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グリーンスクール - 野球小僧  作者: 辻澤 あきら
36/64

野球小僧-36

 山本はふてくされたように、でも少し落ち着いて話し出した。

「野球ができなきゃ、愛球会も何もあったもんじゃないんだぜ。わかるか。このままじゃ、どこも練習試合やってくれないんだ。正規の野球部に反発した連中が集まったチームなんて、ただのお荷物だ。頼み回ったってなかなか受けてくれる訳ないだろ。練習するにも場所を探して、探し回って、何とかこじんまりした練習ができるだけじゃないか。楽しく野球をするためには、練習して鍛えなきゃ始まらないんだ。チョンボしてりゃあ、辛いだけだ。そうだろ。ある程度上手くなって、そこから野球ってのは面白くなるんだ。だから、野球部とやらなきゃなんないんだ。わからねえのか?」山本

「それはそうかもしれないけど」小林

「だけど、山本、だからって挑戦状なんて」高松

「いいんだよ。そのくらいで。とりあえず、オレたちの力を認めたら、グラウンドを使わせてくれって要求しなきゃなんないんだから」山本

「何だって?」高松

「野球部の練習は毎日あるわけじゃないだろ。それに朝でも昼休みでも空いてるじゃないか。だから、空いてる時は使わせてくれって書いたんだよ」山本

「じゃあ、勝ち負けは?」池田

「負ける気はしねえけど、もし負けたときのことを考えたら、『勝ったら』なんて条件がつけられるわけないじゃないか」山本

「じゃあ、おまえ、チームのこと考えて」高松

「…やっぱり、公園や川原じゃあ思いっきりバッティング練習もできないし、外野の守備練習もままならないしな。悔しいじゃないか、オレたちだって同じ学校の生徒なんだ。グラウンドぐらいいいじゃないか、使わせてもらったって。だけど、あの監督の石頭を叩き壊すには、このくらいしなきゃ仕方ないんだ。だろ?」山本


「よし、やろう」池田

「おい、池田」小林

「正直に言えば、やりたいって気持ちはあったんだよ。だけど、負けるのが、まぁ、怖かったんだよな。監督にあんだけ言って辞めておいて、負けたらカッコ悪いじゃないか。だから、やめておこうと思ったけど、いいじゃないか、やろうよ。チャンスだよ。ぼくたちがぼくたちの主張をするチャンスだよ」池田

「負けても、善戦すれば主張できるんなら、やっておいたほうがいいよ」中沢

「負けたら、なんて言うな!勝つために試合をやるんだ!」山本

「ソウデス、勝ちましょう!」サンディ

「だけど…」小林

「ちょっと、急すぎるんじゃない」高松

「いいさ、向こうも準備できないし、一気に叩きのめしてやるんだ」山本

「よし、やろう。な、キャプテン」池田

「監督は受けたの?」中沢

「いま、了解をもらってきたんだ。な、サンディ」山本

「ソウデス。日曜日、ゲームです」サンディ

「ここまできたら、後には退けないよ。やろう、キャプテン」池田

「……よし、やろう」高松

「よぉし、そうこなくっちゃ」山本

「小林、いいな」高松

「ぅん、仕方ないな」小林

「嘘つけ。本当はやりたいんだろ」山本

「やりたいけど、早すぎるよ」小林

「いいんだよ、1回だけっていう訳じゃないから。勝ったら今度は向こうから挑戦してくるし、負けたら再挑戦という口実で試合できるよ」山本

「もしかすると、それはイチローと企んだのか?」高松

「へ…。だれ、それ?」山本

「知らばっくれるな」高松

「いいじゃないの、そんなこと。試合ができりゃあいいんだよ」山本

「よし、やろう」池田

 意気上がるチームの雰囲気に呑まれて、亮も笑みを浮かべていたが、心はどこか冷めていた。試合をしたほうがいいと思っていた。試合をしたいとも思っていた。だけど……。

 亮ははしゃぐサンディにつられてニコニコしていたが、どこか晴れない気分を抱いたまま、ぼんやりとしていた。


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