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再生 55 手を伸ばした曇り空

「………誰だ?」

あまりに信じられないその言葉は、私の胸に深く突き刺さった。

驚いて言葉が出てこない私を前に、トウマは不思議なものを見るような困った表情をしている。

「…すまない。用事があるから失礼する」

トウマは小さく頭を下げると私の横を通りすぎていってしまう。

後を追って引き留めることくらいできたはずなのに、私はしばらく動けずに立ち尽くしていた。



「……沢。…レイ?」

近くで自分を呼ぶ声に気づいた麗は我に返り、顔を上げる。

声が聞こえる方を向くと、中西が心配そうな表情で麗を見ていた。

「どうした?疲れたか?」

つい最近起きたことを思い出していた麗は、いつの間にか立ち止まっていた。

「……う、ううん。疲れてないよ」

麗は両手で持っていた段ボールを机の上に置いて答える。

放課後、一人で廊下を歩いていた麗は西側の階段で中西に手伝いを頼まれ体育館にいた。体育館の中にある用具室に入った麗は、乱雑に置かれたファイルや幾つも積んである段ボール、丸まったポスターが押し込まれた箱を見て呆然としたのだった。

何ヵ月か使っていない用具室の片付けを手伝ってほしいと言われたが、麗が思っていた以上の汚さに言葉が出なかった。

初めは生徒と教師として言葉遣いに気をつけていたが、換気のために窓は開けているが二人きりということもあり、次第にいつもの言葉遣いになっていた。

換気のために少し開けた窓から冷たい風が吹き、灰色の曇り空が見える。

「こんなに放置されていたんだ。新学期を迎える前に片づけておこうと思ったんだろうな」

「だろうっていうことは、葵も誰かに頼まれたの?」

「ああ」

中西はファイルの背表紙を見ながら、棚に並ぶファイルを入れ替えながら答える。

ファイルを並び終えた中西は後ろを振り返り麗の顔を見る。

「そういえば…二、三日前に相良に会ったんだが、なんかいつもと様子が違ったな」

相良という言葉を聞いて、麗はさっき考えていたことを思い出してしまう。

思い出すと辛くて涙が出そうになる。

「…どうした?」

麗の表情を見た中西は驚いて麗に近づいて腕を掴む。

「………」

中西は自分の表情を見て何か気づいたのかもしれない。小さい頃から付き合いがあると言葉にしなくても思いあえる部分があった。

「レイがそんな顔で黙ってるのは何かあった時だ。…何があった?」

麗の顔を見る中西は不安な顔をしていた。

中西は教師として麗に接しているが、ふとした時や麗に何かあった時は教師というより幼馴染の関係に戻ってしまう。

今は教師としてではなく幼馴染の顔をしていた。

隠していてもその内分かることだと思った麗は少しの間をあけて答える。

「…先週の金曜日、トウマの能力が封印された」

「えっ?」

麗の言葉が聞こえたはずなのに、言葉の意味が理解できないような感じだった。

麗は中西がどういうことか分かっていないと思い、分かりやすく言い換える。

「トウマはスーマの力を封印されて、覚醒してからの記憶が無くなったの」

封印されたものは覚醒されてからの記憶が無くなると聞いている。それを目の当たりにして、本当だったと痛感していた。

「本当に覚えていないのか?」

中西も信じられない気持ちだった。

自分が覚醒した時に麗や梁木と一緒に物語や力について色々と教えてくれたり、闇の精霊に操られて悠梨が風の精霊だった時も全部記憶がないということになる。

「ちょっと前に並木道でトウマに会った時、私のことを知らないっていう感じだった」

「どうして…!」

麗の言葉が信じられないというわけではないが、中西は納得できなかった。

もっと早くに知りたかったと言いかけて、気持ちをぐっと抑える。

「…もっと早くに知りたかったのは私の一方的な気持ちだ。それ以上にレイ達は辛かったんだろうな」

「……うん」

物語に関わるようになって自分が一番トウマと付き合いが長いわけじゃないけど、麗の中でトウマは力を封印されることはないと思っていた。

中西の気持ちが伝わったのか、それとも自分の気持ちを分かってくれたのか、麗は涙を流しながら頷いた。

「レイを疑うわけではないが、本当に封印されたのか?」

「えっ?」

「私もたまに大学部に行くが、あの時の相良は様子が違う…というか違和感があった。気まずい様子で、まるで何かを隠しているというか…」

中西は自分が感じたことを話したが、途中で抽象的になっていると気づく。

「すまない、それだと分かりにくいな」

「ううん。話してくれてありがとう」

麗は涙を拭って中西の顔を見る。

