013 MQ-787E無人偵察機 初登場~ そして最後かも・・・
【救難艦運用研究所 正面玄関】
田辺子爵との話し合いから約2週間程過ぎ、試作艦の不具合箇所についての問題も解決され、婚約の噂話も下火となり、先行量産救難艦もそろそろ就役しだすという時に、国王からの呼び出しを受けた。(しかも、王宮からの迎えの車両付き。)
ロアは、何やら面倒ごとが起きそうだなぁ、行きたくないなぁ~ と思いながらも迎えに来た連絡官と共に送迎車に乗り込む。
すると振り向いて、「所長、呼び出されたのは私だけですが?」何故か一緒について来たアリスティア王女に言うが、「そうですね。」と、言いつつも乗り込んで来る。
何で乗って来るかな・・・ せっかく噂が収まってきているのに、一緒の車で王宮なんかに行ったら・・・
「所長? どの様な用件で乗り込んできたのですか?」
「用件ですか? ・・・ありませんね。」
はぁ~!?どういう事・・・ 一瞬思考が止まる。 と、「愛しのロア様と一緒に居たかったもので・・・」 更なる驚きの言葉が・・・ 止まった思考が空回りを続ける。
「と言うのは冗談で、何か面白そうな事が起こるような気がしましたので付いてきました。」
「・・・」 これは、反応すると余計に揶揄われると思ったロアは、無視することに決め、窓の外を眺めはじめた。
【ダケタ王国 王宮 国王執務室】
執務室では、ロアと国王が雑談をしていたが、部屋に宰相が入ってきたのをきっかけに本題に移った。
「先ずは宰相、状況を説明してくれ。」 国王がそう言い、宰相が説明を始めようとする。 と、「お待ち下さい。」アリスティア王女が口を挿んで来る。
「どうしたアリス」陛下が訊ねると。
「 ・・・先程から無視されているのですが、どういう事でしょうか?」
「「「相手すると、面倒になりそうだから・・・」」」皆の意見が一致する。
「な・・・ 」アリスティア王女が何かを言いかける。 が、続けて陛下が「そもそも、この話合いにアリスを呼んでおらん。 出ていけとは言わないが、おとなしくしていなさい。」言い放つ。
「そ・・・ 分かりました。」
「宰相、説明を 」陛下に促され、宰相が話始める。
「昨日1630頃、B-17宙域のツポロ観測所から、正体不明艦隊を探知との第一報がありました。 更に、2145に観測所から発進していた『MQ-787E無人偵察機』が正体不明艦隊と接触、撮影に成功するも撃墜されました。
その後、映像及び観測データを分析した結果、敵で間違いなしと判断。 2330に王国宇宙軍はツポロ観測所の破棄を決定すると共に、B-17宙域に展開中の第11、12、33、35、36、41、43宇宙艦隊に迎撃を命じました。
現在、各艦隊は合流すべく行動中です。 合流後は、第11宇宙艦隊司令のプロン鈴木中将が全体の指揮をとる予定です。 会敵予想時刻は、3日後の1100頃となっております。」
「さて、今回は敵艦隊に対して同等以上の戦力を揃える事が出来そうだ。 問題無く撃退出来るだろう。 ただ・・・ 」ここまで言ってから陛下がこちらに強い視線を向け、「敵艦隊の出現が早すぎる。 前回の戦闘からまだ3ヶ月も経っていない・・・ どう思う?」聞いてくる。
「そうですね・・ 」ロアは、あくまでも推測ですがと言いながらも「これまでの敵の出現パターン思い出してください。 3月程前の我が艦隊が壊滅した戦闘までは、敵艦隊の出現は約6ヶ月毎に12回。 その前は、約1年毎に12回。 更にその前が2年毎に12回、4年毎に12回、8年毎に12回・・・
そして、敵は出現回数が増えるごとに隻数も増える傾向にあります。 その事を踏まえ、敵は12回の攻撃を1サイクルとして、前線基地もしくは、転移ゲートを半分の距離に設置していると考えられます。」 (まぁ、前世のゲームと同じ行動パターンのようだし間違い無いだろう。 確か何も障害が無ければ一定の距離ごとに
転移ゲート基地を設置、障害に当たると一定回数の艦隊行動後に障害となる地点と前線基地の中間地点に基地を設置されることで敵艦隊の出現が早くなっていく仕様だったはず・・・)
「ふむ、やはりそう思うか。 これから敵の出現が早まっていくとなると、いずれは対応しきれなくなるな・・・」 国王が言うのを聞き、やはりその程度には気が付くかと思いつつロアが口を開く。
「陛下、もう一つ気が付いた事があるのですが・・・ 敵が敗北し撤退した場合、次に現れる敵艦隊の戦力は約2倍に増強されます。 さらに、敵が大敗した場合の敵戦力の増強は約10倍の規模になります。
但し、敵が勝利した場合は、次に現れる敵艦隊の規模は微増に留まります。 前回の戦闘みたいに敵艦隊を撤退させても、こちらが壊滅し、敵が付近の宙域を領有した場合も敵規模は微増となるようです。
敵艦隊が一番最初に現れた時は、10隻だったと記録にありますが、今では約15000隻にまで増えています。 いずれ敵の増援にも限界が来るでしょうが、それが10万隻なのか100万隻になるのかは分かりません。」 前世のゲームだと10万隻で頭打ちだったからな、こちらでも10万隻までかな・・・ 取り敢えず、無理なく10万隻の敵艦隊を撃退し続けられる態勢を作りあげないと詰むな・・・ などと考えながらも話を続続ける。
「今までも、何回か艦隊戦に勝利していますが、最終的には敵の物量に押されて支配宙域を奪われ続けています。 根本的な戦略の見直しが必要ではないかと思われます。 取り敢えずは、時間的猶予を得るための遅滞戦闘と、今以上の戦力増強計画が必要かと・・・」
「 ・・・それは可能なのか・・・ 否、何としてでもやらねばならんな。」 国王が、一瞬弱気を見せるが直ぐにやる気を見せ、「宰相、宇宙軍本部に今の会話の内容を伝え、遅滞戦闘計画と戦力増強計画の案を早急に出させろ。 今回の敵艦隊との戦闘が終わり次第、王宮会議を行い、戦略の見直しを図る。」
宰相が執務室から退出し、お開きになろうとした時、ふと国王がアリスを呼んだ。
「はい、何でしょうか?」
「救難艦運用研究所の所長に命ずる。 3日後の艦隊戦では多数の死傷者が出ることが予想される事から、現在運用試験中の試作救難艦を B-17宙域へ派遣せよ。」
「はい、謹んで拝命いたします。」
ロアは、張り切るアリスティア王女に袖を引かれながら研究所に戻る事になり、試作艦の長距離運航に必要な物資や人員の手配をする事に・・・
またしても、ロアの残業が決まった・・・




