報告とお風呂
ティオを始めとした猫族達が各自で自己紹介をしている間に院長先生の下を訪れる。目的は孤児院の権利書をもらうためだ。これだけきくと凄く悪役くさい。善良って訳でもないけどさ。というか、悪役上等?
そんな馬鹿な事を考えていると院長先生の部屋の前に着いたので軽くノックする。
「どうぞ」
「失礼します」
扉を開けて中に入り、扉を閉めてから院長先生と向き合う。院長先生はベッドの上でこちらを見ているが、体調は安定しているようでなによりだ。流石はリジェネーション。神の奇跡は伊達じゃない。
「どうやら無事に達成できたようですね」
「はい。ご報告が遅くなって申し訳ありません。無事にCランクになりました」
「構いませんよ。期日は守られていますから」
「ありがとうございます。こちらがギルドカードです」
更新されたギルドカードを差し出して確認してもらう。このギルドカードはティオを調教していた時に渡された奴だ。
「確かに確認しました」
院長先生は立ち上がってタンスの引き出しを抜き取り、手を差し入れて奥で何かをすると床の一部が盛り上がってきた。ナニコレ?
「これが権利書です」
「たっ、確かに……」
盛り上がった部分には収納スペースがあるようで、そこから取り出した書類を渡してくれた。
「結局、使われていませんが、この施設は元々昔に軍が使うために作られた物ですからね」
「なるほど。っと、これから孤児院の事は責任もって扱わせて頂きます」
「よろしくお願いしますね」
「はい。任せてください」
「それと魔道具屋とベアトリーチェの所有権はあの人の下に行って受け取ってください」
「わかりました」
それからたわいない会話をしてから院長先生と別れた俺は、夕飯の買出しがてらティオ達猫族の女の子達を連れて避妊の魔法をかけてもらう。
神殿にいってから、買い物をして帰ると時間も遅くなったのでさっさと部屋割りを決めて個室を与える。これだけで猫族の皆に喜ばれた。
それから皆で仲良く歓迎パーティーをする。終わったら、皆には悪いがティオとリフィア、リンを連れて先にお風呂へと入ることにした。
その為、数が知らない間に増えていた露天風呂の一つを使用中の札を掛けて中には入り、脱衣所へと移動する。
「にゃっ!? にゃぁ~っ!」
「逃げちゃ駄目です」
「駄目だよ。逃がさないから洗われようね」
「洗われる」
嫌な予感がしたのか、逃げようとするティオを全員で捕まえて服を脱がしていく。そのまま捕まえたままで交代しながら服を脱いで、全員が裸になったらティオを抱えて風呂場に入る。
採掘が終了したため、作成した露天風呂は温泉となったことで、三神による加護やスキルによって与えられる効能が大きくなり、浸かるだけで綺麗になり細胞まで回復する。そんなとんでもない霊薬温泉になっている。
ここの温泉水を飲めば回復も可能なのでポーション要らずだと思われる。まあ、男女用として十人から十五人くらいまで入れる広さの浴場が、後二つほど作られているので銭湯みたいな感じだ。
「……にゃあ~……みっ、水……嫌い……」
「お湯だよ。身体を綺麗にしないとな」
「あっ……ティオちゃんに付いている鞭と縄の傷痕はどうするんですか? 気になっていたんですが……」
「色々と使わされたからね……悪いけど傷痕が残らないように治療してほしい。女の子の柔肌に傷が残るのは困るからね」
「はい。癒しの風よ、かの者の傷を癒したまえ」
リフィアが詠唱して魔法を発動すると、ティオの小さな身体に刻まれていた沢山の傷痕が綺麗に消えていく。残ったのはツルツルでもちもちの綺麗な白い肌だけで、ついつい撫でてしまう。
「ひうっ!? くっ、くすぐったい」
「リンやリフィアも気持ちいいけど、やっぱティオもいいね」
「あうっ」
「エッチ……」
