078 話し合い 人類脱出計画
【ダケタ王国 王宮 国王執務室】
執務室内の応接スペースには国王、宰相、軍本部長、ルコール殿下、そしてロア上級大将の5人が集まり、少々手狭になっていた。
「ロアよ、報告書は読ませてもらった。 最低限とは言えたった1週間で辺境軍の体制を整えるとは見事だ。
それとすまぬな、こちらからの兵力の派遣にはまだ時間がかかる。」 そう言うと陛下が軍本部長に視線を向ける。
「はっ、軍としても編成を急がせていますが・・・ 後、1ヶ月程かかるかと・・・ ロア伯爵には申し訳ないが、それのでは現有兵力で凌いでもらいたい。」
「了解です。 敵ゲートからの出現数には変化の兆しは無く、恐らく後半年から1年はこのままだと予想されます。 十分に対応可能です。」
「よろしい。 さて、そろそろ本題に入るとするか、その為に人払いもした事だしの・・・」
では私からと宰相が口を開く。
「陛下から聞いたが、ロア伯爵は地球を捨て移民する案を出したとか・・・ 国民感情や貴族の反発から到底実現できるとは思えないが、それが分からぬ伯爵でもあるまい。
それでもあえて移民案を出した理由が知りたい。」
今初めて移民案を知ったルコール殿下が驚きのあまり目を大きく見開くが、声を出す事もなく成り行きを見守る。
「分かりました。 これから言う事はあくまで憶測でしかありませんが・・・ 説明します。
まず敵は強大な戦力をもって全方位に侵略を行っていると仮定します。
次にこちら方面の宙域では我々との戦闘により足止めされています。
では、我々のいない別方面の宙域はどうでしょうか・・・ きっと簡単に敵の手に落ちるでしょう。
今は一方向からの侵略なので対応できていますが、100年先、1000年先を考えた場合、周り全てが敵の勢力圏となり、全方位からの侵略が予想されます。
そうなれば我々は対応できず滅びることになるでしょう。」
「なるほど、理解した。 が、確証がないのが厄介だな・・・ 一体どれだけの人間が理解を示すか・・・」
「はい、しかも我々は敵の行動原理を全て知っている分けではりません。 もしかしたら我々の所で足止めされている間、足並みを揃える為に全方位での侵略がストップする可能性もゼロでは無いと考えられます。
今回の作戦成功である程度の時間的猶予を得ましたが、それを如何に有効活用するか・・・ ここでの選択を間違えると取り返しのつかない可能性が・・・」
「「・・・」」
皆が押し黙る中、ルコール殿下が「たとえ移民を実行する事になっても、半年から1年で全人類を乗せれるだけの船を造るのは不可能です。 考えるだけ無駄なのでは?」
「うむ、それについての試算案や計画書もロアから提出されている。 軍の方に見直しとシミュレーションを任せたが・・・ 本部長どうだった?」
「はっ、軍では全人類の約8割を脱出させる事が出来るとの結果を得ました。」
「8割とは・・・ 中々悩ましい数値だな・・・ それだけ脱出出来るなら検討する価値もあると言って良いだろうが・・・ 」
---【人類脱出計画(案)】についての説明---
人間の活動(生活)には食料生産・大気の調整・排泄の処理などが不可欠であり、場所やエネルギーを大量に使います。
そこでコールドスリープポットを使いほぼ全ての人間を不活動状態にする事で必要とする物資を最小限とすれば、少ないスペースで多くの人を運ぶ事が出来ます。
ただし、船団の運用や各艦の整備保守などを担当する一部の人は起きている必要があり。 その人達用に食料生産などをする必要があるため、起きている人達が生活する為の都市船も必要最低限建造する必要があります。
当初は都市船に全人口の0.005%程が乗り込みますが、将来的には移動しながらの資源調達や造船技術を確立し、順次都市船を建造する事でコールドスリープ状態の人を1人でも多く起こす事を目標とします。
その過程で戦闘艦も建造し、接敵した場合に備えます。
最初の移民船団の建造については1年(敵侵略艦隊の再出現に5~6ヶ月、更に元の前線に進出するのに6ヶ月)では足りないので、辺境軍による囮作戦や遅延戦闘で2年稼ぎ(どう戦っても2年が限界と思われる)、3年で準備する。
現状、3年では人類の8割分しか宇宙船の席を用意できないが、技術の革新や量産による作業効率の向上により、更なる脱出人員の増加が見込める。」
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ここまでの報告で半日使ってしまい昼飯休息になってしまった。
まだ遺跡戦艦や単独ワープについての話をしていないので、午後からも話し合いが続く事になったが、ロアとのデートを楽しみにしているアリスティア王女の機嫌がどうなることやら・・・




