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木。  作者: 木之下 朔
2/7

2コ 鳥さん。

さわさわさわ



ぴちちち ぴーよーぴーよー


穏やかに風が吹く、葉が擦れる

鳥が囀る声が聞こえる

太陽はさんさんと降り注ぎ、夜の静かで冷たい空気がなかったかのように、暖かく賑やかな朝に変えてくれる


『んんーー。素敵な朝!お日様おはよう、私おはよう!』

私には、伸びをする手はないけれどなんだか伸びをしたくなる朝だ。


 毎日同じ朝を過ごし同じ夜を感じ、また同じ朝になる。何度繰り返しても飽きることはない平和で幸せな毎日だ。


サワサワ

私もいつの間に緑の葉がしげるようになった。

サワサワ

サワサワサワサワサワサワ


『きゃーーっ!なにしてんのよ!美味しい木の実が落ちるじゃない!!』

鳥さんだ。


『あ、ごめん』

思わず謝る。

緑の葉が嬉しくて沢山揺らしてしまった。

『ごめんじゃないわ!私の毛艶がくすむじゃない!!』

なんかわかんないけど、怒られた。

 でもそうなのだ。自分からは見えないけど私の上の方には赤い実がなっているらしい。


 こんなに怒るということはまだ数が少ないのかもしれない。毛艶がよくなるほど美味しいのか……。食べてみたい。



『鳥さん鳥さん?その実は美味しい?どんな味?私食べてみたいの!』

私は鳥さんに聞いてみる。


『美味しいよ?とっても甘くて力がわいてくるみたいだ!けどあんた、食べる口はあるのかい?』

鳥さんは言う。

『木が自分の実を食べたいなんて変わってるねぇ』

確かに。

もっともなことを言われてしまった。

『木だって食べたくなるの。空だって飛びたいし、歩いて移動だってしたい!私、将来はお月様になるの。誰よりも光るんだから!』

私は少しだけ意地になって言った。


ぴちちちと鳥さんは笑って言う。

『木は木だよ。光らないし飛んで行かない。ましてや移動なんて!あんたは立派な木になるのさ、あたしのご飯を明日もならしておくれ』

そう言って鳥さんは何処かへ飛んで行った。


私も空が飛びたい。

自分が木だとか関係ない。


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