100 後方の準備
【ダケタ王国 王国軍統合本部 及び 辺境軍基地周辺】
本部作戦室は辺境軍の全力出撃を支える為、あらゆる支援要請に応えられるよう準備に大忙しであった。
先ずは、辺境軍基地の有る宙域に王国宇宙軍の約4割にあたる兵力が集められていた。 この宙域は、王国へと繋がるメインゲートの他に、三神の製造拠点に繋がるゲートと『ゲーマー』宙域へ繋がるゲートが有り、今回の作戦実行の中継地点としてとても重要であった。
そして、指揮官としてルコール殿下が旗艦『黒虎』と近衛艦隊を引き連れて来ていた。 又、海軍の第2特務艦隊が正式に近衛艦隊に編入された。
第2特務艦隊には超大型無人戦艦100隻、水上艦艇改装型無人戦艦6隻(ケリー・カンダハー・カシミール・ケルヴィン・カルトゥーム・キンバリー)、水上艦艇改装型有人補給艦2隻(久須見・間宮)が所属している。
その内、水上艦艇改装型無人戦艦6隻と有人補給艦2隻は単独ワープ能力を持っており、いざという時は超大型無人戦艦100隻で敵を足止めしつつ単独ワープ可能艦でルコール殿下達を逃がすことも考えての近衛艦隊編入であった。
ルコール殿下の指揮する艦隊は、ロアの辺境艦隊の後方を守る事を第一としながらも、増援要請の対応や撤退時の援護等、臨機応変の対応が求められる運用の難しいものであった。
そして、ルコール殿下の指揮する艦隊とは別に大規模な補給部隊が編制されていた。 何しろ補給線がどこまで伸びることになるか未知数の為、必要数の試算が出来ない事から集められるだけ集めた感じだ。
ここから随時補給部隊が編制されて出発していく事になるが、それらの護衛の為に各国からそれぞれ数千単位の艦隊が集まっていた。
そして今、本部作戦室と旗艦『黒虎』の作戦指揮室を繋いだテレビ会議が行われていた。
「そちらでも戦況は確認していると思いますが、ロア司令の艦隊はゲート1つ向こうで一旦足を止めています。 これは敵が侵攻用に集めた戦力を潰すためですが、敵の兵力は30万隻規模の艦隊が10個艦隊以上集まっていると推測されています。」
「確かに、こちらでもデータを分析しているが、おそらく20個艦隊以上とみている・・・ 」
「その為、ロア司令は敵を各個撃破するために艦隊を上手く動かさなければなりません。 此方から送る補給部隊がその動きを阻害する事のない様に十分に気を付けてもらいたい。」
「それについては、各部隊に更なる注意を促す事としよう。 所で増援の方はどうなっている?」
「現在、各貴族家からの派遣部隊による艦隊を編成中ですが、辺境艦隊が敵の侵攻用の兵力を全滅させるまでは部隊を派遣できないと言う貴族家が多く、今しばらく時間をいただきたいと思います。」
「仕方がないのだろうな・・・ もし敵艦隊がそちらに現れれば、時間稼ぎや領民の避難のため船はいくらあっても足りないぐらいだからな・・・ 」
「はい。 特に今は補給や輸送用の艦船の多くを前線に送っていますので・・・ 」
「増援がしばらく無理なのは了解した。 今はまだゲート1つ分だからいいが、この先ゲートを2つ、3つと占領していけば守備兵力が足りなくなる。 敵の侵攻用の兵力が無くなり次第、すぐに増援を送ってくれ。」
「了解しました。」
この時、後方ではロアの辺境軍が敵兵力を壊滅させるにはまたまだ時間がかかると考えて補給の出番はまだ後だと思っていた。 実際、ロアもそのように考えていたが、いざ蓋を開けてみれば各個撃破に持ち込むまでも無く片っ端から敵を殲滅できるせいで燃料弾薬の消費が早まった。
前線からの補給要請は思った以上に早かった。




