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野球小僧-13
「おはよう」
とぼとぼと力なく通学路を歩く亮に声を掛けたのは、津田美保子だった。聞き覚えのある声ながら思い出せず、ぼんやりと振り返った亮は、久しぶりに顔を合わす美保子を見て驚いた。慌てて顔をそむけ、前に視線を向けたが、顔が熱くなってくるのを感じざるをえなかった。
「昨日、試合だったんだって」
「ぅ、うん…」
「どうだった?出たんでしょ」
「…うん。…勝ったよ」
「へぇ、すごいじゃない」
「ぅ、ぅん」
「亮君も活躍したの?」
「……ゼンゼン」
「え?」
「全然、ダメ…」
「そうなの。でも、次の試合、がんばればいいじゃない」
「ぅん」
あまりにも元気のない亮に、美保子は、聞いてはいけないことを聞いてしまった、と思いそれ以上話題にしないでおこうと思った。
「……なんで、こんなに、下手なんだろ」
美保子の思惑とは裏腹に、亮の口からぽつりと言葉が漏れた。
「だって、始めて間もないし」
「それにしても、下手だよ。聞いてよ」
美保子は初めて見る真剣な顔の亮に圧倒されて頷いてしまった。




