056 特務艦隊の改装と作戦計画の変更
【ダケタ王国 海運都市コスカ 救難艦運用研究所】
ロアは会議の翌日、海軍司令部と行政庁舎を回り溜まっていた書類仕事を片付けると、救難艦運用研究所に顔を出した。
「アーリス、所長と副所長が婚約者同士というのも外聞かが悪い。 それに、新たに拝領した子爵領の運営も忙しくなるので、救難艦運用研究所の職を辞するつもりだ。」
ロアはアリスティア王女に話かけ、今後についての相談を始めた。
「た、確かに外聞が悪いですわね。 仕方ありませんがロア様の辞職を認めます。 しかし、私もいずれロア様の妻となる身、結婚を期に所長を辞める事になります。 後任人事をどうしましょう・・・」
「ドン開発課長を副所長にしておけば、所長人事は王宮の人事局に任せて良いのでは? 誰が来てもドン課長が上手くサポートするでしょう。」 ロアは当たり障りのない事を言いながらも心の中では、人事局には研究所の立ち上げの時塩対応されたからな。 丸投げしてやる。(王族の結婚が絡むからな、人事局も断れまい)少しは困ればいい・・・クックックッ と悪い事を考えていた。
アリスティア王女は、「そうですわね。」と言ってその気になり、ロアの小さな嫌がらせ計画はなった。
その後、間もなく始まる侵攻作戦等について当たり障りのない話をしながら、終業時刻まで時間を潰し、2人でディナーをとりに出て行った。(朝から晩までずっとおしゃべりで終わった。)
【D-51宙域 三神子爵領 遺跡基地】
ロアは忙しい仕事の合間をぬって、第1特務艦隊の各艦を改装する為に子爵領の遺跡基地に来ていた。
海軍の宇宙戦艦は元々性能が高かったが、今度の侵攻作戦に合わせ万全の態勢を整えるべく、各システムを遺跡基地で見つけた先史文明の高性能機器に換装する作業をしていた。 又、今まで持っていなかったワープ装置の搭載も実施していた。
一通りの作業を終える頃には、遺跡戦艦も当初の予定より10隻多い110隻程準備が出来ていて、既に子爵領艦隊に編入済みの10隻と特務艦隊と併せ約130隻の三神子爵領軍宇宙艦隊が編成された。(正確には、子爵領宇宙艦隊と王国海軍第1特務艦隊との連合艦隊)
子爵領艦隊は慌ただしく補給作業を行うと、リラの公爵領艦隊との集結ポイントに向け出発して行った。
【B-17宙域 迎撃艦隊集結ポイント 三神公爵領軍宇宙艦隊旗艦『玄武』】
ロアの子爵領艦隊が到着した時、そこには公爵領艦隊10000隻と到着が危ぶまれていた海軍の超大型艦100隻が整然と並んでいた。
早速『あまつかぜ』を『玄武』に横付けし、『玄武』の作戦室で会議を始める。(本来ならば階級の高いロアが乗艦する『あまつかぜ』で会議を行うのが礼儀だが、『あまつかぜ』は『玄武』より大型艦だが、居住可能スペースが極端に少なく作戦室が小さいため『玄武』に集まった。)
挨拶の後、会議が始まり玄武の最上位者であるリラ准将が話し始めた、「まずは海軍の超大型艦100隻が開戦に間に合った事にホッとしました。 公爵領艦隊も三神関連企業からの技術支援により高性能化改装工事が終わっている分の10000隻を集める事が出来ましたので、事前にできる事は全てやったと言っていいでしょう。(但し、海軍の4隻合体の大型艦と違い普通の大きさのままなので、極端に強力な艦ではない。)
後は、敵艦隊の出現を待つばかりです。」
この発言を受けたロアが、
「こちらも当初より戦力増強が出来たので、いつ開戦になっても問題ないのだが、作戦計画の一部変更を進言させて頂く。 統合本部にも計画書を提出してあり、計画変更については現場の判断に任せるむね了承を得ている。
とは言っても大した変更では無い、最近の敵艦隊は緒戦で密集隊形を取らずに広がる様になった。
これは、敵が此方の戦術に対応したためだと思われるが、この陣形の弱点を敵は気が付いていない可能性が高い、我々は陣形が薄くなると中央突破されやすくなる事を知っているが、敵は此方が広がるのに合わせてただ広がっているだけだ。
そこで、当初の計画では公爵領艦隊で敵艦隊の足止めをしたのち、別宙域から子爵領艦隊が敵領有宙域に侵入となっていたが、新しい計画では敵艦隊の陣形が広がった場合、子爵領艦隊が敵中央を突破し、そのまま敵領有宙域に侵入することにした。
上手くいけば、子爵領艦隊を追撃するため敵艦隊は反転して公爵領艦隊に背中を見せるはずだ。 一気に攻めればいい。
反転しなくても中央突破で敵の数は減っているので、公爵領艦隊の損にはならないはずだ。
何せ、今回の敵艦隊は65000隻前後と見られるからな、少しでも数を減らした方が良いだろう。」
「「おぉ・・・」」周囲から感嘆の声が上がる中、リラ准将から「そうして頂ければ此方は大変助かりますが、兄上の艦隊は敵の宙域に突入して囮をしなければなりません。 緒戦で被害を受ければ、王国艦隊主力を含む全ての艦隊計画に支障をきたすのではないでしょうか? 」
「た、確かに・・・」 周りからも懸念の声が上がる中、「大丈夫だ、子爵領艦隊のシールドは短時間で突破される程柔ではない、加速力の高い我が艦隊なら無傷で突破出来る。」 力強く言い切るロアに引っ張られる形で新しい作戦計画の実行が決まった。




