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ほぼ存在しない俺を、学園の姫だけは見つける  作者: さーど
第二章 姫様との新学期

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84/100

EP84.恐ろしい姫の父親

 短めです申し訳ありません…

 テスト期間のため暫く二本投稿じゃなくなる事をご了承ください。

 今は姫様の部屋で晩飯の時間なんだが…メンバーが結構凄いことになってるのである。


 妹の瑠愛るあに、隣人である白河小夜しらかわさよとその両親である正悟しょうごさんと小朝こともさん…そして俺江波戸蓮(えばとれん)の計五人だ。

 もう一種の核家族じゃね?とでも言いたくなってきたぞ…実際には核家族+兄妹だけど。


「さてさて江波戸くん…詳しく聞こうじゃないか」


 早速(こえ)ぇなあ…正悟さんが影の含んだ視線で俺を見てくるんだけど…

 隣で俺が作ったコロッケをのんきにサクサクと食っている瑠愛がとても羨ましくなってくるぜ…可愛いけど。


「あの…お父さん?私と蓮さんはそういう関係じゃなくてですね…」

「ほう?じゃあ小夜、さっきの発言はどういうことなんだい?」


 小夜、もういいお前は黙っていろ。

 ここは俺がズバッと言ってやるよ!


「えっちょ………えっとですね、俺ちょ…俺と小夜はちょ…とある日をキッカケに仲良くなっちゃ…なったんですよ…」

「ほう?」


 やべえ、引くほど弱々しくなってるぞ俺…

 何故か[た行]だけ全然言えてねえぞ俺…そのせいで''とある事''を『とある日』にわざわざしちゃったぜ…その後噛んだけどな。


「それで、小夜が料理を全くできないことが分かりまして…」

「蓮さん?」


 仕方ねえだろ!?誤魔化すためには小夜、お前を犠牲にするしかないんだよ!?

 だからそんな顔を赤らめないでくれよ…結構可愛いからさ…


「たしかに、小夜は昔から料理が出来なかったね」

「お父さんまで!?」

「で、そのためおすそ分けを頼まれてたんですけど…更に料理を教えて欲しいと頼まれまして、それで一緒に食べてるだけなんです」


 …ん?よく良く考えればこれ全部事実じゃね?

 そうだ!俺たちは傍から見れば不健全だろうが本当は無罪(ノンギルティー)だ!


「なんと…江波戸くん、それは本当なのかい?」

「ええ」


 お、正悟さんの表情が柔らかくなったぞ!

 さっきから小朝さんが横でプルプルして笑っているような気がするが気の所為だろうな、うん。


「それはありがとう…それで、今の時点でどれくらいの成果なんだい?」

「けっ───」

「それがですねお父さん!」


 小夜が言うのな。


「もしかしたらお母さんより美味しく作れるかもしれないんです!」

「…小夜?それはどういう事かしら?」


 今度は小朝さんのお顔が恐ろしいことになってきたぞおい!?

 小夜って時々天然なところあるよなあ…そこもいいと思うけど、さすがにここでは勘弁して欲しいぞ…


 というか、小朝さんより美味しくか〜…料理当番である母親に宣戦布告とは、小夜も大きく出たな。


「まあまあ小朝さん、落ち着いて。でも小夜、料理当番の私を超えないと意味は無いんじゃない?」


 いや料理当番そっちだったのな。

 …小朝さんの料理の腕ってどんくらいなのか逆に気になってきたわ。


「お雑炊を味付けで作れるくらいですね」

「いや心読むなよ。あと妙に具体的だな。分かりにくいけど」


 まあたしかに小夜って知り合ってばっかの頃、雑炊食わされたけど味なかったもんな。

 正直言って、ドングリの背比べではあるんだが。


「…まあともかく、料理は出来るようになっているようで何よりだよ。江波戸くん、ありがとう。このコロッケも凄く美味しいよ」

「ありがとうございます。正悟さんは料理当番の事ですが、料理の腕はどのくらいなんですか?」

「うーん、そう言われても説明しにくいね。明日の昼食、もしくは夕食にでも一緒に作ってみるかい?」

「いいですね!よろしくお願いします」


 なんとなく正悟さんとの絆が深まった気がする…


「お母さん、何故蓮さんとお父さんは女性の方みたいな理由で仲良くなっているんでしょうか?」

「さぁ〜…でもでも、明日は楽しみねえ〜」

「…兄さんの料理が一番、ごちそうさまでした」







 そんなこんなで夕飯を済ませ、俺は瑠愛と部屋に戻った。

 瑠愛はもう既に課題は終わらせているため、連休の最終日に帰るらしい…我が妹が偉すぎるんだが?


「姉貴と一緒に過ごさなくても良かったのか?」

「姉さんは毎日会えるから…連休はできれば兄さんといたいの」


 あ、やべ…涙腺崩壊してきた…

 とりあえず瑠愛に[ラクリモールグランドブレイカー]という称号を与えよう…

 …すまん、涙腺破砕者のつもりだったけど長すぎてダサいから没で。


「ありがとうな、瑠愛。嬉しいよ」

「いいの。私が願ってる事だから」


 そう言って抱きついてくる瑠愛。

 俺は瑠愛の背中に手を回して、頭を撫でて瑠愛の優しさを堪能したのだった。

 割とギャグ多めにしてみました。


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