1コ 私。
……。
…………。
温かい。見えるものは何もなく視界は真っ暗で、けど不思議と寒くはない。
ここは何処だろう?……考えているうちに眠くなってきた。
私の意識はぷっつりと途切れる。
次に目を覚ますと眩しい光が私を照らしていた。
『眩しい……』
私はあまりのまぶしさに目を細める。
『…!?』
細めたつもりだった。まだ眩しい…。
ーぷつんー
意識がまた落ちる。
『は!?』
目が覚める。今度こそ現実だ。
どうやら夢を見ていたようだ
自分が生まれた時の夢をみた。あの時はまだ種で土の中から
母なる大地を感じてはまどろんでいた。
そして、芽が出て眩しい光を身体全体で受け止めて。
あまりの眩しさに光を遮ろうとして、遮る手がないことにショックを受けて。
また眠りに落ちたのだ。
『夢……か。あ、綺麗』
懐かしい夢をみた。
思えばあれが、私の始まりだった。今の時間は森も鳥も虫もみんな寝静まる。
神秘的な星達と明るくて眩し過ぎない月が、なんの変哲もないただの木である私を照らしてくれる。私も月に光をもらっていつか光る日が来るだろうか?
『私もお月様になりたい』
私は夢をみる。いつかきっと月に並ぶくらい光るのだと。
何度も言う、私は木だ……。