2月22日
「突如青シャーペンの前に現れた黒シャーペン!その正体は生き別れの兄弟だった!」「そ、そんな…兄、さん…?」「くっくっく、久しぶりだな。…100均で別れたのが最後だったか?強くなったな」「どうして、どうして赤ペンを!」「知ったからさ、俺の能力を」「能力…?」「見せてやるよ、青シャーペン、俺の力をな!」
ぐあああと叫んでいる我が愚弟。
ちなみに今は昼休み、私の机の前で何故か和は文房具遊びをしていた。
無視を続行しよう。
「こ、これは、でかい本!」「くく、俺の能力はこの召喚だけじゃないぞ?」「うわああページをめくった風圧が!」「はっは、飽きさせるんじゃないぞ、もっと悲鳴を上げろ、弟よ!」「うん、悲鳴上げろ」「ぎゃあ!?くう、怪人カッホーめー、聖剣本はもらった痛い!!」
本を奪い取ろうとした和の手を肘で攻撃する。
頬を膨らましているが別にかわいくはない。
「傷物にしたんだから責任取ってよね!」
「責任?死んだら助けてやる」
「何だそれ!?死んだら死んでんじゃん!」
言葉がおかしいのは馬鹿だからだろう。
こいつは国語のテストで一桁をとったことのある天災だ。
お父さんに頼まれて和に勉強を教えてるけど、同じことを何度教えたことか、時間的にも。
「かーほー、ヒマー」と言って私の机に乗ってくる和の頭を本で叩く。
友達と遊べばいいのに、こいつはしょっちゅうこのクラスに来る。
立ち上がると、やけにキラキラした目を向けてきた。
「図書室」と簡潔に答えると「俺も行くー」と言って教室の扉に向かった。
私より身長が高くて少しむっとする。
図書室にはこんなの邪魔だろうけど、この中学の図書室は結構うるさいのであんまり変わらないだろう、あと途中で和の興味がどっかに向かえと思いつつ階段を下りる。
階段の一番上から踊り場に向けてジャンプした和は途中で体勢を崩し、踊り場が血に濡れた。
足に血がかかった。
過去に戻ると、給食が終わったばっかりだった。
時計を眺めていると、「お邪魔するぜー」と言って和が教室に入ってきた。
私の後ろに来た和は私の髪をいじり始めた。
「ちょんまげ!」と言って笑う和を止めず、本を読んでると「どうした気持ち悪いのか?」と言ってきた。
面倒なので止めないでいると、ワックスを使おうとしてきたので殴って止めた。
ご機嫌な様子で放課後も和は教室に来た。
死因:階段で転落死
対策:図書室に行かない