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グリーンスクール - 野球小僧  作者: 辻澤 あきら
38/64

野球小僧-38

「ね、それ本当?」山本

「うん、本当」室

「じゃあ、オレが活躍したら、大絶叫でお願いしますよ」山本

「名前は?」室

「オレ、山本和彦」

「ピッチャー江川、ツースリーから、…投げました、三振!山本君、大きな空振りで三振です!」室

「なんでだよ!」山本

「あたくし、秘かに江川君のファンなのです」室

「なんだよ、そんな実況ありかよ。日テレの巨人の放送じゃねえんだから、公平に頼みますよ」山本

「まぁまぁ、どうせ素人の実況だから、多少のひいきは大目に見てよ。A放送のアナウンサーたいなもんよ」室

「なんだ、そりゃ」山本

「打ったぁ、大きい!センターバック、センターバック、はいるかっ?はいれぇ!はいった、ホ~ムラン!、なんてね」室

「『はいれ!』はねえだろぉ」山本

「でも、そういう実況するアナウンサーもいるってことで、あたくしのような素人では、感情を抑えることなんてできないわ」室

「リョウさん、こいつ、バカ?」山本

「ちょっと」

「うるさい、そんなこと言うとボロカス言うぞ。大体、あんたでしょ、挑戦状なんて厄介なことしたのは」室

「オレ、知らない」山本

「山本とかいうバカのせいだって聞いてるのよ」室

「さーあ、飯も食ったし、軽く散歩でもしてくるか」山本

「あいつ、ホントに面倒なタイプね」室

「だれのことやら…」

「なんか言った?」室

「んん、別に。でも、大変だね放送部も総出で」

「まぁ、新聞部が助けてくれるし。新聞部の方が大変かもしれないわ」室

「ふーん、そう」

「それとね、ミホちゃんも見にくるってよ」室

「ふーん、そう」

「なんだ、うれしくないの?」室

「それどころじゃないよ。試合が…」

「ミホちゃんの前で恥かきたくないってか」室

「そんなこと……。それより、ボクがエラーしたら、無茶苦茶実況するつもりだろう」

「大丈夫、あたくしと亮君の仲じゃないの、アイスクリームでも奢ってくれるっていうんなら、抑えておいてあげるよ」室

「収賄の取引はしないよ」

「じゃあ、覚悟はいいな」室

「脅迫するの」

「そんな、脅迫なんて恐ろしい。あたくしは、亮君の試合に臨む覚悟を訊いただけなのに……」室

「泣きまねまでするの」

「まぁ、気にしない気にしない。頑張ってね。そいじゃ、あたくしは打ち合わせがあるから、これで」室

「はいはい」

「亮君」

「なに?」

「ふぁいと!」

 親指を立ててウインクして見せた室に、亮はドキッとさせられてしまった。室は手を振って校舎の方へ走って行った。

「ふぁいと」

亮は一言呟いて残った弁当をたいらげた。


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