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035 あの艦は水上艦艇であり、宇宙戦艦ではない

【第702防衛隊 旗艦307SW-1】


 誰もが言葉を失っていた。

 目標の艦隊を実力で止める場合に備えて、戦闘準備を始めた途端、後方に回り込まれ降伏勧告を受けたのだ。

 「何が起きた・・・ オペレーター状況は?」 隊司令が確認する。

 「・・・」

 「オペレーターどうした!」

 「し、失礼しました。 速過ぎて正確な数値は分かりませんが・・・ 相手は、圧倒的速さで移動。 こちらが対応出来ないうちに回り込まれロックオンされました。 後、相手から通信が・・・ 流します。」


 「 ・・・繰り返す。 こちらは、ダケタ王国海軍。 第1特務艦隊旗艦『あまつかぜ』自動制御AIである。 貴艦隊からの戦闘行動を確認した。 直ちに戦闘配置を解除し機関を停止せよ。 従わない場合は、王国海軍及び三神領軍の交戦規定に基づき、実力で排除する。  繰り返す。 こちらは・・・」


 「なっ・・・ 」隊司令は、瞬時に状況が不利であると判断すると。

 「戦闘態勢解除。 ジェネレーター出力をアイドリング状態へと移行。 僚艦にも急いで伝えろ。」


 表向き冷静に対処しながらも・・・ 「くそっ 何だこれは! くそっ ・・ ・ 」 心は大荒れであった。



【中央管制ステーション】


 訳が分からないうちに第702防衛隊が無力化され、管制室内が一瞬静まり返る。

 「これでは人質ではないか! 接近中の各防衛隊に距離を取って包囲するよう伝えろ。」管理主任の声で再び室内に騒めきが戻る。


 「主任!」 青い顔をしたオペレーターが主任を呼ぶ。

 「どうした!」 オペレーターの顔色を見て嫌な予感がしながらも返事をすると。

 「ダケタ王国軍統合本部より、警告には感謝するが、報告のあった艦隊は正真正銘、我が国の艦隊である。 国王陛下直々の観閲を行うため、急ぎ帰還するものである。 手出し無用と・・・」


 「どういう事だ! 識別データの改ざんは? 王国軍のデータベースにあの艦は無いのだろう?」

 オペレーターが言いにくそうに「改ざんの件ですが・・・  ゲート職員が個艦の識別信号が海軍の戦艦の物であった為、宇宙に居るはずが無いとの判断から、改ざんされたものと報告を・・・」


 「それがどうした? 私だって海軍の識別信号が宇宙にあれば改ざんを・・・  まさか・・・」

 「そのまさかです。 確かに王国宇宙軍のデータベースには該当艦艇のデータがありませんでしたが・・・ 王国海軍のデータベースを確認したところ該当するデータがありました。」


 「 ・・・では、あの艦は水上艦艇であり、宇宙戦艦ではないと? なんじゃそりゃ・・・ ありえんだろ」 管理主任の心からの叫びが・・・


 ロアが思いつきで造った改装戦艦だが、この世界の常識に真っ向から喧嘩を売っていた。

 恐るべし! ロアが前世の子供の頃に見ていたテレビアニメ、宇宙戦艦ヤ〇ト


 オペレーターが恐る恐る「主任、どうしましょう・・・」

 「どうしようって、お前・・・」

 「留めておくのは不味いのでは・・・ あの艦隊、国王陛下が到着を待っていますし、王国海軍長官が直々に指揮しています。」

 「はぁ? 海軍長官って・・・ あの三神公爵家の跡取りの? えっ、居るの? あそこに?・・・」

 その場に崩れ落ちた主任が「終わった。 今までのキャリアが・・・    防衛隊を引かせろ。 第1特務艦隊を通せ。 臨検チームも待機に戻せ。」


 第1特務艦隊が動き出すのを待って、「先任、後を任せる。 私は上に報告してくる。」 先任オペレーターに任せて主任が肩を落としながら出て行った。


 今回の事件は、一見国際協力機構のステーションと防衛隊の行動が悪かったように見えるが、調査の結果王国海軍にも過失(典型的なお役所仕事。 海軍の船や部隊が出来た時、情報を送る先がリスト化されており、海上交通センターや港湾管理局、各漁協等には連絡が入っていたが、リストに無かった宇宙関係の各所に知らせていなかった。)が見られたとして、双方が大事にしたくないといった事から、政治的判断により軽微な事故扱いとなった。


 これにより、表向き大きな問題になる事は無かったが、裏では大きな反響があった。


 ダケタ王国海軍(三神海軍)恐るべし(水上船を宇宙に上げるなんて、頭大丈夫?)


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