野球小僧-16
公園の端に行き着くとまだ造成中の広場があった。そこは町工場の裏で、コンクリートの壁が亮の思惑どおり聳えていた。亮は当たりを見回した後、バッグからボールを取り出し、そこに投げてみた。跳ね返ってきたボールは荒れた地面に不規則なバウンドをしながら亮の近くへ転がって、くいっと亮を避けた。ここだ、と思った亮はグローブを取り出してボールを壁に投げつけた。さっきより強く投げつけたボールは、強く壁から弾けると勢いよく地面にバウンドし、一瞬で亮の顔にぶつかった。
「あ、痛ぁ……」
亮はおでこをさすり、涙を拭うと、
「近すぎたんだ…」
と呟きながら、さっきよりずっと壁から離れ、さっきより弱い力でボールを投げつけた。今度は二度三度バウンドしてボールが返ってきた。亮は回り込んでしっかりと腰を落としてボールを、つかんだ。つかんだ瞬間、ようやく野球をしていると実感した。そうだそうだ、こうしてボールを捕るんだ。またボールを投げた。今度は亮を避けるようにバウンドしていく。亮は荒れた空き地を駆けて、ボールを追った。回り込んでボールを押さえた。あいにくボールはグローブに収まらなかったが、それでも追いつけたことに満足できた。これだこれだ、これでいいんだ。僕はここから始めるんだ。始めなきゃいけないんだ。亮は喜々としてボールを壁に投げつけ、跳ね返るボールを追った。




