055 新たな作戦計画
【B-17宙域 敵艦残骸集積・改装作業宙域】
第101戦隊(子爵領戦艦10隻も含む)は直接地球に帰還せず、三神関連業者による敵残骸改装作業現場に来ていた。
そこには、宇宙仕様及び無人仕様に改装され運び込まれた海軍の駆逐艦を中心として両側に敵艦の残骸を150隻纏めた物(片側だけで150隻なので、両方合わせて300隻で構成)を両舷に接続した超大型艦100隻が並んでいた。
ロアは、完成検査の報告と受領を受けた後、現場監督をしていた試作補給艦に指揮をとらせ、超大型艦100隻を王国軍の集結ポイントに向け出発させた。
艦があまりに大きすぎてゲートが使用出来ないため、通常航行での移動をするしかなく、次の敵艦隊襲来に間に合うかは微妙である。
三神関連業者に撤収を指示した後、第101戦隊は地球に向け出発した。
【ダケタ王国 王宮 国王執務室】
コスカの海軍基地に戻って来たロアは、国王に呼び出されて王宮に来ていた。
執務室には既にルコール殿下や統合本部長が集まっており、陛下や宰相と話合いが始まっていた。
「遅くなりました。 申し訳ございません陛下。」 ロアは、部屋に入るなり片膝をつき頭を垂れる。
「お主が宇宙に行っていたのは知っている。 何の問題も無い。 席に着いてくれ。」
「はっ」 陛下に言われ席につくと、早速資料を渡される。
「 ・・・これは、 ・・・良くありませんね。 敵の前線基地攻略用の戦力増強が進んでいない・・・ それどころか、前回の艦隊戦での被害で戦力が減少しています。」
「そうなのだ。 だが、戦力の増加を待っていては、敵艦隊の侵攻サイクルが早まって対応出来なくなる。 そこで新たな戦略方針をどうするか、話し合っていたのだが・・・ 」 殿下が両手を上げる。
「成程、お手上げですか。 それでは私から1つ案を出させて頂きます。」
「ほう、この状況で対応策があるのか・・・ ぜひ聞かせてくれ。」 陛下が聞いてくる。
「はっ、 先ずは三神公爵領軍宇宙艦隊と王国海軍の一部で連合艦隊を組んで敵の侵攻艦隊を相手します。 海軍の新型超大型艦も投入するので、後退しながらの戦闘に徹すれば連合艦隊10000隻対敵艦隊65000隻でも何とかなるでしょう。
次に王国海軍の第一特務艦隊と、三神子爵領軍宇宙艦隊で敵の領有宙域に先行突入を行います。 敵の迎撃艦隊を引き付けて宙域の奥へ引っ張って行きます。
最後に、殿下が王国軍の全兵力をもって隙を突き、敵前線基地の攻略を行って作戦終了です。」
「それは・・・ 三神家の負担が多すぎないか?」
「なに、王家の姫と結婚する事を考えればこの位はして見せなければ・・・ 敵侵攻艦隊の相手はリラが、敵迎撃艦隊の方は私が相手します。」
「そうか・・・ よし、ロアの案を採用する。 ルコールと本部長で王国軍の作戦計画を作成するよう命ずる。」 陛下が方針を決め、話し合いは解散となった。
皆が退室していくなか、ロアは国王陛下に呼び止められていた。
「ロアよ、海軍の超大型艦についての情報確認は出来ているのだが・・・ 子爵領艦隊については初耳なんだが、何時できた?」
「はっ、昨日編成し本日登録しました。」
「 ・・・お主の事だ、きっととんでもない艦隊なのだろうな・・・ 分かった。 退室して良い。」
「はっ、失礼します。」 ロアは、執務室から出て行った。
【コスカ海軍基地 合同司令部 作戦指揮室】
三神公爵家宇宙艦隊の戦艦『アンズー』とのリンクを確立した作戦室では、ロアと海軍幕僚達、リラと宇宙艦隊幕僚達による話合いがおこなわれていた。
「内々に進めていたが、陛下から三神の作戦案についての実行許可を頂けた。 計画通り、リラは三神宇宙艦隊10000隻と海軍の超大型艦100隻を指揮して、敵の侵攻艦隊を抑え込め。 なお、補給部隊の他に直接支援として、海軍から試作救難艦3隻と救難艦運用研究所から救難艦10隻が同行する。
又、この艦隊戦が始まり次第、私が海軍の第1特務艦隊の12隻と子爵領艦隊100隻を率いて敵領有宙域に突入し、付近の敵艦隊を誘引して敵前線基地攻略部隊から敵の目をそらす。」
「了解です。 覚悟は出来ています。 しかし、兄上の戦力が少なすぎませんか? 」リラが頷きながらも疑問を呈する。
「ふむ・・・ ここから先の話は秘匿レベル4以上の極秘事項だ! メモにも残すなよ!
さて、戦力についてだが・・・ 王国宇宙軍の通常戦艦を基準にした場合、海軍の宇宙戦艦は速力約3倍、シールド約4倍、攻撃力約4倍となっている。 その分、船体も大型化しているが・・・
今回作戦に投入する子爵領艦隊の戦艦は、速力は約10倍程度だが、シールドと攻撃力は約100倍、船体の大きさも通常戦艦よりは大きいが、海軍の宇宙戦艦の半分程度と取り回しも悪くない。
まだ10隻しかないが、次の出撃までには100隻程度揃うだろう。 囮には十分な戦力だと考えている。」
「 ・・・100倍ですか、信じられような性能ですね。 どうやったらそんな事ができるのか・・・」
周りが騒つく中、リラが呟く。
少しして、「分かりました。 通常戦艦10000隻に匹敵する戦力ですか、兄上の実力なら作戦実行に十分な様ですね。」
リラの返事を聞いてロアが言葉を続ける。「問題が有るとすれば、そちらに回す海軍の超大型艦だ。 大きすぎてゲートが使用出来ないので、通常航行で艦隊集結地に移動中だが、開戦前にたどり着けるかどうか・・・ 海軍の艦隊が遅れた場合、戦闘を避け合流を優先させてくれ。」
「はい。 ・・・此方の艦も常識外れですね。 全長15000メートルですか、通常戦艦が300メートルですから桁違いですね。」
「この艦は標準戦艦に比べてシールドが6倍程度だが、それが50層重なっいてるからな、基本的に盾として使えば良いだろう。 無人艦だし、使い潰しても構わない。」
「了解です。」
その後も話合いが続き、気が付けば日付が変わっていた。




