052 謁見の間
【ダケタ王国 王宮 謁見の間】
皆が頭を下げる中、国王が入って来る。
「面を上げよ。」
参列した貴族達が国王陛下に面を向ける中、「皆、良くやったと言いたいが・・・ ルコールよ分かているな?」
「はっ、緒戦での混乱で要らぬ損害を受ける事になり、指揮能力の未熟さを痛感するばかりです。 如何様な罰をも受ける覚悟です。」 殿下が片膝を着き頭を垂れると、今回の戦闘に参加した貴族達もそれに続く。
皆を見下ろしながら国王陛下が、「さて、皆も理解していると思うが今回の件、ルコールただ一人が悪いわけではないと考えている。
諸侯に尋ねるが・・・ 特に中央の3侯爵は緒戦での敵との戦いで、ルコールの指示通りの動きが出来なかったわけだが・・・ 何が原因でそうなったと考える?」
腹田侯爵が「敵が改良型のため防御力が高く、此方の攻撃が上手く通らなかったため被害が拡大したものと考えます。」
黒田侯爵もそれに続くが、白井侯爵が、「腹田侯爵達のいう事も原因の1つではありましょうが、艦隊指揮能力に問題が有ったと思っております。
実際我が艦隊は、ロア殿の支援及び指揮を受けた後は、被害らしい被害を出す事も無く、敵に対して優位に戦えました。」
「ふむ、まだ考えがたりぬな・・・ ロアの三神艦隊が行った複数艦での多重シールドや一点集中攻撃戦法は、過去の実績から有効な戦術として公開されておる。
数多くの貴族家が三神家に対して確執を持っておる事は承知しているが、三神と言う名前だけで目を逸らすから大事な情報を見逃す事になる。」
陛下が皆を立たせ、話を続ける。
「ロアが宇宙軍の艦隊司令だった頃、敵との戦いにおいて多大な被害を受けた。 艦隊の三分の一の艦艇を失い、戦死者約4万人。 ロア自身、手足を失った・・・ だからこそロアは敵に勝つことを必死で考え有効な戦術を考え出した。
実際、前回の敵との艦隊戦の時にロアに敵宙域の強行偵察を行わせたら、敵守備艦隊との戦が生起したが300隻で30000隻を撃破して見せた。(9隻で26000隻を撃破した事はあれすぎて秘密になっている。)
それだけの思いと成果を三神と言う名前だけで見逃すのは愚の骨頂だとは思わぬか?」 などと言いながらも国王は、王家と三神家が表向き仲が悪いふりしていたせいで諸侯の三神家無視が起きたようなものなので、内心冷や汗をかいていた。
ロアも、そんな重い決意の賜物で考え付いた戦術ではなく、前世を思い出しただけなので同じく冷や汗を・・・
「さてロアよ、今回の戦い見事であった。 前回の強行偵察での戦果と合わせ、子爵へと陞爵させる事ととする。 また、王家と三神家の繋がりを強くする為、ロア兄弟とうちの姫達を婚約させる。」
婚約と聞いて低いどよめきが起こる中、ロアが王家へのお礼と忠誠を誓う。
今回、損害を出した貴族家当主達は、厳重注意と罰金で済んだが、王国軍で被害を出した艦隊の指揮を執っていた者についてはそれではすまなかった。
宇宙軍では三神戦術が戦闘広報として広まっており周知の事実であったからだ。 実際に三神戦術を行った艦隊はそれなりに戦えており、敵を侮り三神戦術の訓練をしなかった司令達は無能の烙印を押され、司令職を解任、降格され予備役に編入された。
【同上 国王執務室】
陛下はルコール王子とロアを呼び出し3人で話をしていた。
「王家と三神家が仲違いしている事にしていたが、それで敵に遅れを取ることになるとはな・・・ 両家の関係を目に見える形で良好である事を示すのに、婚約はある意味ちょうど良かったな。」
陛下が言うと、ルコール殿下が、「確かに一度に2組も婚約させるのはインパクトが大きかったですが・・・ 少々やり過ぎなのでは?」
「ふむ・・・ 言っていなかったが、ロアとアリスの婚約は元々決まっていたのだ。 根回しも済んでいてな、時期を見計らっていたのだが・・・ メイがリラに手を出していた事が後から判明してな、結局2組とも婚約させる事にしたのだが発表のタイミングがつかめず今まで・・・ 少し無理やりな感はあったが、今回の事は発表に良い機会であった。」
「そんな事が」 ルコール殿下がロアを見ると照れているのかうつむいている。 と、そこで?となる。
「父上、先程の発表だと、ロアとメイ、リラとアリスが婚約すると皆おもっているのでは?」
ロアがハッとして顔を上げて陛下を見る。
「うむ、年齢的にそう思っておるだろうが、我はロア兄弟と姫達としか言うておらんからな、どの様な組み合わせでも問題無い。」
「「・・・」」 思わずルコール殿下とリラが陛下にジト目を向ける。
「まぁ何にせよ、宜しく頼むよ義弟殿」 ルコール殿下がロアに手を伸ばすと、「こちらこそよろしくお願いします。 義兄上」 ロアがその手を握り固く握手をかわす。
今後の協力体制について話が進んでいったが、今回の艦隊戦で出た被害により、今後の作戦計画遂行が難しくなった事もあり、今度改めて話合いをする事になった。




