053 三神子爵領宙域
【海運都市コスカ 行政庁舎 代官執務室】
ロアは、ララタ副代官と腹田・黒田両侯爵について話をしていた。
「では両侯爵は、汚職等の悪事をしている気配が無いと?」
「情報部に当たってみましたが、白ですね。」
「では、重税を課して領民を苦しめたりは?」
「そういった話も無いです。 いたって普通の税率でした。」
「そうか・・・」 おかしいな、今までの行動からてっきり2人が悪役だと思っていたのだが・・・ ロアは、調べさせた結果が予想と違っていて考え込む。
「以前の会議では、自分の資産や利権に意地汚い感じがしていたから、てっきり悪人だと思ったが・・・」 思わず口に出すと、ララタ副代官が、「あぁ・・・ それなら、ただ単に考えが足りないだけです。 状況を理解するだけの能力が無いのです。」
「!?」それを聞いてロアは、ハズレ指揮官かと思い当たる。 前世のゲームでは指揮官のパラメータによって艦隊の能力に補正が掛かる為、基本能力値の高い指揮官を更に教育して使っていたが、パラメータに変な偏りが出て基本能力の低い指揮官が存在していてハズレと呼ばれていた事を思い出す。
ということは、一部の処分された宇宙軍の艦隊司令もハズレだったという事か・・・
分かってしまえば何てことない事だが、ハズレが居るという事はゲームで言うところのアタリに該当する人物が居る可能性が有るということだ。 人材発掘をしないとな・・・
ゲームで使用していた指揮官は、能力値にばかり目が行ってて、お気に入りの1人以外名前何て憶えていないし・・・
覚えていた1人もルコール殿下だから、この世界では部下にできないし・・・
ゲームみたいに能力値が見えればいいのにな・・・
はっ、もしかして!
ロアは周りを見渡して誰も居ない事を確認すると、おもむろに
「ステータス」声を上げる。 が、しばらく様子を見るが何も起こらない・・・ 顔を赤くしたロアは、足早にその場を去って行った。
異世界転生だから出来ると思ったんだけどな、ロアは心の中で言い訳しながら、ステータス画面が出なかったので気落ちする。
【海運都市コスカ 海軍居住区 海軍長官用官舎】
帰って来たロアは、居間で寛ぎながらこないだ頂いた領地について考えていた。
子爵という事で、宙域の領有が認められD-51宙域の一部を貰い受けたのだ。 この宙域は年老いた星ばかりで、居住可能どころか、テラホーミング可能の惑星も無く、交通の要所でもない為にもっといい場所にした方がいいと勧められていたが、敢えてこの宙域を貰い受けた。
それは前世のゲームでは、この場所に滅んだ文明が残した基地の遺跡があり(ボーナスとして、高性能戦闘艦や生産施設が得られる)、この世界にもそれらが存在しているのか確認したいとずっと思っていたからだ。
それに、たとえ遺跡が無くても資源がそれなりに有るので、損はしないはずだ。
辺鄙な場所だからD-51宙域の最寄りのゲートから、高加速を誇る第1特務艦隊でも片道1ヶ月はかかるが、簡易ゲート(通常のゲートは直径300mの円形、簡易ゲートは直径100mの円形)を持ち込めば帰りは2日で地球に戻れる計算だ。
今なら次の敵艦隊の襲来までに時間があるので、出来るだけ早く出発したいと考え艦隊の出発準備をしている最中だが、今回の領地視察に於いては遺跡が有った場合、他の人に見せる訳にはいかないので1人で行こうとして周りから反対されていて、何時出発できるか分からない状況だ。
何かいい方法はないか? と考えているうちに、居間のソファーで寝落ちしてしまう。
【第1特務艦隊 第101戦隊 旗艦『あまつかぜ』】
あの後ロアは、何とか周りを説得して1人でD-51宙域に来ていた。
今回は第101戦隊の6隻だけで行動しており。 ロアの指示のもと遺跡の近くまで来ていた。
「遺跡が存在するか確認する。 『あまつかぜ』・『あさかぜ』2隻のみ微速前進、センサー範囲ギリギリまで近づけ、気付かれると自動防衛装置が作動する恐れがある慎重に行え。」
「了解。 電波管制開始、センサーパッシブモードに切り替えます。」
・・・暫らくして
「遺跡を発見しました。 ロア司令の言っていた特徴と一致します。」
よし! 思わずガッツポーズをしながらも指示を続ける。「エネルギー反応を確認しろ、遺跡は稼働しているか?」
「・・・エネルギー反応無し、動体反応無し、遺跡は稼働していないもよう。」
「そうか・・・ しかし、このまま近づいたら動き出すかもしれないな・・・
よし、先にコアを破壊するぞ! 『あまつかぜ』・『あさかぜ』大型レーザー砲用意、シールドが無い今なら2隻のレーザー砲で十分だろう。
照準は、右から2番目のアンテナ基部から下に80メートル。 20メートル程奥にコアが有るはずだ・・・ 準備出来しだい連動射撃を実施せよ。」
「了解。 ・・・射撃終了。 目標部の破壊を確認しました。」
ロアは『あまつかぜ』一隻で破壊部に近づいていた。
「『あまつかぜ』、格納庫の方には近づくな! 今、中の艦艇が起動したら攻撃してくるはずだ。 遺跡の制御システムから敵味方識別を書き換えるまで刺激をあたえない様にしろ。」
「了解。」
持ってきた三神コアを『あまつかぜ』の作業ドローンを使い、遺跡の破壊したコアの代わりに取り付けると、何の問題もなく遺跡を制御する事が出来た。
ロアは、遺跡の存在、コアの場所、三神コアでの遺跡の制御等、他の人には説明出来ない事ばかりで、1人で来て本当に良かったと思いながら作業を続ける。
先ずは、全ての敵味方識別を書き換えると、第101戦隊を呼び寄せ格納庫に収容し遺跡基地の設定を見直ししていく。
資材や燃料の確認 ・・・ 十分な量が有り当面問題無し。
生命維持装置やシールド等の防御装置 ・・・ 問題無く起動。 異常なし。
無人作業船による付近の資源発掘 ・・・ 作業船全50隻中、47隻起動するも3隻起動せず。 起動した47隻は作業開始。
取り敢えずそこまですると、戦闘艦等の確認作業を明日する事にし、ロアは休む為『あまつかぜ』の部屋に戻った。
遺跡を見つけた興奮のため、中々寝付けなかったが・・・




