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ほぼ存在しない俺を、学園の姫だけは見つける  作者: さーど
第二章 姫様との新学期

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59/100

EP59.明日から姫と一緒に…?

 評価ポイントが4桁、更にジャンル別日間12位、週間49位でした!ありがとうございます!

 あと、たくさんの誤字報告ありがとうございます。この作品の書き方的に直せない所も多々ありますがご了承してくださると助かります。


 学力テストが終わって結果が返された日の夕方の話だ。


 俺こと江波戸蓮えばとれんは、今日も今日とて白河小夜しらかわさよにおすそ分けを渡しに来ていた。


「今日もありがとうございます」


 こうも毎日楽しみにしていたと言うような顔をされると、自然に気分も良くなるものだな。

 が、あんまりこの感情を悟られたくは無いので、視線を逸らしながら「おう」と返しておいた。


「蓮さん。今日返された学力テスト、合計何点でしたか?」


 小夜が突然そんな事を聞いて来た。

 普段テストの点数なんて聞いてこないが、学力テストは結果を張り出さないから気になったんだろう。


 で、俺は一応今回のテストの合計を思い出すが、今は少し嫌な予感がしていた。


「そういう小夜こそ何点だ?聞いてきた方が先に言うべきだろ」

「488点です。範囲が去年習った内容全てと広いので、点数が少し悪くなりました…」


 点数を聞いた瞬間俺は頭を抱えた。

 はあ…まじか〜…


「なんでまた点数同じなんだよ…」


 俺も488なんだよな〜…嫌な予感的中だ。

 小夜の言っていた理由で、俺も今回のテストは少し点数が悪くなってしまったが…それでも同じ点数なのはおかしくないか?

 小夜を見ると、目を丸くさせていた。


「えっ、本当ですか?」

「ああ、本当だ…あーでも、俺去年のテストでお前に勝ったの最後だけだし、まだ上出来な方なのか?」


 まあ最後だけど言っても、同点になる前もずっと二位で、小夜より二、三点くらい劣る程度の点数だったけどな。


「ふふ、そうかもですね。…しかし、これで3回目でしたよね?」

「そうだな…はあ、安定して小夜に勝てる自信は今のとこないなあ」

「私も今はそうですね」


 二人とも同じ気持ちで、最終的にどっちも笑ってしまった俺たちだった。

 いやー、本当に小夜との距離が縮まってしまったかもな。

 まあ、今はそれを望んでいたりはするんだが。


「えと、それとですね、蓮さん。一つお願いがあるんですが…」

「ん?なんだ?」


 何の用だと首を傾げると、小夜は途端に顔を赤くさせて、上目遣いでこちらを見てきた。

 あの…やめてもらっていいか?結構効くんだが、それ…


「家に上がっても構いませんので、次の夕飯からは料理の練習がてらに一緒に作ってくださいませんか?」


 それを聞いて、俺は固まった…は?

 えちょまっ!!いやいやいやいやいやいや!!!!


「は!?え、おまっ!!」


 俺はもう大混乱状態だった。

 え?一緒に料理?えーっ…てことは毎日小夜と食うの!?


 ………何その新婚生活……

 じゃねえよ!?何考えてんだ俺!?


「オゥラァ!!!」

「蓮さん!?」


 煩悩退散と頭の中で唱え続け、俺は自分の頬をぶん殴った。

 痛え…けど今の煩悩の罰にはこれが丁度いい。


「すまん。少し冷静になっていた」

「だ、大丈夫ですか…?」

「ああ」


 力強く頷いて無事を示す。

 小夜は安堵した表情を見せる、俺の反応の理由がわかってか顔は真っ赤だ。

 なんだか顔熱いし多分俺も真っ赤だけど。


「で…その…」

「はい…わかりやすく言い直しますと、毎日一緒に料理をして、一緒に食べてくださいませんか?」

「ッ!?」


 あかん…なんか、蒸発しそう…

 いいなあ、そんな生活…想像するだけで楽しみだ…


「……」

「…あの…どう、ですか?」

「お、おう……わかった」


 俺が頷くと、小夜の顔はパァーっと輝いた。

 その顔を、色々な意味で俺は直視出来なかった。


「えーっと、でもな…一つだけいいか??」

「はい?」

「さすがに金がキツイから折半で頼む…」


 ムードガン無視だが、さすがに金がきついのは言っておかないと不味い。

 一応約束通り親から仕送りはされているが、それでも最低限生活出来る分しかない。


 だから俺の金だけで二人分作るのはキツイ。

 おかずを一つだけ量を多くするだけのおすそ分けとは訳が違うからな。


「あの…もちろん最初から折半のつもりでしたよ?…寧ろ、いつもおすそ分けして下さっていますし、これまでの分も出しましょうか…?」

「いやそれはいい。おすそ分けは俺が勝手にやった事だし、金も足りていたからな」

「で、でも…」

「いいから」


 さすがにそこまで払わせるのは申し訳が立たなくなる。

 譲るつもりは無いと態度で示すと、小夜は渋々と言った感じだが頷いた。


「よし。じゃあ、えっと…明日からよろしくな」

「はいっ。あ、でも、買い出しとかどうします?」

「下校時にでも行けばよくね?少し遠回りしたらスーパーあるんだし」

「一緒に、ですか?」


 あっ…


「…えっと、どうする?あれなら俺が行くけど…」

「いえ…その、一緒がいい、です」


 あーもう上目遣いやめろ!前まで効かなかったのになんで今になったらそんなに脅威なんだよ!

 俺は首を勢いよく縦に振る。

 すると小夜はまた顔を輝かせた…眩しすぎない?

 ここは戦略的撤退だ!


「…じゃあな。また明日」

「ええ、また明日です!」


 小夜が扉を閉めたが、俺は暫くその場から動けないでいた。

 はー…もうとっくにキャパシティオーバーしてるってのによ、ったく…

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