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018 16000隻対20000隻の艦隊戦 

 タイトルの隻数だけ見れば凄そうですが、あっさりと読めると思います。

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 津波、酷くならなさそうだけど、終わりが見えないのは不安ですね。

【コスカ海軍基地 海軍合同司令部 作戦指揮室】


 ロアは、試作救難艦が指定宙域に到着するのに、まだ30時間以上あることから、救難艦運用研究所ではなく、海軍の作戦指揮室に来ていた。

 海軍作戦指揮室のモニターには、宇宙軍作戦室から転送されてきた映像や各種情報が映し出されており、幕僚や、基地に停泊していた艦艇の艦長達が部屋に集まっていた。


 「諸君、間もなく王国宇宙軍と敵艦隊との戦いが始まる。 諸君の中には、これから宇宙軍に転属になる者もいるだろう。 味方の勝利を祈りつつ、自らの糧とすべくしっかりと戦いを見てほしい。 

 さて、簡単に状況を説明する。 王国宇宙軍の7個艦隊は既に集結を終えており、約18000隻の戦闘集団を形成、敵正面に位置している。 又、『タリヤイツ国』の艦隊約2000隻が向かっており、戦闘開始予想時刻から1時間遅れで合流する予定だ。

 敵艦隊は、偵察情報から約16000隻が確認されており、王国艦隊の数的有利が確定している。 又、艦型識別の結果、敵は通常タイプのAシリーズで構成されている。 高性能タイプのBシリーズや特殊タイプのXシリーズはいない模様だ。 

 皆も知っているように、Aタイプが相手なら個艦性能も王国宇宙軍の方が上だ。 宇宙軍の司令部は、数的能力的優位から、正面から勝負を挑む考えだ。」


 ロアが説明を終え、モニター画面を注視すると、皆もモニターに視線を向けた。

 モニターを見ると、王国宇宙軍の艦隊が、後進をかけながら上下左右に広がりつつあった。 陣形を薄く広くする事で艦載兵器の射線を多くとり、時間当たりの攻撃力を上げる戦法を取るためだ。(陣形が厚いと、前方の艦が邪魔で後方の艦が射撃できなくなる。) 但し、薄い陣形は敵に中央突破されやすい欠点があるため、使いどころが難しい。

 今回は、戦闘中の混乱を避けるため、冷静な序盤に使う事にしたようだ。 敵が突撃してきても王国宇宙軍の艦艇の方が加速力が上なので、冷静に後退すれば中央突破はされない。 最後まで冷静さを失わなければ、かなり被害を減らせるだろう。


 そうこう考えているうちに戦端が開かれた様だ。 おそらく短期決戦を狙っての事だろうが、凄まじい猛攻だ。 これほどの規模での全力射撃は、前例がないだろう。

 それに対して敵艦隊は、セオリー通りの中央突破を狙って陣形を密に細長くしている。 そのため、陣形の前方の艦しか射撃が出来ず、内側や後方の艦が有効な攻撃を出来ないでいる。 敵の陣形は、確かに防御力がアップするが、時間当たりの攻撃力は、王国宇宙軍の10分の1程度に低下している。


 正直、敵艦のAIは賢くない。 パターン通りの行動しかしないのだ。 今回はそれが上手く嵌った感じである。

 戦闘開始から既に1時間以上経過し、『タリヤイツ国』の艦隊も合流して戦力バランスが更に傾き、敵艦が加速度的に撃沈されていく。

 戦闘開始から2時間、敵艦隊が半数以上の艦を失い後退を始めた。 王国宇宙軍も攻撃を止めその場にとどまる。

 ロアが、「王国軍の勝利だ。」と言った瞬間、作戦指揮室に歓声が響いた。


 が、最後にケチが付いた。

 『タリヤイツ国』の艦隊司令から敵艦隊の追撃を再三要求され、王国宇宙軍が追撃しないと分かると、「王国は戦いの機微を理解できない腰抜けである。」とか「敵を見逃すのは、人類に対する裏切りである。」とか騒ぎ出したのだ。 

 しまいには、「1月後の国際会議で責任を追及する。」と言い残して帰っていった。

 暫定的な戦闘結果を見てみると、敵艦約8000隻を撃破、味方の損害は100隻近くが撃沈され、小破以上の損害を出した艦が約9500隻、となっていた。 損害艦の数が多く感じるが、これは撃沈されないように被害が出た艦を早めに交代させていたためで、殆どが小破で済んでいる。


 ロアは、作戦指揮室に集まっている幕僚達を解散させ、救難艦運用研究所に向かった。


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