野球小僧-26
1球目はカーブ。山本はタイミングが取れず、見送り、ストライク。しかし、山本は今回は悔しそうな顔もせずに冷静だった。
「狙い球を絞ってやがるな」
高松が呟くとまわりの仲間も頷いた。
山本は2度3度バットを振り、次の球を待った。ゆっくりとしたフォームからインコースへ速球。山本は力任せにバットを振り抜き、
「どうだ、この野郎!」
そう叫びながら走り出した。打球はまっすぐにライトの頭上を越え、植え込みを越えて遊歩道に出た。
「ホームラン」
審判の手が回り、コールされた。全速力で1塁を回っていた山本は、そのコールを聞いて大きく手を掲げ、ガッツポーズを取った。
「どうだぁ!」
歓声と野次の中、山本がホームインした。スリーラン。3対0。
「やるじゃないか、山本」高松
「まぁね。チビになんか負けてらんねえからな」山本
「チビって呼ばないでよ。ボクのほうが上級生なんだから」
「いいじゃねえの。気にしない、気にしない」山本
「よぉし、続け」高松
「おう!」中沢
掛け声とともに中沢が打席に入った。
中沢は凡退して、ツーアウト。次の小林がストレートをセンター返しで出塁。サンディがレフト前ヒットで、1、2塁。池田は粘って、カウント3エンド2からついにセンター前ヒット。小林が2塁から返って1点追加、4対0。高松は三振で、愛球会の攻撃終了。
その裏、サンディはピッチングに工夫をしてきた。投げるタイミングをずらす作戦に出た。間合いを長く取るかと思えば、キャッチャーから返球されるとすぐに投げたり、山なりのボールを投げたりして微妙にタイミングを外した。結果として、宮磯は内野ゴロで3者凡退に終わった。