トウマの能力が封印されてショックなのは自分だけではない。信じられなくて認めるのが怖かった。

中西は麗が落ち着いたと分かると、壁にかけられている時計を見る。

時計を見ると一時を過ぎていた。土曜日だからお昼で授業は終わるが、気づいたら一時間が過ぎようとしていた。

「私は用事があって職員室に戻らなくてはいけない。もし、用事があるなら帰ってもいいし、区切りがついたら帰っていいからな」

「もう少し片付けてから帰るよ」

麗は辺りを見回してから笑って答える。

中西はズボンのポケットに手を入れて鍵を取り出すと、机の上に置く。

「鍵は置いておくから、職員室に返しておいてもらえないか?」

「分かったよ」

そう告げると中西は扉を開けて用具室から出ていく。


中西は用具室を出ると渡り廊下を歩いて校舎に入る。廊下を歩いていると、突然、めまいと眠気に襲われる。

「あれ……?」

中西は咄嗟に立ち止まり、頭を押さえる。

片付けだけで疲れたとは思えない。さっきまで眠くなかったのに、今は眠くて仕方がない。

身体が動くと分かると、とりあえずまっすぐ廊下を歩こうとする。

「こんな時に眠くなるなんて…。疲れてるのか…?」

睡眠不足でもないし体調不良でもない。土曜日で授業は午前中に終わっていても、教師にもまだやることはあった。

「…職員室に戻ってもまだ時間に余裕はあるだろうし、保健室で薬がないか聞いてみるか」

少し考えると階段を通りすぎて、そのまま歩いていく。


保健室の扉をノックして開けると、中には実月がいた。

「中西先生、どうかされましたか?」

実月は珍しいという顔で椅子から立ちあがり中西を迎える。

実月に促されて中西は椅子に腰掛ける。

「…ちょっとめまいと眠気が酷くて。貧血だと思うんですけど、保健室に薬があればと思いまして」

それを聞いた実月は椅子に座らずに、壁際の棚の引き出しに手をかける。

「薬もありますが、まあ…生徒には出せませんが、健康ドリンクもありますよ?」

「いえ、薬で大丈夫だと思います……」

保健室の冷蔵庫には飲み物以外にも健康ドリンクがあるんだ。中西はそう思いながら椅子から立ち上がろうとすると、立ちくらみでよろめいてしまう。

「大丈夫ですか?!」

実月は驚いて中西に近づく。

中西は目の前の机に手をついて身体を支える。

「もし、時間があるならベッドで横になりますか?」

実月は時計を見てから後ろを振り返ってベッドを見る。

「いや…」

中西は大したことないと思い断ろうとしたが、また立ちくらみが起きないとは限らない。少し考えてると、実月は優しく笑う。

「三十分したら起こしますよ?」

「(…三十分くらいなら大丈夫か)」

中西は考えると、机についていた手を離す。

「では、少しだけ…」

「土曜は生徒達もあまり来ないと思いますから、どうぞ」

実月はベッドに近づいてカーテンを引いた。清潔で綺麗に畳まれたベッドが用意されている。

「…すみません」

小さく欠伸をして靴を脱いだ中西は、ベッドに入り目を閉じるとすっと眠ってしまう。

中西が眠ったことを確認すると、実月は振り返らずに呟いた。

「これでいいか?」

いつの間にか実月の瞳は深い青色に変わっていた。

実月が振り返ると、中西が座っていた場所には人間の姿のシルフがいた。

「…風村、と呼んだほうがいいか?」

「先生が好きなほうでいいよー」

彼女はただ何もしないでにこにこ笑っている。

「先生と呼ばれるなら風村と呼ぶか」

実月は中西を起こさないようにゆっくりとカーテンを閉める。

「中西先生の中に入ってからだいぶ経ったと思うが、まだ負担がかかるのか?」

実月は彼女、悠梨の顔を見て問いかける。

「こうでもしないと、先生、休まないと思うし」

悠梨がカーテンの先を見つめているのは中西のことを考えているんだろう。

「ここなら、あたしの姿でもいられるんじゃないかなって思って」

「力の差だ」

そう言いながら実月は笑い、椅子に座る。

「それで…こんなことをして何をしたい?」

「結界を張って、先生の力も使って何がしたいって言われても、ね」

悠梨は実月が何をしたか知っているような目で見つめる。

「ショウが神崎先生によって呪印を刻まれ、レイの妹が覚醒して、トウマが封印されて…色々見てきた。まだこれから色々なことが起こる」

「それは俺達ならそう感じるはずだ」

「その前にやりたいことがあるの」

さっきの表情とは違い、悠梨は真剣な表情だった。

「先生が起きるまでの間だけ学園を見てくる」

「中西先生が起きていてもできるんじゃないか?」

精霊というのがどんなのかあまり分からないが、媒介である中西を通さなくても抜け出すことはできるんじゃないか。実月はそう考えていた。

「中西先生、勘がいいからさー、あたしがいなくなると何か気づきそうなんだよね」

