名前
今回の後半部分は人物紹介を兼ねてます!
次の日からバンドでの練習が始まった。初めは個人練習。のはずだったが、いつの間にか先生2人生徒1人のギターレッスンになっている。
「だから、そこは指が違うんだよ。」
「えぇ、そんなふうに持つの?指つりそう...」
初心者にギターをやらせるのは心配だが4人のバンドだから仕方ない。
「無理だって!指つる。」
希望は全く楽器経験がないらしく、指がかたいようだ。これからの活動への不安がつのる。こんなメンバーでバンドができるのだろうか。
ところで...
「距離近すぎないか?やりづらいんだけど。」
「しょうがないじゃん。向かいあってると左右逆だもん。だから覚えれないんだよ。」
そう言って僕の手元を覗いてくる希望はデリカシーという言葉を知っているのだろうか。肩と肩が触れるほど近い。意識し始めたら、なんだか体が熱くなってきた。女子と近づくというのはこんなことだったのか。
「だから、そこが違うんだよ。何回言えば覚えるの?」
「だって、こっちのほうが楽なんだもん。」
「そうやってると次の音にいけないよ。頑張って。」
練習を始めて数週間、とある日のこと。
「そう言えば、俺たちお互いの下の名前知らないなぁ...バンド組んだし下の名前で呼び合うほうが自然じゃないか?」
その言葉に僕は嫌な空気を感じる。
「確かに!改めて自己紹介しようよ!」
やっぱりそうだ。希望のようなタイプの人は下の名前を知りたがる。僕にとっては地獄だというのに ...。
そんな僕の気持ちは無視して、自己紹介が始まる。
「俺はひゅうが。“日に向かう”と書いて日向だ。」
「私はおとはです。音楽の“音”に海とかの“波”と書いて音波。」
「うちはのぞみ。“希望”って書いて希望だよ!」
3人の視線が僕に集まる。
「僕は...僕はひろ。漢字は“広”い“心”って書いて広心。」
日向が納得したようにうなずく。
「広い心ね...。その通りじゃない?」
だから嫌いなのだ、自分の名前が。そうやっていつも性格を比べられる。こんなのは理不尽じゃないか。
「私もぴったりだと思います。」
「うちも!」
違う、名前がぴったりなのではない。僕が名前に合わせてしまっているのだ。こんなふうに比較されるなら、その通りにするしかないではないか。どうしたものか...。
改めて人物紹介...
広心 ・・・ベース
希望 ・・・ギターボーカル
日向・・・ドラム
音波 ・・・キーボード
どのキャラも少しひねった名前にしてあります!