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011 僕たち仲良しだよ計画

【静止衛星軌道上 ななつ星重工 パーティーホール】


 ななつ星重工のパーティーホールでは、試作艦完成祝賀会が盛大に行われていた。(普通なら小型艦一隻の就役にこの様なパーティーを行う事は無いのだが、発注主が第三王女なので会社側が気を利かせた。)

 その中、陛下が現れ一瞬の内に静粛が生まれる。

 皆が膝をつく中、「しのびだ、気にせず続けるように」陛下からのお言葉を受け皆が動き出す。

 陛下が、王女や私の居る一画に向かって来るのを待ちながら、周りの様子を窺うと気にしていないふりをしながらも、皆がこちらを注目しているのが感じられる。

 ロアは、隣にいるアリスティア王女に小声で訊ねる。

 「アーリス、陛下は君を激励にきたのかな? それとも、私との『僕たち仲良しだよ計画』のためかな? 何か知っているかい?」

 「いえ、何も聞いておりませんけど・・・ おそらくその両方だと思います。 ところで、どうでもよろしい事ですが『僕たち仲良しだよ計画』・・・ ネーミングセンス最悪ですね。」 フフフ

 「ネーミングセンス最悪って・・・ だからって笑わなくてもいいだろうに。」

 「センスを笑ったのではありませんわ。 また私のことをアーリスと呼んだので何だか昔を思い出して可笑しく感じただけです。 ・・・最近、気の抜けていることが増えているようですね。 私も昔みたいに『ロー兄さま』とお呼びした方がよろしいのでしょうか? ロア様?」アリスティア王女がからかって来る。

 思わず赤面していると、陛下が声を掛けてくる。

 「アリス、それにロアよ、この短期間に艦を造り上げたこと、見事である。 今後も励むように」 周りに聞こえるように言った後、声をひそめて聞いてくる。

 「ロアよ、顔が赤いが熱でもあるのか? あの怪我だからな、ムリはいかんぞ。 アリスもあまりロアに無茶を言わない様にな」

 「もちろんです お父様。 ロア様も、私のこと『気遣いの出来る良い女』と言って下さいました。」 アリスティア王女がドヤ顔で言ってくる。

 「いや、気遣い出来るとは言ったけど、良い女とは一言も・・・」 ロアが言いかけると、王女に冷たい視線を向けられた。

 「な・に・か 言いましたか? ロア様。」

 「いえ、何も・・・」

 国王陛下がニヤニヤしながら「ずいぶんと仲が良いな・・・ アリスも16歳になった事だし二人で婚約でもするか? 」 聞いてくる。

 「陛下、ご冗談はおやめ下さい。」 ロアが言うと、アリスティア王女が、

 「あら、ロア様が言っていた。『僕たち仲良しだよ計画』にピッタリのお話ではありませんか。 この場を借りて私達の婚約を発表してしまいましょう。」 と、悪乗りしてくる。

 それを聞いて国王が、「何だ?その『僕たち仲良しだよ計画』と言うのは、冗談ではなく二人の仲がそこまで進んでいたのか?」 と、聞いてくる。

 すると王女が、「私達の事ではありません。 お父様とロア様お二人の仲のことです。」フフ

 「ハァ~?」 思わずといった感じに国王陛下の口から間抜けな声が・・・

 「あ? あぁぁ・・・ あの事か・・・ アリス、紛らわしい言い方をするな。驚くではないか。」

 「あら、先にこちらをからかってきたのはお父様ですよ。」 アリスティア王女が冷めた目で国王陛下を見る。

 陛下は、視線をそらしながら「ま、まぁ  王族、貴族の婚姻ともなれば、本人達の気持ちで決まるものでもないからな・・・ 政治や家同士の関係等が優先されるからな。」 などと、聞かれてもいない事を言って、誤魔化す。


 最後に、「これからも王国への、より一層の貢献を期待する。」 わざと周りに聞こえるように言い、去っていく。



【救難艦運用研究所 第一建造ドック(旧海軍修理ドック) 渠底】


 ドックの底から試作艦を見上げながら「第一回運動能力測定を終えました。 全ての項目に於いて期待値以上の値が計測されましたが、大気圏離脱時に原因不明の出力低下が見られました。 それでも基準値以上の値が出ているので、問題無いと言えば問題無いのですが・・・

 おそらく、ジェネレーターかその周辺に何かしらの不具合があるのではないかと予想されます。」 ドン中佐が、第三王女を始めとする集まった幹部に報告する。

 「分かりました。 以後の各種測定計画については、原因の解明が済むまで一時凍結とします。」 王女が集まった幹部達に言った後、こちらに聞いてくる。

 「ロア様、先行・・・  副所長、先行量産の方は如何するべきと考えますか?」 

 頬を少し赤く染めているのを からかいたいと思う気持ちを表に出さないように気を付けながら、「そうですね・・・ 

 既に各造船所での建造が始まっているので、ここで建造にストップをかけると周りへの影響が大きくなりすぎます。 ジェネレーター関連の作業だけ後回しにしてもらって、このまま作業を続けるべきと考えます。」


 「分かりました。 では、そのように。

 関係各所への連絡と調整は全て副所長に任せます。」ニッコリ


 今日もロアの残業が決まった・・・

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