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野球小僧-18
おだやかな風が流れ込む窓際の席で亮は眠りこけていた。と、突然頭を教科書で殴られて起こされた。
「おい、起きろ」
山元先生の声に慌てて亮は姿勢を正した。
「最近、たるんどるな。この間の成績が良くても、次はどうかわからんぞ」
亮は頷いて応えたが、頭の中はまだ眠ったままだった。山元が教壇に戻っても姿勢は崩さなかったが、すでに頭は真っ白だった。
朝も早く起きてトレーニングにいそしんでいた。基礎体力も必要だと思い、3キロのジョギングとストレッチ、懸垂、腕立て伏せ、腹筋、背筋、エトセトラ。結果として、午前中は睡魔と戦わざるを得なくなってしまった。夕方はみんなと練習。その後、ボールが見えなくなるまで壁練。家に帰って、素振り。亮の全身がギシギシと軋んだ音を立てていた。それでも、諦めきれなかった。下手なら下手でもよかった。足手まといにはなりたくなかった。誰かが入会して補欠に回されたら、試合に出れない。それが悔しい。自分で望んだものが自分の無能さで失うことには耐えられなかった。たった数年の経験の差でついた差なら、少しでも埋め合わせられるような期待もあった。じっとはしていられなかった。やれるかぎりやろうと決めた。それだけのことだった。




