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グリーンスクール - 野球小僧  作者: 辻澤 あきら
19/64

野球小僧-19

 授業が終わって、隣の本田が声を掛けた。

「大丈夫か、亮。ずっと寝てるけど」

「う、うん。だいじょうぶ」

「亮君は、ひ弱だから、しかたないの」

室が横から口を挟んだ。

「練習がきついんじゃろ?もう、やめたいんじゃないの?」

「そんなことないよ」

「ヤメルのですか?」

亮を心配したサンディが近くまで来て叫んだ。

「ヤメナイでください、リョウ」

「やめないよ。せっかく野球ができるんだもん」

「なんじゃなんじゃ、あんたたちは?ひょっとして、ひょっとするのか?」

「何だよ、それ」

「なにぃ、チビとサンディがぁ」

横から新田までが割り込んできた。

「違うよ。もう、室ちゃんは無責任に何でも言うから」

「ミホちゃんがいいんだもんね」

「もう、いいよ」

「誰だ、ミホちゃんって?」

「いいから、ほうっておいてよ」

「だけど、亮。無理しすぎなんじゃないの?」

「ありがとう。本田君はやさしいな、男なのに。でも、みんなの足手まといになりたくないから」

「でも、亮は頭いいんだから、監督とか参謀役で活躍すればいいのに」

「やだよ、ボクも野球したいよ」

「ミホちゃんにいいとこ見せなきゃ」

「もう、いいかげんにしてよ」

「ミホちゃんて誰なんだ?」

「ナ・イ・ショ。ネ、亮君」

「誰デスカ?」

「興味あるの、サンディ?」

「誰カナと思っただけデス」

「あらぁ、サンディ、もしかすると…」

「いいかげんにしてよ。話をややこしくするのが好きなんだから」

「だーい好き」

「リョウのことが、好きなのですか?」とサンディが口をはさむと室は慌てて、

「違うわ。こんなちんちくりんに興味はないわ、あたくしは」と言った。

「じゃあ、誰が好きなんだよ」

「おっやぁ、今度は逆襲ですかぁ?甘い甘い、そんなことでやり込められる、和子ちゃんではありませんわ」

「もういいよ。もう、疲れてるんだから」

「亮、飯は?」

「さっき2時間目の後で食べちゃった」

「オレ、パン買いに行くけど、行かないか」

「うん、行く行く」


 亮と新田が教室を出て行った。室はニコニコしながら、サンディにこっそり問い掛けた。

「サンディ、亮のこと、好き?」

目で亮を追っていたサンディは急に向き直り、室に答えた。

「ハイ、リョウは素敵です」

 はっきりと答えたサンディにむしろ室のほうが驚かされてしまった。冗談のつもりで訊いたのに。

「でも、ちんち…、ちっちゃくって、サンディとは似合わないと思うけど」

「リョウは、いつも一生懸命です。よく、ワタシのこともわかってくれます。とても、頭もいい、立派です」

はっきりと言い切るサンディに室は圧倒されて、茶化すことはできなかった。

「サンディ、亮君を、特訓してあげれば?」

「トックン?」


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