野球小僧-28
守備に着こうとしたとき、サンディが池田に言った。
「この回、カーブ投げてもいいですか?」
「あ、うん、いいけど」
サンディはにっこりと笑ってマウンドに上がった。
始めのバッターにいきなりカーブが投げられた。それは、セカンドの亮から見てもはっきりと曲がっていることがわかるほどの大きなカーブだった。バッターはもちろんキャッチャーの池田までが呆気に取られ、取ることもできなかった。次のボールはストレートで、ストライク。そして3球目もストレートで三振。次のバッターに対しても、ストレート、カーブであっさりツーナッシング。次の1球をボールで外したあと、速球で三振。次のバッターは初球のストレートをサードゴロにして、アウト。簡単にチェンジ。
「サンディ、すごいねぇ」山本
「いえいえ、ドウイタシマシテ」サンディ
「練習のときと全然違うんだもん、驚いたよ」池田
「池田ぁ、取ってやらなきゃ」木村
「取れないことはないけど、取れないこともある」池田
「これで、勝ったな」高松
「アノォ」サンディ
「なに?サンディ」高松
「あとの2イニングは、小林クンに投げて欲しいのです」サンディ
「どうして?」高松
「やっぱり、ワタシだけが、投げてもダメだと思うのです。みんなが上手にならないと、いけません」サンディ
「そうだね」池田
「OK、僕投げるよ」小林
「なんだったら、俺様が投げてやろうか」山本
「いいよ、山本。お前が投げたら逆転されるよ」木村
「さぁ、それより、打って行こうぜ。追加点を狙おうぜ」高松
しかし、思惑とは裏腹に木村、林、そして亮と三者凡退。
一方、小林がマウンドに上がった愛球会も、危なげなく相手を抑え込み、結局6、7回とも無失点で、5対0で試合終了となった。




