最終日、40万ポイントの悲劇とお花摘み
ショート4作目
イベント最終日、終了5分前。
ランキング1位を狙う配信ルームは、ピリピリとした緊張感に包まれていた……はずだった。
その静寂を切り裂くように、一人の男が暴風雨のごとく現れた。
もときはじめ:
「初見です!!! イベント初日からずっと見てました!!! 好きです!!! ガチ上げします!!! うおおおおお!!!」
**《System: もときはじめがスペシャルギフト【推ししか勝たん(10万pt)】をで応援しました!》**
画面ではエフェクトが爆発。シャボン玉が舞い上がり、お城が聳え立っていく。雲が浮かび推ししか勝たんの文字が炸裂し、コメント欄は「え!? 初見で10万!?」「石油王きたあああ!」と騒然となった。
しかし。
画面の中央に映る女性は、その祝祭の爆音の中で、死んだ魚のような目をしていた。
彼女はスマホを画面を凝視し、指を動かしている。どう見ても他枠でボックスをとっている最中である。
女性(?)
(真顔で)
「あ、どうも。……でも今、別の枠でボックスとってお礼コメントしてるんで、静かにしてもらっていいすか?」
**コメント欄:**
『えっ』
『塩対応すぎんかwww』
『10万投げて「静かにして」は草』
だが、もときはじめのハートは鋼鉄でできていた。
もときはじめ
「叱られた!!! その冷徹な視線!!! 最高です!!! 俺の愛は止まらない!!! 全部受け止めてくれぇぇぇ!!!」
**《System: もときはじめがスペシャルギフト【ランタン(30万pt)】で応援しました!》**
今度は30万円相当。
画面内では白い窓枠が浮かび上がり、スポットライト、紙吹雪が舞い TGCが浮かび上がり、ランタンがパーンと空に舞う。画面全体を覆い尽くす派手なエフェクトが乱舞し、枠はカオスと化した。
そのあまりに騒がしいランタンの裏側で、**歴史に残るシュールな「交代劇」**が行われた。
ランタンが画面から消え去った瞬間、背後に彼女とそっくりなもう一人の女性が、今まで座っていた「塩対応の女性」が無言で立ち上がった。
彼女はカメラに向かって一瞥もくれず、真顔のままフレームアウトしていく。
手をハンカチで拭きながらそっくりな女性が
「ごめんね。最終日ラストなのに、どうしても離席したくて、あ~、スッキリしたぁ♡ お花摘み(トイレ)長引いちゃってごめんね~!」
女性が席に着いた時には、すでにランタンのエフェクトが消え、静寂が戻っていた。
彼女は画面上のギフト履歴を見て、目を丸くした。
女性
「えっ!? なにこれすごい!! もときはじめさん!? 女性がトイレ行ってる間に40万ポイントも!? ありがとうございまーす!! ……あれ? でもなんでアリス(双子の妹)がここにいたの?」
画面の端、ドアの隙間から、さっきまで座っていた**妹のアリス**が顔だけ出してボソッと言った。
**アリス**
「お姉ちゃんがトイレ長いから、誰もいないとアレかと思って座っといた。……あ、その人うるさかったから『静かにして』って言っといたよ」
**女性:**
「えっ、言っちゃったの!?」
配信画面は消えたが、地獄のような音声のみ配信されてくるのであった。
この話は先日とある枠で姉妹が交代で配信した話をもとに創作しました。ライバーさんありがとうございます。今日のこれで話はおしまい またにゃ
最後まで読んでいただいて感謝です。ミクチャでライバーしてます。配信時音声でショートストーリに曲つけて流し始めました。こういうの考えるのは好きです。今日はありがとうございました。




