7カーソン伯爵家(2)
「ふむ。パーティーはどうする?こちらで手配してもよいが、、、」
伯爵は口に肉を運びながら剣人との話を進める。
(あ、もう俺で決定なんですか?
『パーティー』ねぇ…面白そう、だけど、俺が何もできないんだよなぁ。)
地味に落ちこむ剣人であった。
まぁ確かに、いきなりスタート地点に落とされて、チュートリアルもなく、マップもなく、強くなろうにもレベリングの仕方が分からない。剣人の現状はこんな感じである。・・・クソゲーだぁ。
魔法が使えたのは奇跡としかいえない。確かに失敗ではあるが、良い失敗だ。
さすが高学歴といったところだろうか。
「伯爵の信用のある方を10人ほど紹介してもらっても?」
剣人は抜かりなかったし、お貴族様をやっているカーソン伯爵にもその意図は伝わった。
つまり、『カーソン伯爵を信用していない訳ではない』ということ、
『でも自分自身で選びたいのだ』という意思。
(この人を信用しよう。ていうか、そうじゃないと・・・
もし追い出されたら二進も三進もいかず、死んじゃう!
それにこの人は多分〝黄色〟だ!)
〝黄色〟。
三男一女の早乙女家(剣人は三男、末っ子。)における唯一の娘、美華。(←雌ライオン様)
『いい人は黄色のオーラで、悪い人は紫色なんだよ』彼女の言葉である。
明らか適当である。もしくはアンパ〇マンに洗脳されている。
これが、剣人にしっくりきてしまった。
そして、カーソン伯爵は〝黄色〟であった。
髪がね、金色だった。
「では伯爵家の者を手配する。それでよろしいかな?」
「はい」
「あの、父上、」
剣人と伯爵の話し合いにクリアが割って入ってくる。
(取り引きに割って入ってくるなど、半人前よの~
奥方のアリーセさんはにこやかに食を進めているというのに。)
なぜか剣人は『悪い商人モード』になっていた。
「なんだ、クリア。勇者殿について行きたいなど、、認められんぞ?」
「っっ!お、お願いします!」
(え、え!? 女子、じゃん!)
剣人の顔が瞬時に真顔に戻る。
別に、男尊女卑とかそういうんじゃなくて。
単に、『怖い・え、無理。・俺の方が弱い』の三拍子だったのだ。
(ていうかクリアって魔法弱いんだよね?
いっ、いらないよ?)
命の恩人に対して地味にヒドイ!剣人なのであった。