3コ 私は木。
私だって……。
私だってその気になれば歩けるようになるはず……。
桜の木のように綺麗な花を
藤の花のような心惹きつける木にもなれるはず……。
私はまだまだ成長し続けるはずなのだから
……わかってる、けど。素敵な木に憧れもするしそれ以上にもっともっとしたい事がある
大地を歩き回ってみたい!その為の足が欲しい
空を飛んでみたい!羽根は何処から生えるの?
海ってものがみたい!雨となにが違うの?水たまりじゃないの?
お日様を沢山浴びたい!……いつもしてるわ。
人間がみてみたい!
人間って不思議な生き物。笑ったり怒ったり泣いたり。
泣くと目から水が出るの干からびないのかしら?
私は目の前の木になんとなく聞いてみた。
『人間は何処から来て何処へ向かうの?』
目の前の木は、
『さぁ ねぇ』
と答えた。
私はもう一度、
『人間ってどんな生き物?目から水がそんなに出せるものなの?』
と質問を変えて聞いてみた。
すると
『さぁ ねぇ』
と答えた。
答えが返ってこない。
それも仕方がないのかもしれない。私以外の木は余り喋らない。私よりもうんと長く生きてる木は喋るかもしれないけれど。
私はもう一度言う、
『私の翼は何処にあるのでしょう?私の足はいつはえますか?』聞かずにはいられない。
『……』
答えがない。
太陽の光をより吸収する為に眠りに落ちたのだろうか?
私もそうだけど、植物は太陽が顔を出している間は光合成をしてエネルギーを蓄える。
だから、眠ってじっとしている方が効率が良い。
私はいつか空を飛んで森を駆け回り人間を近くでみる。なんの根拠もなくそう思うのだった。