野球小僧-35
話が停滞して、沈黙が漂っていた。薄曇りから静かに陽が差してきて、じりじりとした暑さが感じられてきた。それでも、名案が生まれない限り、沈黙を保つしかなかった。
高松が我慢しきれずに、切り出した。
「こうしていても、仕方ないし、監督に謝ってくる」高松
「でも、キャプテン」池田
「いいよ、山本の方は後で何とかしよう。とりあえず、謝って、穏便に済ましてもらってから、考えよう」高松
「僕も行きます」小林
「みんなで行こうよ。そうすれば山本の暴走だってわかるってもらえるから」木村
「そうしよう。仕方ないよ」池田
誰も拒否するものはなかった。
重い腰を上げて、ぞろぞろと学校へ帰る途中、向かい側から山本とサンディがやってきた。サンディは大きく手を振って駆け寄ってきた。
「リョウ、ゲームができます!」サンディ
「サンディ、どういうこと?」
「おい、山本。ちょっと来い!」高松
「なんですか?」山本
「なんですかじゃないだろ!おまえ、何したかわかっているのか?」高松
「あぁ、試合のことですか」山本
「試合って、そんなもんじゃないだろ。挑戦状なんて穏やかじゃないこと言いやがって。どうする気だ!」小林
「まぁまぁ、いいじゃないの。試合ができるんだから」山本
「待て、山本。どういうことだ」
「野球部と練習試合が決まったんですよ。今週の日曜日の午後」山本
「待てよ、勝手に決めるな」小林
「いいじゃないの。いつもいつもキャプテンにばっかり相手を探してもらってちゃ悪いから、俺も探してきたんだ」山本
「待てよ、挑戦状を送るのが、探すってことなのか?」高松
「あんまり堅いこと言わないの。結果的に試合ができるんだから」山本
「山本ぉ、いいかげんにしろ!」小林
「うるせえな!どっちにしろ、遅かれ早かれ野球部とはやらなきゃなんないんだ。だったら一気にやっちまおうぜ。俺とサンディがいりゃあ、野球部相手でも負けねえぜ」山本
「二人で野球ができるわけないだろ。みんなで楽しく野球をするのが僕たちの愛球会じゃないか。それを勝手に、何やってるんだよ!」小林




