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グリーンスクール - 野球小僧  作者: 辻澤 あきら
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野球小僧-5

登場人物が多いため会話の「 」の後に発言者の名前を書いてあります。

当初略称で書いていたのでまだ変更されていないところがあれば、ご指摘いただけると助かります。



 「さて」

学校から少し離れた緑地公園のグラウンドで、小林が同好会の仲間を前に話を切り出した。

「これからは、楽しみながら、お互いを助け合いながら、野球をやっていくわけだけれどその前にひとつ問題がある」小林

2年の高松が頷きながら、応えた。

「メンバーだな」高松

「そう。いまは、たった7人しかいないから、ゲームができない」小林

「それに、ポジションを決めないと、上手くならないよ。キャッチボールとバッティングが上手くても、野球にはならない」池田

池田が言った。それに亮も頷いた。

「とりあえず、これまでやってたポジションで決めてみようよ」小林

「じゃあ、小林はピッチャーだな。池田がキャッチャーで、オレはセンター。それから……」高松が順番にポジションを割り当てていく。

「それから、君、名前は何だった?」高松

「大木亮です」

「大木君は、前はどこ守ってた?」高松

「それが……、全然やったことなくて…」

「そうかぁ。そしたら、どうしよう」高松

「セカンドはどう?あんまり背も高くないし、外野よりは内野のほうがいいんじゃない」中沢

「そうだな、じゃあ、中沢、悪いけど、お前、サードかショートに回ってくれないか」高松

「僕、外野でもいいですよ。外野に、慣れてないやつが入ったら、全部ホームランになっちゃうかもしれないし」中沢

「そうか。じゃあ、とりあえず、センターで頼むよ。と、それから、サンディ」高松

「ハイ、なんですか?」サンディ

「君…アナタは、どこができますか?」高松

「ワタシ、ピッチャーやってました。でも、どこでも大丈夫です」サンディ

「試しに、投げてもらおうか」小林

「そうだな、ピッチャーは何人いてもいいから」高松

「でも、純の控えなんて、出番はないよ」池田

「いいじゃないの。別に僕が投げなくても」小林

「そうそう、『がんばれ、ベアーズ』みたいで、いいじゃない」高松

「何にそれ??」一同

 白けた空気の中、高松が取り繕うように説明をした。


 「ま、試しに投げてみてよ。おい、池田、頼むよ」高松

「はい!じゃあ、ちょっと待ってね」池田

池田はミットを持ってネットの前に駆け寄り、そこにしゃがみこんだ。

「サンディ、まずは、軽くキャッチボールしてから」池田

「OK!」サンディ

サンディは自前のグローブをつけ、池田相手にキャッチボールを始めた。しなやかな身体とは裏腹に、小気味いいボールが池田のミットに収まった。受ける池田は意外な表情を隠せなかった。はっきりと、こんなはずはない、という顔をしていた。

「OK、ホンキでいきますよ」サンディ

そういうとサンディは大きく振りかぶり、ゆっくりとしたテイクバックから素早い腕のふりで速球を投げ込んだ。と、ボールはミットに音をたてて収まり、池田は一瞬怯んでしまった。しん、とした雰囲気がその場にいた全員に漂った。ただ、サンディだけが止まった時間におかまいなしにニコニコとしていた。

「Hey ! Ball, back !」サンディ

サンディの催促に池田はようやく我に返り、ボールを投げ返した。ボールを受け取ったサンディは何もなかったかのように淡々と次の投球に入った。ボールは、やはり、大きな音を立てて池田のミットに収まった。

「すげぇ~!」

感嘆の声がサンディを讃えた。サンディは軽く腕を振るだけで次々と剛球を投げ込んだ。誰もが食い入るように見るなかで、サンディは投げ続けた。

 冷静に戻った高松が声を掛けた。

「OK!サンディ、すごいよ。ユー、アー、ザ、グレイト!、でいいのかな?」高松

「Thank you ! デモ、ワタシ、これでも、まだまだデス」サンディ

「小林よりすごいんじゃないの?」中沢

言われた小林は、腐りもせずに、

「見ればわかるよ」と答えた。

「これは、いけるな…」高松

「何が?」池田

「いや、一軍に挑戦できるぞ」高松

 高松の言葉が皆の注意を集めた。


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