「どうせエッチだよ。それより、ティオは俺が洗うからリフィアとリンは俺を洗ってね」
「わかった。頑張る」
「はい。お任せください」
二人に洗ってもらいながら、手に石鹸をつけて泡立ててティオのすべすな柔らかい肌を洗っていく。本当に水を弾く肌が気持ちがいい。
「にゃっ、にゃうっ!? うぅ~~主様~~」
「ダメだよ」
身体を隅々まで洗ってやると、ティオは真っ赤にななりながら完全に身を委ねてくる。つい、耳をはむっと口に含んで尻尾を手で洗ってみる。
「ひゃぁああああぁぁぁぁっ!? あっ、主しゃまぁぁぁぁぁっ」
凄く反応してビクッビクッと震えて、涙目で見上げてくる。それがまた可愛らしくてついつい虐めそうになるのをこらえる。
「悪い悪い」
「非道いですよ、ご主人様」
「猫族は敏感なんだね」
「可愛い」
「あうっ」
悪戯はやめて真剣になって洗っていく。
「頭を洗うから目を閉じて」
「にゃう……わぷっ」
シャカシャカと頭を綺麗に洗って桶で汲んだお湯で泡を流す。リンもリフィアも泡まみれになっているので、洗い流したら改めて頭をお互いに洗う。
それも終われば一緒にお湯に浸かるのだが、ティオが逃げ出そうと全力で走る。
「ティオ、止まって」
「っ!? ひぐっ!?」
走っていたティオはビクンッとした後、そのままバタンと床に倒れる。
「だ、大丈夫か?」
「……にゃあ……いっ、痛い……」
「大丈夫みたいだね。逃げちゃ駄目だよ」
「にゃうぅぅっ」
抱き上げて一緒に湯船に入ると、大人しくなったので、そのまま膝の上に乗せて頭を撫でて落ち着かせてやる。
「兄さん、私も撫でて」
「いいよ」
リンが反対側を陣取って身体を預けてくる。リフィアは俺の背中に自分の背中をくっつけてくる。
「じゃあ、数えようか」
「一〇〇までですね」
「そうそう」
「?」
「一、二、三……」
まったりと数えて身体が温まるまでゆっくりと過ごす。お風呂から上がったら部屋に向かう。
「明日から本格的な訓練があるけど、せっかくティオが来たんだしな」
「にゃ、にゃあ……」
「やってからの方が気持ちよく寝れる」
「今日も、やるんですね……」
「嫌?」
「いえ、ご奉仕致します」
新入りのティオを可愛がりつつ、二人も充分に可愛がってあげる。ティオは調教した分、飲み込みが早いしすぐに慣れて貪欲に受け入れてきた。お陰で充分満足できたし、満足させられた。
翌朝、子供達の悲鳴が聞こえて目覚める。慌てて外に出ると既に訓練が始まっていた。
「そんなことでは死にますわよ!」
「遅い遅すぎるにゃ!」
「乱れてる。やり直し!」
「ひぃいいいぃぃっ!!」
鞭を持った猫族の教官役の者達が容赦なく子供達を鍛えている姿が見えた。
「あら、起きたのですね」
「あ、ああ……」
「では、主様にもしっかりと勉強をしてもらいます」
「勉強?」
「はいです。指揮官たる者、覚えなければならない事が多いですからね。進軍は何時からですの?」
「四週間後だから、もう三週間とちょっとか」
「ならば尚更急がねばなりませんね。姫様、ティオ様の主となられたのですから、しっかりとしてもらわなければなりません」
「わかった。そういうことなら望むところだし、よろしくお願いします」
「はい。では、徹底的にスパルタ教育致しますわよ!」
リン達も含めて俺達には徹底的な軍事教育が猫族達によって施された。それはまさに地獄の三週間だった。
このブートキャンプを終えてなんとか軍隊っぽくなり、前より統率が取れているし揃っている。アマテラスとアテナの効果で限界値が跳ね上がっているので成長も著しく、最後の方はほぼ実戦経験ぐらいという事になって残りはダンジョンで戦っていた。
そして、時間が瞬く間に過ぎて俺達は補給物資を運ぶ任務に参加するために準備をしていく。




