073 三神の追撃
【敵領域宙域 三神家艦隊 艦隊旗艦『あまつかぜ』】
味方の迎撃作戦が失敗に終わり、追撃を続ける三神家艦隊では、『あまつかぜ』と『礼文』によるモニター越しの作戦会議を実施していたが皆の表情は沈みがちだ。
「兄上、士気の低下も問題なのですが・・・ リミッター解除の影響で約1000隻に不具合が出ています。
その内200隻ほどは艦の運用に重度の支障をきたした為、後方の支援艦隊まで下げ修理作業を実施していますが、このままでは遅かれ早かれ全艦に何かしらの問題が・・・ 」
「ふむ、挟み撃ちに失敗して予定が狂ってしまったが・・・ ここで勝負を決めようと思って全力を出したからね。」
「はい、作戦が失敗し追撃戦が長引く状況となったので攻撃の圧を少し下げ、艦への負担を軽減すべきと提言させていただきます。」
「そうだね・・・ リラの言う事は最もだと思うよ・・・ よし、『あまつかぜ』三神公爵家艦隊のリミッターを元に戻せ、これ以上の離脱艦が出ないよう上手く制御してくれ。
後、その状態での敵艦隊殲滅完了までの予測時間を知らせ。」
「了解しました。 ・・・各艦の制御システムを元へ、リミッター作動しました。 現状での敵殲滅にかかる時間は70時間前後と予測出来ますが、これは敵が最後までひと塊でいた場合です。 敵艦隊が散開して散らばった場合は敵艦隊の殲滅は難しいでしょう。 仮に殲滅出来たとしても10倍以上の時間がかかると思われます。」
「皆も聞いての通りだ。 こちらの士気は下がり敵は撤退している。 本来なら戦闘を終了とし、帰還するところではある・・・ しかし、今後の事を考えるならこちらの情報を何一つ渡す訳にはいかない。
あと少し頑張ってもらいたい。」
「「はっ」」
【敵艦隊迎撃宙域 戦闘終了後 総旗艦『黒虎』司令部区画】
ルコール殿下は敵艦隊と三神家艦隊が射程圏外へと離脱した事を確認し、戦闘終了を宣言すると共に各アラートの発令解除を命じた。
「状況ホワイト、武器使用制限レベル2、用具収めヨシ」
「よろしい、状況確認急がせ! 艦艇及び指揮系統に問題のない部隊は直ちに救難艦隊の支援に当たらせろ。」
「了解。 作業急がせます。」
「ティ大将、近衛の被害はどうか?」
「はっ、損害軽微、艦隊運用に問題なし。」
「よし、捜索救助活動が長引きそうだ。 近衛艦隊の半分を周辺宙域の警戒監視に充てろ!」
「はっ、直ちに。」 ティ大将はその場で艦隊に指示を出し始める。
さらにルコール殿下は幕僚達に指示を出していく。
・ 損傷艦の内、自力航行が可能な艦艇は占領した敵前線基地宙域に展開中の支援艦隊に合流、応急修理を行う。
・ 航行能力を喪失した艦は基本的に破棄、乗員は支援艦隊で待機とし、状況を見極めてから再配置先を決める。
・ 救難艦隊の支援に当たっている艦隊については任務の上限を48時間とし、合わせて地球への帰還準備を行う。
・ 諸侯艦隊と連合国艦隊の残存艦艇を一纏めにし、白井侯爵の指揮の下、地球へ帰還させる。
・ 救難艦隊の活動期間については、救難艦隊司令に一任する。(現場の判断に任せる。)
・ 2番目に占領したゲート基地の防衛は、ポック少将の残留艦隊が引き続き行う。
・ 1番目に占領したゲート基地の防衛は、支援艦隊の護衛部隊が行う。 支援艦隊は自国宙域とのゲート設置(仮設ゲート)を行うと共に、損傷艦の修理、負傷者への処置を実施する。
・ 自国宙域とのゲートが開通次第地球へ帰還する。 各ゲート防衛部隊については本国からの交代が来るまで任務を継続する。
一通りの指示を幕僚達に与えて、司令卓で苦い珈琲を啜りながら一息つくルコールだが、本国への報告内容を思うと・・・
どうしてこうなった・・・(最後の最後に大損害) 顔をしかめるのであった。
【敵領域宙域 三神家艦隊】
そして数日・・・
三神家の艦隊はやりきった。 敵艦隊を見事に壊滅させ、1隻の逃亡も許さなかった。
艦隊は、はやる気持ちを抑え帰路についた。
今後、週1話の投稿になりますが、よろしくお願いします。
(すいません。 忙しくなり、執筆時間があまり取れなくなりました。)




