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ほぼ存在しない俺を、学園の姫だけは見つける  作者: さーど
第二章 姫様との新学期

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EP83.妹と姫の両親と

 今日はこの一本だけになります…非常に申し訳ない。

 あれから数日が経ち、多分GWゴールデンウィークである四連休に入った。

 俺こと江波戸蓮えばとれんは、妹である江波戸瑠愛えばとるあが来ると言っていたため、駅前の噴水で待っていた。


 なのだが…


「なんで小夜もいるんだ?」


 白河小夜しらかわさよも、何故か俺の隣に立っていたのだ。

 今日は別にデートに行こうとしている訳では無いし、もう夜になりそうという時間であるので、隣にいるのは結構違和感がある。


「先日に言ったじゃありませんか。私の両親も来るんですよ。瑠愛さんと日付、時間帯が被ったみたいですね」

「すげえ偶然だなあ…」


 小夜の両親か〜…母親である小朝こともさんはなかなか騒がしい人だったが、父親ってどうなんだろうな?


 そんなことを思っていると、駅舎から人がぞろぞろと出てきた。

 仕事の帰りの人が多いからなのか、かなり大勢である。


「…あれ?あれって瑠愛さんでは?」

「ん?…あ、ほんとだ」


 そんな中で、中学生にしては背が高く、メガネを掛けているおさげの少女がキョロキョロと見回していた。

 少ししてこちらに来たかと思うと、その少女は額に手を当ててなにかつぶやく。


「…兄さんの匂いがする…」

「犬か!?」

「あ、兄さん」


 匂いって何だ…気配じゃないのか?

 そんなこんなで、瑠愛と無事合流することが出来た。


「よお瑠愛、久しぶりだな」


 そう言って俺はトコトコと駆け寄ってきた瑠愛の頭を撫でる。

 瑠愛は俺に撫でられて心地よさそうにしている…可愛い。


「相変わらずですね…」


 なんか小夜に呆れられているが知ったことじゃない、妹は最高なのである。

 一ヶ月という出会えなかった期間は長いんだ、ふん。


「…あれ?小夜さん以外にも金髪の人がいる」

「ん?」「はい?」


 瑠愛が俺の後ろを見てそう言ったので、俺と小夜は同時に振り向いた。

 …あ、いたわ…かなり背が高くてすごいスタイルしているから、髪型も相まってすげえ目立ってる。


「あら?小夜〜!」


 小朝さんの登場である…いやあ、目立つなあの人。

 小朝さんは小夜の方にかけよったかと思うと、小夜に抱きついた。


「むぐっ!?む…お、お母さん!?何するんですか!?」

「久しぶりねえ小夜〜、寂しかったわよ〜?」

「たった一ヶ月ぶりですよね!?」


 仲睦まじい?母娘の光景に、俺は唖然としていた。

 やべえ、羨ましい…小夜を抱くのすげえうらや…げふっ、げふっ。


「小朝さん、小夜が困っているじゃないか。離してあげなさい」


 そんな低い声が届いたと思うと、小朝さんは「は〜い」と渋々小夜を離した。


 その声を辿ると…男性にしてはかなり身長の低く、落ち着いた雰囲気のおじさんがいた。

 服装がなんともダンディーで、溢れるギャップに言葉を失ってしまう。


「お父さん。お久しぶりです」

「久しぶりだね小夜。会いたかったよ」

「私もです」

「ねぇ〜!?私となんか反応違わなすぎない!?」

「お母さんは少し静かにしてください」

「むぅ〜!」


 いや子供か。

 小夜と小夜の父?を前に、小朝さんが可哀想になってくる雰囲気である…


「小夜、この人がお前の父親か?」

「あ、はい」

「…小夜、誰と話しているんだい?」


 小夜の父?が怪訝な顔で小夜に問いかける。

 小夜はアイコンタクトで俺に話しかけてきたので、やはり俺は叫ぶのだった…


「どうも!」

「うわっ!」

「あら?あらあら!?江波戸くんじゃない!久しぶりねえ〜」


 やべ、面倒くさい方に捕まっちまったか。

 小朝さんは俺を見て「あらあらあらあら!!」と騒がしい。


「小夜と一緒に迎えに来てくれたのお〜!?いやあできた彼氏さんねえ〜」

「いや違いますし、付き合ってないですよ?俺は妹を迎えに来ただけです」


 瑠愛の腰に手を当てるとここはさすがの瑠愛、冷静にぺこりと頭を下げる。

 小朝さんは「照れちゃって〜!」って言ってくるけど、どうすればいいと思う?


「小夜、父親に手綱握らせるんじゃなかったか?」

「お父さん、お願いします」

「状況は把握出来ないけど、小朝さん。とりあえず落ち着こうか」


 そう言われた小朝さんは、一瞬で静かになった…すげえ、素直にすげえ。

 そして小夜の父?は俺に向き直り、ご丁寧に頭を下げてきた。


「小夜の父、白河正悟しらかわしょうごと申します。小夜がお世話になってるようで」

「あ、江波戸蓮です。こちらこそお世話になっております」


 小朝さんと違ってすごく話しやすそうな人で助かった…


「では蓮さん、今日はどうしますか?」

「ん?」

「夕飯です」


 なあ小夜、それを正悟さんや小朝さんの前で言うの危険だと思わないか?

 特に小朝さん、この人には絶対に言っちゃダメだろ?


「…どういう事だい江波戸くん?何やら小夜が本当にお世話になっていそうな雰囲気だけど」

「江波戸くん!?まさか…小夜と半同棲しちゃってるのかしら!?」


 いや半同棲ではないけどよ、『夕飯です』だけで色々察しすぎじゃない?

 なんか瑠愛も目を丸くして俺を見てるんだけど…とりあえず誤魔化すために頭を撫でておいた。


「まあ、そんな事はさておきですね。俺が振る舞いますよ」

「ありがたいけど、後で色々聞かせてもらっていいかい?」


 あ、やっぱ逃げられない?

 色々悟った俺は、引き攣った笑顔で頷かされたのであった…

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