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グリーンスクール - 野球小僧  作者: 辻澤 あきら
29/64

野球小僧-29

 路面電車に乗り込むやいなや、愛球会の面々はばたばたと座席を占領し、今日の勝利を肴に好き勝手に騒ぎだす。幸い車内は空いていて、運転手に少し睨まれただけで何のお咎めもなかった。

「完勝、完勝」山本

「楽な試合だったね」中沢

「始めは焦ってたくせに」小林

「まぁ、実力の差ってとこだね」池田

 今日の勝利は前回よりも嬉しかった。やはり、前回は女子校の野球部だったこともあって、素直に喜べないところもあった。今日は強豪ではないにしろ、正式な野球部、しかも3年生主体のチーム相手に勝利を修めたことにチームの全員に自信が沸いてきた。特に、亮には初めての捕殺、初めてのヒット、初めてのホームランが一度に体験できた、信じられない日だった。おまけに、試合終了後に高松からMVPを言い渡された。やんやの声の中でひたすら照れるしかなかった亮だった。


 御城駅で亮はサンディ、室、小林、木村と一緒に降りた。小林はそこから徒歩で、木村は自転車を駅に置いてあったので、そこで別れた。

「亮君バスでしょ、一緒に帰ろうよ」

「ん、ボク、ちょっと学校行きたいから、循環のバスに乗るよ」

「そぉなの。何の用?」

「ん、ちょっと……、忘れ物」

「なんじゃ?あやしいな…」

「違うよ、宿題忘れたんだ。ほら、理科のプリント」

「あ、そう。んじゃあ、サンディ、一緒に帰ろ」

「ハイ。リョウ、また明日」

 亮は二人と別れて、バスを待った。少し後ろめたい気分になりながら。


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