2月15日
私達は中学3年生、受験生だ。
最悪やり直せばいいよね、と思いつつ勉強する。
12色ボールペンの赤色が切れたので、滅多に使わないピンクで代用する。
これが100均商品なんて100均は凄い
丸付けをしていると、先生は丸つけのプロなんだろうな、とよく思う。
斜めの机では和が筆記用具で遊んでいる。
「くっくっく、でか消しゴム、よくこの攻撃を受け止められたな。でも、これで終わりだと思っていたのか?」「な、何…?まさか、今の攻撃は本気じゃなかったというのか…?」「…っ!でか消しゴムさんっ!!」「どーん!」「修正テープ…?修正テープううう!!よくも、よくも修正テープを!」「はっ…茶番だな…!」「くうっ!覚悟しろ!物差し!うおおおおおお!!」
あまりにもうるさかったので消しゴムを投げると、私の100均で4個入りの消しゴムは勝手に出演されラスボスのヒロイン役になった。
構うのが面倒だったので筆箱から別の消しゴムを出す。
しばらくすると和は「ジュースー」と言って立ち上がり、床に落ちていたチラシで足を滑らした。
サッと顔が青くなる。
和の首はおかしな方に曲がっていた。
手遅れだ。
落ち着こうと、机のペットボトルに手を伸ばしてお茶を飲む。
あのチラシは、受験の面接で時事問題が出るかもしれないと思って新聞をこの部屋に持ってきた私が落としたものだ。
自分の不注意で和が死ぬのは久しぶりで心臓が早くなっていた。
和室に行き、座布団に正座し手を合わせて目を瞑る。
「2月15日3時50分に戻りたい」
目の前に丸つけが途中の問題集が広がる。
丸を書くのを途中で止めてしまったようで、出来そこないの半丸が出来てしまった。
右斜め後ろを見ると、大きめの消しゴムと物差しを片手ずつに持った和が独り言を言っていた。
立ち上がり、散らばっていたチラシを片付ける。
「ジュースー」と言って部屋を出て行った和に、「私にもちょうだい」と言うと「おっけー」と返された。
死因:子供部屋でチラシで滑って首を折り死亡
対策:チラシを片付ける。