・・・」
今回、正体不明の艦隊が現れたのは敵の予想襲撃地点から大きく外れた場所であり、多かれ少なかれ何処も似たような状況であった。 更に状況が悪い所では、請求した交換部品が届かず10機以上の偵察機が運用出来ない状態の為、6機の偵察機を揃えるのに部品待ちの機体の半数を分解、部品取りにする等して更に時間がかかるところもあった。
【ダケタ王国 王国軍統合本部 作戦室】
多少のもたつきも有ったが、19ヵ所全てが敵艦隊である事を確認した統合本部では今後の方針を決定すべく会議を行っていた。
「辺境軍の所に現れた敵艦隊も合わせると20ヵ所からの同時侵攻となります。 それぞれ30万隻、全部で600万隻の大艦隊です。 更に後続の艦隊が居る可能性もあり、状況は最悪と言えます。」
「「・・・」」
「辺境軍には、このまま敵の1つを迎撃してもらいますが、他の19ヵ所は時間稼ぎをしつつの撤退となります。 既に各観測所の人員を撤収しており、現在敵進路上の惑星やコロニーからの全住民の避難を始めています。」
「状況は分かった。 次、軍の現状は?」
「はっ、現在緊急動員を行っており、一時的に軍の充足率は上がっていますが練度が低く、インフラ等の後方への深刻な悪影響が出ていることもあり、あまり長くこの状況を続ける事は出来ないと考えます。
ただし動かせる艦艇は確実に増えており、辺境軍への派遣部隊が戻って来れば約35万隻を運用出来る見込みです。
辺境軍が敵の1つを撃退した後、この35万隻を中核に諸侯軍と辺境軍、そして『ゲーマー』からの援軍を合わせ敵艦隊を1つずつ各個撃破する事を考えています。」
「ふむ・・・ 戦力の分散などの愚を犯すわけにもいかぬし、それしかないが・・・ 全ての敵艦隊を撃破するまでこちらの戦力を維持し続ける事が出来るかが問題だな。」
「それについては、一戦ずつ十分な整備補給と艦艇の補充を行う必要があるかと思います。 その分、迎撃が遅れますので、多くの宙域が敵の手に落ちる事となるでしょうが・・・」
「「・・・」」
「さて、そうなると敵艦隊の撃破順番をどうするか・・・ 敵艦隊の進路上に領地を構える貴族も居るし、色々と禍根を残しそうだな・・・」
その後、陛下の裁可がおり軍の基本方針が決定さる事となった。 それにより辺境軍へは被害を極力抑え早期に敵艦隊を撃破するよう指示が出された。
そしてロアは辺境軍の作戦計画を大幅に手直しし、早期撃破の為動き出した。(被害を出さない為、『ゲーマー艦隊』による突撃を実施)