「…確かに、中西先生の勘はいいと思う」

覚醒してからの力が前からそうなのかは分からないが、ふとした時に中西の勘は冴えていると思う時があった。

「今度は捕まるなよ」

「はーい」

悠梨は笑いながら手をあげて答えると、身体は風に包まれて精霊の姿に戻る。

身体は宙に浮かび上がり、すっと扉を通り抜けて保健室から出ていってしまう。

十分後、彼女は保健室の扉を通り抜けて入ってくる。

「思ったより早かったな」

実月は中断していた書類に目を通していた。

彼女は実月の前まで移動すると、再び風に包まれ人間の姿に変わる。

「実月先生が助けてくれるわけじゃなさそうだし、急いで見てきたよ」

「本当にどうしようもなくなったら助けてやるさ」

「やっぱり先生はあの子を助けるの?」

悠梨は一息ついてから椅子に座る。実月は手を止めず、書類に書きこみしたり机の上に置いてあるファイルを開いている。

「あ?あいつが現実を受け入れて、戦うと決めたらな」

「あたしの力を振り撒いたし、彼女が何か気づくといいんだけど…」

話の途中で悠梨はあることに気づいて、はっとする。

「嘘っ?!思ったより早く目が覚めそう!」

悠梨の身体が透けて精霊の姿に戻ると、カーテンをすり抜けるように消えていってしまう。

少しすると、カーテンの中から何か動いた音が聞こえる。

カーテンの下から足と靴を履くのが見え、カーテンが引かれると中西は起きていた。

「ありがとうございます」

「まだ三十分経っていませんが、身体はどうですか?」

実月は手を止めて椅子から立ちあがる。

中西はその場で大きく背伸びをすると肩を回す。

「少し休ませていただいたら、身体が軽くなりました」

「無理しないように、ちゃんと休んでくださいね」

「はい」

中西は小さく頭を下げると、保健室から出ていこうとする。

扉の前で思い出したように立ち止まると、後ろを振り返って実月の顔を見る。

「そういえば、夢に風村が出てきました。彼女がいる…改めてそう思うと、不思議と力が湧いてくるようでした」

「もしかしたら、風村も心配しているのかもしれませんよ」

「そうかもしれませんね」

中西は嬉しそうに笑うと、一礼して保健室を出ていった。



約一時間前、凛は図書室にいた。

覚醒してから自分がどうしていくか考えるようになった凛は、自分自身を守るために物語の続きを読むことにしたのだった。

土曜の図書室は人が少なく、ゆっくり本を読むにはちょうど良い。

「物語の過去は読んだけど、続きがあったんだ…」

濃い青色の本を開きながら凛は呟く。

「姉さんはレイナの力を持ってるんだよね…」

物語に出てくるレイナは明るく元気な性格で、剣と魔法を使って戦う魔法剣士だった。

「レイナもカリルもマーリも魔法を使って戦うのに、ティムは出てきてないし、あたし…魔法、使えるのかな…?」

凛はある疑問を抱いていた。それは、どうしたら魔法は使えるのかということだった。

「本に書いてある呪文を読めば使えるのかな?それとも…」

「水沢」

凛が考えていると、突然、近くで声が聞こえる。驚いて顔を上げると、目の前には結城が立っていた。

「結城先生?」

いつの間にか結城がそこにいたことに驚いた凛は、開いていた本を閉じて一歩後ろに下がってしまう。

「…何故、後ずさる?」

結城は後ろに下がる凛の手首を掴む。

「!!」

凛は神崎に襲われたことを思いだし、咄嗟に振りほどこうとする。

「どうした?」

驚くことはないものの、結城は単純に気になったがすぐにあることに気づく。

「怖いか?」

「……いいえ」

凛は神崎に襲われてから、ふいに手首に触れられるのが怖くなっていた。あれ以来、神崎に触られることはなくなったが、今でも誰かに触られると意識してしまう。

平静でいようとしても、視線は泳ぎ、身体は震えてしまう。

「その割には警戒しているように見える」

凛の考えや動きを見抜いていた結城はすぐに凛の手首を離していた。

「私はお前が神崎先生に襲われそうになったのを知っている」

「え?」

結城の言葉に凛の表情が固まる。

「…結城先生が、あれを、知ってる?」

思ったことを口にして、その言葉の意味が理解できた後、全身の血の気が引いていく音が聞こえるような感覚に陥っていた。

思い出すと瞳が潤んで、涙が出てくる。

「私は物語の過去が現実に起こるのではないかと危惧していた。結果、神崎先生は転移魔法で図書室から生徒会室に移動して結界を張り…お前を襲おうとした」

恥ずかしさと悔しさで涙がぼろぼろ零れる。

結城は憐れむわけでもなく、ただ冷静に凛の目を見て話している。

「…いつ、見てたんですか?」

凛が気になるのはそこだった。

