恋愛ロック
ここまで読んで下さりありがとうございます!
まだまだストーリーは続きます!
「絶対こっちの方がいい!」
「いや、こっちの方がいいだろ!」
どこかで聞いた会話が繰り広げられている。もう分かっていると思うが希望と日向の言い争いだ。だから決まらないと言っただろう。
「この俺と音波が作った曲がお前みたいな無知と一緒に作った曲に負けるわけがない!」
「何ですって?広心が作った曲は完璧よ!絶対こっちの方がいい!」
おい、自分が作ったと言わないのかよ。それじゃあ僕1人で作ったみたいじゃないか。
「えーっと、2つの曲を調整して1つにするっていうのはどうですか?広心君と私ならできると思います!」
音波が言ったように合わせてしまうのが1番早いだろう。しかし、日向と希望はちょっと不満そうだ。多少は我慢して貰わなければ......。
部室のテーブルで音波と向かい合って座ると、早速編集を始める。その間、日向には希望の楽器練習をして貰っているが、怒鳴り声が聞こえてくる......。本当に仲が悪い。
「広心君、幸いあの2人はそれぞれリズムと歌詞にこだわりがあるようですし、ロックのリズムに希望ちゃんの歌詞を合わせればいいですよね?」
なんだかいつもより高いテンションで音波が言う。
「あぁ、それでいいと思う。じゃあ始めようか。」
2人で黙々と作業を進める。半分ほど終わっただろうかという時、音波がふっと顔をあげて僕を見た。
「広心君、聞き流して貰って大丈夫です。......私は広心君がす、好きです!」
この言葉が嬉しくないわけじゃなかった。音波は可愛いし、僕の好みから離れていない。しかし、僕は瞬間的に答えていた。
「ごめん......。」
音波ははっとして黙りこむ。その目が潤んでいるのが部室の蛍光灯でよく分かった。
「べ、別に音波が嫌いなわけじゃないよ。でも、なんか違うんだ。何でか分からないけど、その......」
僕が慌てて弁解すると、音波は微笑んでうなずく。そして、立ち上がってドアへ向かって行った。
僕が追いかけようとすると、日向が僕を止めた。
「1人にしてあげろ。音波の気持ち分かんねぇのかよ?」
ただ1人、希望だけはこの状況を理解してないようで、ぼんやりと僕らを眺めている。
1人になりたかったのであろう音波は数分で部室に帰って来た。いつも通りの微笑みを浮かべて僕の前に座る。その目は赤く腫れていた。
「広心君、続きやりましょう。どこまで終わりましたっけ?」
彼女なりに気まずさをなくそうと努力しているのだろう。僕は何事もなかったかのように編集を再開する。このまま進めば今日中に終わりそうだ。
その日の帰り。希望が僕に聞いてきた。
「音波に何したの?」
何も分かってないと思っていたが、見た目より察しがいいみたいだ。
「いや、ちょっと考えが割れちゃっただけだ。心配しなくて大丈夫だよ。」
そう答えておくと、「ふぅん?」とだけ言って僕の前をスタスタと歩きだした。
翌日、すっかり元に戻ったように見える音波と出来上がった曲を日向と希望に見せる。
「......まぁ、いいんじゃね?」
「うんうん!いいと思う!」
2人とも納得したようで良かった。
意外な展開だったと思います(*^▽^*)
今後もよろしくお願いします!