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ほぼ存在しない俺を、学園の姫だけは見つける  作者: さーど
第一章その4 なぜか姫様との接触が増えた

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EP47.おまけ 三きょうだいの朝

 かなり早めのおまけですが、かなりほのぼのな感じです。


追記:前回の最後かなり改稿しました、あまり物語に影響はありませんが良ければどうぞ。

 次の日の朝の話だ。


 俺こと江波戸蓮えばとれんは、瑠愛が俺を見失ったため寝起きで叫んだ後、キッチンで朝食を作っている。

 向こうのダイビングテーブルには、双子の姉の江波戸凛えばとりんと、愛しの妹の江波戸瑠愛えばとるあの姿がある。


 で、昨日聞いた話によると、二人とも春休みなので三月いっぱいまでのこの一週間ずっと泊まるらしい。


 両親にもなんとか話は通してるそうだ…けどな?さすがにもっと早く言って欲しかったよ!?

 まあ瑠愛と過ごせるんだし、暇だしいいんだけどさ。


 朝食が出来上がったので、ダイニングテーブルに皿をだして盛り付ける。


「できたぞ」

「お!うっまっそ〜」

「美味しそう…」


 二人の前の前にはトーストと目玉焼きは勿論、キャベツとベーコンの炒め物がある。

 軽く炒めただけなので水分は充分残っており、朝食には丁度いいはずだ、多分。


 俺たちは手を合わせた、三人で合わせるのは昨日を抜きにすると初だ。

 食べ始めて、凛と瑠愛は「「おいしい」」と言ってくれる、軽い料理だが安堵の息が漏れてしまう。


「いや〜いいよね〜。きょうだいでののんびりな朝食。雰囲気がもう和むって感じ」

「そうだな。俺もそう思ってたところだ」

「うん。みんな家族」


 あ〜、なんか涙ちょちょ切れできた。

 あくびで誤魔化して涙を拭ったが、凛がなんか慈愛の眼差しを向けてくるから、多分凛にはバレているんだろうな。

 まあ、瑠愛にはバレてないから良しだ。


 そう思って瑠愛を見ると、瑠愛はこちらをずっと見ている。

 俺は首を傾げて「なんだ?」と促す。


「いやね、少し思ってたんだけど…今は掛けてるけど、兄さんは私や姉さんと違って普段は眼鏡掛けてないよね?」

「いつもはコンタクトしてるからな。今は寝起きだからしてるだけだ。俺も視力は瑠愛や凛とそう変わらない」

「そうなんだ。じゃあメガネ三人きょうだいだね」


 瑠愛?もうそろそろ俺の涙腺崩壊させるのやめてくれないか?幸せすぎるんだが?

 なんか…無性に瑠愛の頭を撫でたくなってきた。


「撫でていいんじゃない?」

「心読むなよ…」

「顔に書いてる」


 どうやらニヤケすぎてたらしいな…だからといって、凛も姫様も俺の心を読みすぎじゃないのか?

 まあ、別にいいんだが…


「兄さん?どうかしたの?」

「あ〜、いや。なんでもない」


 さすがに知って2日目の相手に、頭を撫でられたくないだろうよ…さすがに諦めさせてもら──


「蓮が瑠愛の頭をすっご〜く撫でたくて、仕方がないみたいだよ?」

「お〜い?凛さ〜ん?」


 瑠愛の俺への印象が多分…恐らく、急上昇中なのに、一気に下げることしないで下さいやがれ?マジで。

 血の気を引くのが感じる…ああ、俺、もう生きてく意味な──


「いいよ?」

「……は?」


 今、なんて言ったんだ瑠愛?

 答え次第では、俺のメンタルの今後が決まってしまうぞ?


「だから、撫でていいよ?寧ろ、撫でて欲しい」


 涙腺崩壊…我が生涯に一遍の悔いなし…っ!?

 俺は涙を流しながら、隣の席に座る瑠愛に手を伸ばす。


 ポンポン、と最初に軽く叩き、前髪に沿って手を擦りはじめる。

 サラサラでつるつる、キューティクルバッチリで俺の頬はもうご想像道理である。


「兄さんの手、大きくて安心する…」

「だってさ〜蓮?よかったね?」


 向かい合わせになった凛が前屈みになって、俺に手を伸ばしてくる。

 そして、俺の頭を撫で始めた。


「…俺を撫でる必要あるのか?」

「いやぁ〜、これまで良く頑張ったねって」

「…そうかよ」


 俺はもう幸せの頂点だよ…


 なんかさ?さりげなく瑠愛が抱きついてくるしさ!?

 小さくて柔らかくて、俺の体にすっぽり入る。

 落ち着く甘い匂いも得点で着いてきた。

 遠いと思ってたがこんなに近くで…あぁ…あかん…こんな幸せな時ってあるだろうか…


 朝食から俺らの幸せ雰囲気は全開である、主に俺が。

 そんな幸せの時間に、凛が提案を入れる。


「ね〜、今日さ、桜咲いてるじゃん?」

「まだ三分くらいだけどな」

「まいいじゃん。でさ、みんなで花見しにいこうよ!」


 その提案に、瑠愛は目を輝かせている。

 瑠愛は可愛いものや綺麗なもの好きなので、桜とかは結構ドストライクらしい。


 瑠愛が頷くなら、俺も頷くしかない。

 その時の俺の顔はさぞかし幸せでいっぱいの顔だったと思う。

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