029 敵増援12000隻が接近中
【B-17宙域 駆逐艦ツゲ 遭難ポイント】
「センサーに感あり。 右25度、仰角5度。 距離20宇宙マイル。 識別信号受信、ツゲです。」
オペレーターからの報告を基に救難艦隊が急行する。
外部カメラが捉えた映像を見て、「酷い・・・」 思わず出たであろう誰かの声が聞こえてくる。
そこには、元の形が分からない程バラバラになった艦があった。
ロアは、それを見つめながら「識別信号が出ているんだ。 コア(艦の情報、制御システム中枢)は無事のはず、急いで情報連結を行いツゲの状況を確認しろ。 それと、捜索救助班を準備させろ。
・・・僚艦にツゲを中心に全方位精密捜索をするように伝えろ。 例え、体の一部であっても見つけ出せ。 国に連れて帰る。」
重苦しい空気の中、捜索が続いていく。
「副幕僚長、まだ10000隻前後の敵艦の所在が分かっていない。 念の為、無人偵察機の索敵範囲を広げてくれ。」
「はっ、了解しました。 2倍に広げます。」
と、オペレーターから報告が「ツゲのコアと情報連結完了。 内容確認実施中・・・ ツゲの総員98名・・・ 総員退艦の指示、出ていません・・・ 脱出ポットの使用記録なし・・・ 」
ドン! 思わず目の前の隔壁を殴りつけたロアは、「分かった・・・ 捜索救助班に要救助者は98名だと伝えろ。」
ツゲに近づき、捜索救助班を送り出してから暫らくして、「捜索救助班より報告。 艦内全エリアの捜索終了。 生存者無し。 91名の遺体を収容。 所在不明7名。」
更に別のオペレーターが、「収容遺体の認識番号確認。 未確認の7名は応急班と思われます。 ・・・コアの情報では、応急班がサブジェネレーターの起動作業をしていた事になっていますが、その付近は敵レーザー砲の直撃で蒸発しています。 おそらく7名も・・・」
「分かった・・・ 捜索救助班を帰艦させろ。
えい航準備。 コアの在る中枢ユニットと、応急班が居たであろうサブジェネレーター周辺のユニットを持ち帰る。
僚艦に捜索終了を伝え、敵艦3隻をえい航するよう指示を出せ。」
救難艦隊は、仲間の艦隊に合流すべく帰途についた。
【B-17宙域 総旗艦ランサーズ 司令部区画】
「救難艦隊ビューフォートから報告。 『ツゲ発見なるも生存者無し。 なお、付近で発見出来た敵艦は、Xタイプ3隻のみ。』以上です。」
報告を聞いてプロン大将が考え込む・・・ どういう事だ、敵にはまだ10000隻程の艦があるはず・・・ 索敵範囲内に反応は無い。 何処に居る・・・
主力艦隊は防御に徹し、順調に時間稼ぎが出来ていたが、所在不明の敵艦隊に対し嫌な予感がしてならなかった。
更に時が過ぎ、ツゲの捜索救難部隊も戻り、順調に行けば行くほど嫌な予感が膨れ上がっていく。
が、ただの杞憂だった。
哨戒中の駆逐艦カエデが、同じコースを遅れてやって来る敵艦隊を発見したのだ。
プロン大将が、「敵増援12000隻が接近中である。 敵が合流したのち、防御から攻撃に移る。 6000隻を撃破した時点で防御態勢をとり時間稼ぎの続きを行う。」指示を出し。 艦隊が活気づく。
その後、王国艦隊は、問題無く敵艦隊を削り、1週間程時間を稼いでから撤退を開始した。
ロアは、プロン大将とモニター越しに挨拶をおこない「計画通り時間稼ぎお見事でした。 敵の侵攻も一旦止まり、次の進行までの3ヶ月で更なる戦力増強が出来ます。 救難艦の量産も進んでいるので、次のサポートも任せて下さい。」
「ロア大将もお見事でした。 おかげで殆ど艦艇の損失を出さずに済みました。」
それぞれの目的地に向け、帰投を開始した。




