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ぱっと目を開くと、そこはいつもと変わらない、白を基調とした自身の部屋が広がっていた。
ふー、と一つ息を吐き、徐に自分の首へと手を伸ばす。
いつもと同じ冷めた体温が手の平に伝わる。
穴は開いていない。何も突き刺さっていない。血も出ていない。
良かった。生きている。
「夢、か」
はぁー、と大きく息を吐いて安堵する。
良かった。夢で。良かった。生きてて。
額に汗が浮かんでいた。前髪が張り付いていて嫌な感じ。左腕でぐいっと拭った。
首だけを動かして横を見ると、壁に掛けられた時計が午前5時を示していた。
「…早すぎる」
普段より2時間も早く目覚めてしまった。
一つ溜息を吐いて、掛け布団を頭から被る。いつもならすぐに夢の中へと旅立てるのに、今日に限って夢の世界へ行くことが出来ない。どうやら眠気はとうに覚めてしまったようだ。