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006 アリスティア王女殿下登場

 本日の投稿は此処までとなります。

 よろしくお願いします。

【ダケタ王国 王宮 中庭】


 ロアが息抜きのため、中庭に出てぼんやり空を眺めていると不意に声がかけられる。

 「ロアよ疲れているようだな。 三神家にはいつも負担をかけてしまってすまないな。」 お供もつけずに国王がやって来る。

 ロアは、慌てて周りを見回して誰も居ない事を確認して国王に話しかける。

 「陛下、表向き王家と三神家は仲違いしている事になっているのですから、発言には気を付けて下さい。」口では注意しつつも笑顔で答える。



---王家と三神公爵家の仲違いについて状況説明---


 ダケタ王国が宇宙に進出を始めた時(約100年前)、国として大規模な宇宙開発を行う事に反対する貴族(既得権益か損なわれる恐れがあると考えている。)が多数おり、宇宙開発の妨害や内乱に発展しないように三神家が反国王派の旗頭(三神家は、海軍卿と呼ばれ海軍と海運を一手に仕切っている事から、近い将来、宇宙開発により国の交易の場が海から宇宙に変わる事に反対しても違和感がない。又、王国の最上位貴族として反国王派の旗頭に最適。)になり、表向きは国王と仲違いしつつ裏で協力して、反発する貴族達の不満を適度に発散させつつ抑え込み、国内の安定と宇宙開発の促進を成功させた。


 これにより王国は国力を大幅に向上させ、国王派(宇宙開発賛成派)の力は大きくなった。 その反面、反国王派は力を失い瓦解した。三神家も落ち目の貴族として陰口をたたかれている。


------


 国王も笑顔で「分かっている。」と答えながら、声を潜め顔を近づけつつ話を続ける。

 「今のこの国は、宇宙に敵が存在していて一つに纏まっている。 三神家と王家が反目している必要性は無くなった。 それどころか、表向き反目している事になっているのため大々的な協力体制が取れないのは国にとってマイナスだ。

 お主の父である現公爵とは長く反目する姿を周りに見せてきたから関係を変えるのは難しいが、跡取りのお主が三神家の当主になる頃には、国内外に王家と三神家が協力している姿を見せたいと考えておる。」

 「そうでしたか、では私が海軍長官に任命されたのも英雄を作り出すためだけでなく、関係改善の布石としてでしょうか?」ロアが考えながら国王に訊ねる。

 「それについては・・・ 実はあまり関係がない。 今後のお主の治療を考えると、地上にいた方が良いだろうと考えたからだ。 まぁ、近くにいた方が周りに王家と三神の跡取りの関係が良好だと見せる機会も増えるだろうという思いも少しはあるがな。」

 「分かりました。 そういう事なら私が王家に対して従順な姿勢を見せ、それに応じて陛下が私に目をかける。

 そういった構図を周りに分かりやすく見せつけるようにすればよい、という事ですね。」ロアは、少し考えながら国王に訊ねる。

 「基本的にはそれで良いと思うが、この事はロイド候も承知しているから、帰ってから相談することだな。」 そう言うと、国王があまり長く会場を空けるわけにもいかないと言って去っていく。


 少しはゆっくり出来ると思っていたんだけどな・・・  休憩に来て余計に疲れた気がするけど、俺もそろそろ会場に戻らないとならないな等と考えながらロアが中庭を出ていく。


 暫らくして、「なるほど・・・」物陰から人が現れ、一言呟くと何処へともなく去っていく。



【ダケタ王国 王宮 大広間】


 勝戦パーティーが終わり、国王が退出した後もほとんどの者が大広間に残り歓談を続けていたが、ロアは給仕に案内されて、人気のないパルコニーに連れてこられていた。

 「お久しぶりです。 ロア様。」 そこには、王家の末姫(アリスティア・S・ダケタ:ダケタ王国第3王女)がお供をつれて待っていた。

 「アーリス・・・」思わず呟いた後、その場に跪いて言い直す。

 「失礼しました。 アリスティア王女殿下。」

 「アーリスで構いませんのに・・・ 最近、全然遊びに来ていただけないので、こちらから来ました。」

 「はぁ~」 ロアは、額に手をあてながら立ち上がると、もう子供じゃないんだから王家と三神家が表向き仲違いしてい事を考えて行動してくれないと困るよ・・・ と考えながら、注意しようと話しかける。

