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057 三神公爵領宇宙軍 特務艇83号

【B-17宙域 迎撃艦隊集結ポイント 艦隊旗艦『玄武』司令部区画】


 「リラ司令、哨戒任務中の『特務艇83号』より敵発見の第1報が入りました。

 発信時刻 0934

 発信者  特務艇83号

 着信者  三神公爵領艦隊司令官

 受報者  宇宙軍全般

 ー本文ー

 本艇位置 ポイント44-354-2Z

 敵艦位置 本艇の右15度、仰角3度。 距離25宇宙マイル。

 敵艦艇数 6万隻以上

 28宇宙ノットで予想進路上を航行中。

 ーオワリー

 以上です。」

 オペレーターからの報告を聞きリラが指示を出す。

 「メインモニターに宙図を出して83号と敵艦隊の位置をマッピングせよ。」

 表示されたモニター画面を見ながら幕僚の1人が「予想通りなのですが、速力が若干遅いですな。」

 そこにオペレーターから報告が

 「『特務艇83号』より第2報です。

 発信時刻 0958

 発信者  特務艇83号

 着信者  三神公爵領艦隊司令官

 受報者  宇宙軍全般

 ー本文ー

 本艇位置 ポイント44-354-2Z

 敵艦位置 本艇の右15度、仰角2度。 距離25宇宙マイル。

 敵艦艇数 66000隻

 敵加減速なし。 進路変わらず。 28宇宙ノットで慣性航行実施中。

 本艇、相対距離を合わせる為後進加速実施する。

 ーオワリー

 以上です。」


 「・・・」


 黙り込んだリラに幕僚が声を掛ける。「リラ司令、どうかされましたか?」

 リラは考え込みながら「83号の報告、違和感ないか?  昔の戦争映画に出てきそうというか・・・ ずいぶん古臭くないか? 」

 「成程、今時の軍艦は暗号機を標準装備していますからね、もっとスムーズに報告が来ますが、83号は暗号機を装備していないので、手作業暗号を使用しています。

 しかも、手作業暗号なんて普段使わないので手順書が古いままで、報告の書式が昔のまま今も使われているのです。 若い人には違和感があるかも知れませんが、我慢して下さい。」 年かさの幕僚がそう答えると、思わず言ったという感じで若い幕僚が「えっ、手作業暗号なんてまだ使ってたの・・・」 と言ってしまい、幕僚のくせにそんな事も知らないのかと周りから睨まれていた。

 リラも若い幕僚と同じ事を思っていたが、その事には触れず「暗号機も無いような船で敵の近くにいて大丈夫なのか?」懸念を示すと、「確かに古くて、普段は雑用をこなすような船ですが、まがりなりにも軍艦です。 ベテランの乗組員が上手くやってくれます。」 と、年かさの幕僚が勇ましい事を言い83号に対する会話は終わった。


 リラ達司令部要員の話は敵艦隊の迎撃に移っていたが、周りに居て幕僚の話が聞こえていた下士官や兵達は、幕僚が司令に説明していた「まがりなりにも軍艦」と言ったことに少し不安を覚えていた。 

 それは、『特務艇83号』が三神家が貧乏を装う為、低予算で建造した民間商船を改造した非武装船であり、現実が見えていない幕僚で大丈夫だろうか? 現実とかけ離れた情報で司令の判断に齟齬が出ないだろうか? というものであった。


 事実、83号は元々商船という事で速力も遅く、とても最前線に出てくるような船ではなかった。 乗員たちも遺書を書き残しながらも人類の為になるならばと死を覚悟しての任務だった。


 実は無知な幕僚のせいで、しなくてもいい危険にさせられている事に気が付けばどうなることやら、無事の帰還を祈るばかりである。



【B-17宙域 迎撃(公爵)艦隊旗艦『玄武』・囮(子爵)艦隊旗艦『あまつかぜ』】


 迎撃艦隊は超大型艦100隻を最前列に並べ(縦10隻×横10隻)そのすぐ後ろに10000隻の戦闘艦を3隻毎のグループにして並べていた。

 子爵艦隊は中央突破の為、密集隊形をとり公爵艦隊中央の後方についた。

 

 そして、最初の敵発見報告から約30時間後、ついに戦端が開かれた。 此方の陣形に合わせ敵艦隊も広がり出したので変更された迎撃計画の実施が確定した。

 

 敵は66000隻という事で、数の差が物を言い此方が包囲されそうになりながらも優速を活かして後退しながら戦闘を続けていた。 そして、時間と共に盾役の超大型艦100隻のシールドも50層の内40層まで抜かれた時、後方から加速して来た子爵艦隊が迎撃艦隊中央部の艦艇の間を抜けて飛び出し、突撃を開始した。

 広く薄くなっていた陣形中央部をあっさりと突破された敵艦隊は、予想通り子爵艦隊を追撃すべく反転し始めたが、それは迎撃艦隊10000隻に背を見せる事であり、簡単に撃沈されていく。

 子爵艦隊は高加速で敵艦隊を振り切り、追撃を諦めた敵艦隊が再度反転して公爵艦隊に攻撃を再開する頃には敵艦は35000隻前後まで激減しており、超大型艦のシールドも飽和状態から脱して復活していたため、公爵艦隊は余裕を持って迎撃戦闘を続けた。

 やがて敵艦隊は半数以上の艦艇を失い、撤退を開始したが。 公爵艦隊の方が加速力が高いので逃げ切る事が出来ずに一隻残らず撃沈された。

 

 この戦いでは緒戦でこそ若干の被害(中破450隻、小破1100隻)を出したが、子爵艦隊突撃後は一切の被害を出す事無く戦い抜き、1隻も失うことなく完勝した。 これによりリラは高い評価を受け、王族との婚姻に対する反対意見の多くを退ける事になった。

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