野球小僧-49
「さすがに、すごいね」池田
「あいつはダメだよ、イチローは出しちゃあ」山本
「でも、無理だよ。無茶苦茶速いんだから」木村
「まぁ、しかたないさ。振り出しに戻っただけさ」高松
「サンディ、大丈夫」高松
「ダイジョウブ、デス。もう、打たれません」サンディ
「あんまり、無理に抑えようとしないで、打たせてもいいよ」高松
「さぁ、この回、誰からだ?」山本
「僕」小林
「頼むぞ!」山本
「でも、山本、今日はおまえダメだな」池田
「タイミングが合わないんだよ」山本
「サウスポーはダメなんだな」高松
「右ピッチャーでも出てくれりゃあいいんだけど」山本
『打席に入った小林君、ぽんぽんとストライクを先行されて、ツーナッシング。強気ですね』
『小林君が慎重に来るのを読んでいたようですね』
『第3球、投げた、空振り!三振!あっけなく三振です』
『江川君、のってきましたね。愛球会で足の速いのは誰なんですか?』
『そうですね、山本君と小林君とぐらいじゃないですか』
『そうすると、なかなか江川君を崩すのは難しいでしょうね』
『サンディが打席に入りました。さっきは特大のホームランをたたき込んで見せましたが、今度はどうでしょうか。江川君、ふりかぶって、投げた、ストライク!速球をストライク!強気の勝負です』
『意地でしょうね』
『真っ向からの対決になっています。さぁ、第2球、投げた、ボール!高に浮いた、ボール。少し、力んでしまったのでしょうか。ボールを手でこねて、馴染ませています。サインを確認して、ゆっくりとふりかぶって、投げた、打った!打球は、ピッチャーへ、はじいた、と、江川君急いで捕りにいって、投げた、1塁、アウト!でも、いまの…』
『左手でたたき落としましたね。大丈夫でしょうか?』
『そうですね、ワンバウンドのボールをグローブのないほうの手でたたき落としましたが、マウンドに選手が集まっています』
「おい、大丈夫か?」東
「…ん、ちょっと」江川
「どこ?」東
江川は親指のつけ根を押さえながら差し出した。
「無理するな、降りろ」野村
「そうそう、あとはオレにまかせな」イチロー
「おい、なんだイチロー、外野から来たのか」東
「いやぁ、心配だから」イチロー
「うそつけ。とにかく、江川は交代だ。監督に言って、次のピッチャーを」東
「オレオレ」イチロー