 「アリスティア姫、王家と三神家の子供を交流させるのは、二神家反乱のような事件が起こらないように、両家の関係を良好に保つためです。 が、今の王家と三神家は表向き反目している事になっているのですから、誰が聞いているかもしれないこのような所に来るなど、少々軽率な行動だと言わざるを得ません。」

 「それでしたら問題ございません。 今後は両家の関係を表向きも良好なものにしていくのですから」

 「何処でそれを・・・  陛下に聞かれたのですか?」 陛下も口が軽いなと思いながらロアが訊ねる。

 「いいえ違います。 誰が聞いているかも知れない中庭であのような会話をするなど少々軽率でしたわね。」 フフンと勝ち誇るようにアリスティアが言い、ロアが悔しがる。「くっ・・・」

 「私も間もなく16歳となります。 王家の一員としていくつかお父様から事業を任される事になりました。

 その中に、新型救難艦の設計と救助部隊の運用方法の研究を行う「救難艦運用研究所」の所長があります。 今までは、近くの部隊が救助に当たっていましたが、被害拡大により現場部隊の負担が大きくなり、任務に支障をきたすようになったので、救助専門部隊を立ち上げる事になりました。

 その為の研究機関を新設する事になったのですが・・・  私は宇宙艦艇に詳しくないので、ロア様に副所長をお願いします。

 お父様にはこれからお願いしに行きますが、両家の関係改善の足掛かりになると言えば反対されないでしょう。 後で資料をメールしておきますので目を通しておいてくださいね。」

 ロアが副所長を断ろうと考えていると、「これで失礼します。」と言ってアリスティアはさっさと行ってしまった。

 言うだけ言ってさっさと行ってしまったアリスティアを見てロアは、救助された経験があるから救難艦と救助専門部隊の必要性は分かるけど・・・ わかるけど・・・ 何か納得いかない・・・ 悶々とした思いが残る。

 少しして、「はぁ~  帰るか・・・」肩を落としながらロアが城から出ていく。



ーーー二神家反乱事件ーーー


 ダケタ王国建国の時(地球だと中世に該当)、建国の中心人物として3兄弟がいた。長男が国王になり、次男が二神公爵、三男が三神公爵となった。

 二神家は陸軍統括の陸軍卿、三神家は海軍統括の海軍卿となり、王家が両公爵家を総括していたが、建国から75年後(地球だと産業革命の少し後に該当)に二神家が陸軍の一部(王都近隣部隊)を味方に付け王家に対して反乱を起こした。

 王都が包囲され、国王側1万5千(近衛軍1万2千:衛兵隊3千)に対して包囲する二神家が11万(二神公爵家領軍1万:陸軍10万)にのぼり、反乱は成功するかに見えたが、三神家が統括する海軍の戦艦が搭載する38センチ砲の射程圏内に王都周辺が入っており、王城からの着弾観測を活用することで反乱軍を砲撃により殲滅した。(この事件が起きるまでは、遠距離砲撃は目標が地平線により隠れるため命中させるのは不可能とされていた。 又、船は沈むが陸地は沈まないから陸軍有利とされていた。 今回は、王城と海軍司令部が有線電話で繋がれており、海軍司令部と戦艦が発光信号で連絡をとることで遠距離砲撃の着弾点の修正を可能とした。 又、船は沈むから陸が有利されていたことについても、この事件により射程の長い方が有利であると認識が変わった。)

 その後、二神公爵家はお取り潰しとなったが、王家の内需拡大と二神家の領土拡大の主張の違いが両家の確執を生み、疎遠になり反乱に繋がったと考えられおり、今後同じような過ちが起きないよう、王家と三神家は良好な関係を保つよう交流する機会を増やした。(小さい子供のうちから一緒に過ごす時間を増やし、家族意識を持つようにした。)


ーーーーーー


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― 新着の感想 ―
[気になる点] >ダケタ王国が宇宙に進出を始めた時(約100年前) ・・・たった100年でこの大艦隊に避難民とのことだで植民星まで確保できたの? 桁ひとつ間違えてない?
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