あの時、生徒会室には自分と神崎の二人しかいなかった。

「私の力で生徒会室の様子を映し出していた。それと、転移魔法でお前を移動させた」

「結城先生が…あたしを助けてくれたんですか?」

神崎に襲われた時、気が動転してわけがわからなくなっていた。泣きながら神崎の手を拒んでいた。

いつの間にか寮の部屋に戻っていて、安心したのか泣きながらそのまま眠ってしまっていた。

触られたのは変わらないが、襲われていなかったのかもしれない。

「あのままだと、お前は今よりも深い傷を負うだろう」

結城の言う通り、あのまま何も起こらなかったら、自分は物語に出てくるティムのように神崎に襲われていたかもしれない。

神崎に触られたことを結城に知られたのは嫌だったが、結城は自分を助けてくれたのは事実だった。

「能力者である前に私達は教師だ」

それが分かっただけでも、自分が救われるようだった。

「結城先生…」

「お前は、自分に起きたことを姉に話して生徒会室から離れたいか?」

結城の言葉は凛の胸にぐさっと刺さる。

姉がレイナの能力者なら、本を読んでティムに何があったか知っているはずだった。

楽になりたかった。

「神崎先生はあたしが言うことを聞かないと、あたしにしたことを姉にもすると言いました。あたしは…それが怖いです」

凛は涙を拭いながら結城の顔を見る。

結城はいつものように落ち着いた様子だった。

「お前や月代は生徒会役員ではない。生徒会室に近づかないことはできるだろう」

「けど、神崎先生も結城先生も情報処理の授業で会います」

確かに凛は生徒会に所属しているわけではなかった。それに、一週間の授業数は少ないものの、情報処理の授業はある。二人に会わないということは難しかった。

「それに魔物に襲われることが無くなるとは思えません」

事実が分かっても、授業がなくなるわけでも魔物に襲われなくなるわけでもない。

「覚醒して、魔法は使わないのか?」

結城の疑問に、首を横に振って答える。

「魔法の使い方が分かりません」

それを聞いた結城は、凛が魔法が使えないのではなく、使い方が分からないと気づく。

「確かに物語を読んで、登場人物がどんな人物か、どんな力があるかは書いてあっても、どうやって魔法を使えるかは書いていなかったな」

他の人がどうやって武器を出したり魔法を使うのかは分からないが、自分が覚醒した時のことを思い出す。

「あくまで私の意見だ。私は突然、頭の中に魔法を使うための言葉が浮かんできた。それを強くイメージすると魔法が出てくる」

「頭の中でイメージ…」

「後は、何のために戦うか考えてみるのはどうだ?」

「何のために戦うか…」

結城の言葉を聞いて凛は考える。

生徒会室に行かなくても授業があれば神崎に会うし、学園にいるだけでも魔物に襲われるだろう。

今の自分に何ができるだろうか。

自分がもっと強くなることが良いんじゃないかと考える。

「だが、編入して少しずつ学園に馴染めた頃に辛い思いをしたな」

凛が考えていると、結城は優しく笑い、そっと凛の肩に触れる。

結城は自分のことを助けてくれた。そう感じた安心した凛は声をあげて泣いてしまう。

「(…触られてたのに怖くない)」

そう思いながら俯いていた顔を上げると、結城の瞳が黄金色に見えたような気がする。

「(結城先生の目、本当に宝石みたいにきらきらしてて綺麗…)」

強くなって、姉に嘘をついていたことと心配してくれた手を振りほどいたことを謝りたかった。

涙を流しながら自分を見る凛を横目に、結城は腕時計を見る。

「こんな時間か」

凛が落ち着いたのを見ると、結城はいつものように戻る。

「土曜の図書室は二時までだ。まだ本を読んでいくか?」

「途中までだったので、区切りがついたら帰ります」

凛は持っていた本を見てから答える。

「そうか。私は用があるから失礼する」

「はい」

凛が頭を下げると、結城は凛に背を向けて歩いていく。

「(結城先生は、あたしのことを見てくれた)」

その気持ちが嬉しくて、凛は結城の姿が見えなくなるまで背中を見ていた。


結城が図書室にから出ると、そこには神崎がいた。

神崎は教師の顔で感心しているように頷いて笑う。

「生徒の相談にのり、生徒の信頼を得る。また、ラグマがティムにしたように優しくすることにより、水沢は結城先生を意識する」

「………」

神崎の言葉は間違っていないのに、どこか本心とは違うと思ってしまう。

それでも結城は顔色一つ変えずに言葉を返す。

「私はただ最善だと思うことをしただけです」

「相変わらずだな」

それを分かっていて、神崎は何も言わずに笑っていた。

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