表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
木。  作者: 木之下 朔
6/7

6コ やっぱりただの木。

ピチ ピチチ ピチチチ

ピチ ピチチ ピチチチチ


鳥がさえずる、いつもと変わらない朝。

なんだか眠たい、いつもよりとっても暖かいの。


だから もう少し もう少しだけ……。


 私は気持ちがよくて起きる気になれなかった。


「おーい」

 誰かが呼んでる

「起きろって」

 まだ 眠いの あとにして……。

「昨日のことで礼をしたい」

昨日……なにかあったかしら?

あっ、人間の子供!


 『あの子は大丈夫なの?』

ちゃんと帰れた?

私は人間の声にやっと目を覚ました。

「ああ、大丈夫だ」

人間は言った。

よかった。何故かこの人間といると、体だけでなく心までポカポカして安心する。


 「ありがとう」

私はなにも出来なかったのに……。

『私の方こそ、お礼を言うわ。ありがとね』

あの子が凍えずにすんだのはあなたのおかげ。


 『ねぇ、なんで私の言葉がわかるの?それに……なんだか暖かい』

ずっと不思議に思ってたことを聞いてみる。


「おれは、”力のある人間“だから。お前ともしゃべることが出来るんだ」

と言った。


『“ちから”があるとなにか違うの?』

それはなに?


人間は答えた。

「人間には“普通の人間”と”力のある人間“がいる。この世界にはもともと“命の源”という

力が流れている。ほとんどの人間は鈍いから力には気がつかない。

だけど、たまに生まれるんだ。力に敏感な人間が」

と人間は続ける。

 「俺の力は火、象徴は太陽だ。だからか、俺の周りは

常に温かい」

なんとなくわかった。


「人間だけなんだよ。力に気がつかないのは、

ほとんどの生き物はその力を持ってるし使える」

知らなかった。そうなのね。


私にもあるかしら


 『私にも、その”ちから“はあるの?』

私は足が欲しい。羽根が欲しい。

「……弱いけど、あるよ」

だけどと人間が。

「木だから、長い時間をかけないといけないかもしれない」

と私に言う。


 『そっか。私はやっぱりただの木なのね』

人間が私と言葉を話せる意味が、なぜ暖かいのかも分かった。

と同時に落ち込んだ。


私は木なのね。



  母なる大地に繋がる木

  その実は知恵を与え 根は命の源を

  木は祝福を 葉は魔除けに

  皆 土に還る



  「どこかの古い、いい伝え。今は口伝だけだから知ってる者は少ないけどな」

と人間は私にそれだけいい残すと、また会おうと言って

どこかへ行ってしまった。


 また、来るのかしら


私はぼんやり雲を眺めた


人間が去ったあとは少し寒かった


ずっと唸りながら書いてました。

で無になってそのまま寝る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